■雪道での快適性を重視したオフロードタイヤとは?
今年4月から発売になる新型SUV用タイヤ「ジオランダーX-CV」にひと足早く試乗してきました。テーマはM+Sの氷雪上性能です。
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オフロード用タイヤは大きく分けて泥濘地での走破性を重視したM/T(マッドテレーン)、オフロード性能もオンロード性能も備えたA/T(オールテレーン)、オンロード性能を重視したH/T(ハイウエイテレーン)があります。そしてこれらのタイヤには一部H/Tを除きM+Sという刻印がタイヤに施されています。これはマッド+スノーの意味で一般的にはマッド・アンド・スノーと呼んでいます。そしてこの表記は冬用タイヤとして使えることを示しています。
今回は冬季のタイヤ勉強会ということで、ジオランダーXC-Vのスノー性能について、実際に試乗して確認することができましたので報告したいと思います。
ところで、ジオランダーX-CVというタイヤですが、カテゴリーはH/Tに属したオフロードもオンロードもイケるSUV用高性能タイヤです。最近のSUVは輸入車を中心に高性能SUVが増えています。そうしたクルマには運動性能を重視した高性能タイヤが装着されることが多く、横浜ゴムでいうとアドバンスポーツなどを装着しています。
横浜ゴムでは、高性能SUV向けに快適性を重視したタイヤとしてジオランダーX-CVを開発しました。M+S性能をつけることで、文字通りオールテレーンを実現しているわけです。
このタイヤの特長は、かなり本気でM+S性能を作り込んでいるところです。トレッドデザインは、静粛性や滑らかな転がり感を重視した縦溝主体のデザインが採用されていますが、コンパウンドと呼ばれるタイヤのゴムには低温での柔軟性に効果のある微粒子シリカが配合されており、このシリカを機能させるためにシリカの分散性を良くする(ほっておくとダマになってしまうのだそうです)ポリマー(≒ゴム)や、ウエット性能が向上するポリマー、雪上性能が向上するポリマーが配合されています。
ウエットや雪上性能を、ゴムの持つ特性としてよくしたうえで、タイヤに刻まれた模様≒トレッドブロックに3Dサイプと呼ばれる立体構成のサイプ(極細溝)を入れることで、入力の小さな雪道では柔軟に、入力の大きなウエットやドライ路面ではサイプがブロックを支えあってブロック剛性を高く保てるように工夫が凝らされています。
■積極的な雪道でなければ十分走破可能!
試乗ステージでは、氷上スラロームと雪上スラロームを試すことができました。その印象は「こんなに走れるのか」というものです。氷上スラロームでは、もちろん滑りやすいのですが、サマータイヤで氷を試したときのスポッとグリップが抜けてしまう感触がなく、滑りながらも路面をとらえようとゴムが頑張っている感じが残っています。そのためコントロールが効かなくなるという不安感が少なく、安心とは言わないまでも何とか走れるぞ、と思わせるものです。
雪上では、チェロキーでダイナミックなスラロームを試したのですが、路面を蹴ってクルマを前に進めるトラクション性能がしっかり出ていて心強い感じです。パイロンを右に左に走る場面でもハンドルが効きます。リヤタイヤの滑り出しはわりと早めに起こりますが、エッジがしっかり雪の路面をとらえており、ズルズルといったゆっくりした滑り方なので、落ち着いて対処すれば十分にコントロールが効くものでした。
従来のM+Sはもう少し雪道の性能はおざなり(といったら失礼ですが)な印象があったのですが、それと比べると格段(!)の進化が認められます。スキー場や雪道に積極的に行くことはオススメできませんが、多少の雪なら十分走破可能だと思います。1年を通して履ける懐の深い性能を持っており、快適性と操縦性を備えた魅力的なタイヤであると感じました。
M+Sの氷雪上性能はなかなか見ることができないので、興味深い体験でした。また今の(横浜ゴムの)M+Sの性能を理解するうえでとても参考になると思います。
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