名車の血統 三菱シャリオ
2022年はトヨタからクロスオーバーモデルのクラウンが発売され、マツダからは新SUVのCX-60が発売されるなど、新たなモデルも登場。ミニバンのノア&ヴォクシー、ステップワゴン、セレナも揃ってフルモデルチェンジし話題を呼んだ。
【画像】覚えてる?【歴代三菱シャリオ(グランディス)を詳しく見る】 全11枚
そのような明るい話題の一方で、セドリック・グロリアの後継モデルとなるフーガ、伝統のあるマーチ国内向けモデルの販売終了や、三菱を支えたコンパクトカー「ミラージュ」の販売終了も発表された。
一方で、フルモデルチェンジせずとも長きにわたり愛されるデリカD:5のようなモデルも存在。
現在、三菱のミニバンといえば、唯一無二のオールラウンドミニバン「デリカD:5」だが、三菱にはもう1台ミニバンの名車「シャリオ(グランディス)」があったことをご存知だろうか。
今回はそんな「シャリオ(グランディス)」の歴史を振り返る。
初代シャリオ ミニバンの先駆
1979年東京モーターショーにおいてFF方式の3列シート7人乗り乗用車、三菱SSW(スーパースペースワゴン)を参考出品したところ、大きな話題を呼んだ。
これを受けて、SSWよりもひと回りサイズアップし、セダンの運転感覚とキャブオーバーワゴンの優れた居住性をあわせ持ったクルマとして、1983年2月にミニバンの先駆の1台となった初代シャリオが発売された。
古代戦士のように誇り高く、行動力あふれるクルマの意味を込めて、フランス語で古代ギリシャの戦闘二輪馬車から命名された。
開放感たっぷりの室内をいかし、2列目と3列目のシートを向かいあわせるシートバック反転機構、フルフラットシートなど多彩なシートアレンジを実現したほか、オーバーヘッドオーディオをオプション設定するなど、新ジャンルのクルマにふさわしいユニークなアイデアをふんだんに盛り込んだ。
また、翌84年6月には2L 4WD車を発売。
2WD、4WDの切り換えができるパートタイム方式で、その切り換えをプッシュボタン式として運転操作を容易にした。
続いて、10月にはディーゼルターボ車を追加。また11月には本格的なスキー仕様車「シャリオ・ロス・アンデス」を発売し、多目的車にふさわしい多彩な仕様展開が図られた。
2代目 セダンより自由、ワゴンより自在
2代目が発売された当時、生活意識やレジャーの多様化などにより、クルマに対するニーズも大きく変わってきていた。
それはRVやワゴンとは違うセダンらしい品質感・用途を求めながら、既存のセダンの室内空間・機能・用途では物足りないとする需要。
2代目シャリオは市場ニーズを把握し、「セダンより自由、ワゴンより自在な空間・機能・用途の乗用車」をめざしてフルモデルチェンジし、1991年5月に発売された。
3列シートのコンセプトを継承しつつ、初代に比べてひとまわり大きくなったセミトールキャビンとロングホイールベースで、7人がさらにゆったり乗れる広い室内空間を確保。
広いガラスエリアが、ゆとりある室内に一層の開放感をもたらした。
上質な生地を採用したシートは、12通り以上の多彩なシートアレンジを可能とし、10か所にもおよぶ収納や大風量ベンチレーションなど、装備も充実していた。
エクステリアデザインは、新感覚の2トーンボディカラーで、Cピラーを境に前後にキャビンを設けたダブルキャノピースタイルを採用。
エンジンには、2.0Lが搭載され、多人数乗車でも余裕のある走りを実現した。
3代目 次世代を担う上級ワゴン
好評を博したシャリオは、6年5か月ぶりにフルモデルチェンジされ、次世代を担う上級ワゴンとして「シャリオ・グランディス」の車名で1997年10月に発売された。
シャリオの系譜で3代目となる「シャリオ・グランディス」は、フランス語の「雄大な(grandiose)」の造語をサブネームにつけ、これまで以上に頼もしく生まれ変わったことを表現した。
エクステリアは、フロントコーナーを大胆にカットしたデザインで、力強さと高級感を演出しながら、小まわりの効くスタイルに。
インパネシフトの採用により、ウォークスルーができる広々とした前席足元スペースの確保と、スポーティなフロアシフトの操作性を両立させた。
3ナンバーサイズのゆとりある室内は、これまでの7人乗りに加え新たに6人乗りを設定。
シートはリクライニング、チップアップ、ロングスライド、タンブルなど多彩な機構を駆使して、乗員人数や目的に応じたフレキシブルなアレンジが可能だった。
パワートレインは、全車に新開発2.4L GDIエンジンと、INVECS-IIスポーツモード4ATを搭載。
さらに安全強化ボディ「RISE」の採用をはじめ、運転席と助手席のSRSエアバッグシステムなど、充実した安全機能も誇った。
1999年10月にはV6 3.0L GDIエンジンを搭載した豪華な「ロイヤルシリーズ」を追加設定した。
4代目 「グランディス」の名称に
2003年5月、シャリオの系譜で4代目となるモデルは、「シャリオ」の名をはずして6年ぶりにフルモデルチェンジ。「グランディス」の名で発売された。
新生グランディスは、「New Age Premium」をコンセプトに誕生。人や環境に優しい新開発の2.4L MIVECエンジンと、INVECS-IIスポーツモード付4AT、4WD車にはマルチセレクト4WDシステムを搭載し、優れた低燃費と動力性能を実現した。
衝突安全強化ボディ「RISE」、新開発ストレートフレームプラットホームとともに、1~2列目シートのカーテンエアバッグを含む6エアバッグシステムなどの採用により、高いレベルの安全性が確保された。
チップアップ&ロングスライド可能なセカンドシートと、分割して収納可能なサードシートの組みあわせにより、多彩なシートアレンジを実現。
エクステリアとインテリアは「Japanese Modern」というコンセプトに基づき、伝統的な「和」のエッセンスと現代的なデザインが調和された美しさを備えていた。
2005年6月にはミニバンにSUVテイストを盛り込んだ「スポーツギア」を追加発売。
ASC(アクティブスタビリティコントロール)とTCL(トラクションコントロール)を標準装備し、215/55R17インチの大径タイヤを装着、車高を15mm高めて走破性を向上させた。
日本国内向けは2009年5月で販売終了となり、その役割はデリカD:5が引き継ぐこととなる。
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