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ピュアICEのVW「ゴルフGTI」は今こそ乗るべき!「ゴルフR」と異なる軽快さと安定感は昔ながらの楽しさいっぱいでした

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ピュアICEのVW「ゴルフGTI」は今こそ乗るべき!「ゴルフR」と異なる軽快さと安定感は昔ながらの楽しさいっぱいでした

GTIって、やっぱり素晴らしい!

先ごろ行われたフォルクスワーゲン「ID.4」の試乗会では、ほかのラインアップも大部分がテストドライブ可能とされていたのだが、筆者がいの一番に予約したのは「ゴルフGTI」。国内デビューからもすでに一定の期間が経過しているゴルフGTIながら、「今のうちにちゃんと乗っておきたい」という切なる希望が叶えられ、今回の試乗に至った次第である。

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8代目となった、ホットハッチのベンチマーク

1975年にデビューした元祖ゴルフGTIは、かつては「ボーイズレーサー」とも呼ばれた「ホットハッチ」カテゴリーの先駆者。

当時最大でも1.5L・75psだった初代「ゴルフ」に、ボッシュKジェトロニック機械式燃料噴射を組み合わせて110psを発生する、1.6Lの直列4気筒SOHCエンジンを搭載。ポルシェやメルセデス・ベンツ「Sクラス」に混ざって、アウトバーンの追い越し車線を颯爽と走ることのできる、当時としては規格外のモデルだった。

その後のゴルフII以降でも、GTIは今世紀初頭までゴルフの最上級グレードとして設定されてきた。今からちょうど20年前、2003年に、より高出力のエンジンと4輪駆動システムを与えられた「ゴルフR」が登場したのちも、GTIは変わることなく、つねにホットハッチ車の世界的ベンチマークとして君臨してきた。

そして2021年末に日本上陸を果たした第8世代のゴルフGTIは、近年の常識ではコンパクトな部類に入る全長4295mm×全幅1790mm×全高1465mm、車両重量1430kgの車体に、最高出力245ps、最大トルク370Nmを発揮する2.0L直列4気筒直噴DOHCインタークーラー付ターボエンジンを搭載。トランスミッションも7代目ゴルフGTIの6速湿式DSGから、7速湿式DSGへとアップグレードされた。

また、フロントLSDには電子制御油圧式ディファレンシャルロックを標準装備。このブレーキLSD効果も併せ持つ電子制御式ディファレンシャルロックシステム「XDS」と組み合わせることで統合制御を可能とする「ビークルダイナミクスマネージャー」も採用した。

しかし、シャシーが最新化されたいっぽうで、パワーユニットについては旧き佳き「GTI」の最終進化形ともいえる。GTIではない、ほかのゴルフのガソリンモデルが1L・3気筒ターボ/1.5L・4気筒ターボともに48Vマイルドハイブリッド化されたのに対して、GTIは今もなお純粋なピュアICE(内燃機関)の牙城を護っている。

だからある意味、最もオーセンティックな8代目ゴルフともいえるのだ。

今こそ、慈しむように味わいたいGTIの本分

ドイツ車らしい堅牢な感触を残すドアを開くと、まず目に飛び込んでくるのは渋いチェック地のテキスタイルを用いたバケットシート。電動調節機能にシートヒーター/ベンチレーターも付いた本革シートをオプションで選ぶこともできるそうだが、今あえてGTIを選ぶような好事家なら、この標準のクラシックなテキスタイルが好ましく映るに違いあるまい。

そしてお待ちかねの時間。「START」ボタンで2L直噴ターボエンジンを始動させると、「ヴォンッ!」と軽く吠えたのち、安定したアイドリングに入る。

カタログによると、通常の燃料直接噴射にくわえて、マルチポイント噴射を備えるデュアルインジェクションシステムを採用し、ハイパワーと環境性能を両立させているとのこと。しかし、この手の込んだインジェクションを採用したことの効力は、シャープなレスポンスにこそ活かされているかに感じる。

今どきの2Lターボで245psというのは、少なくともスペックシートの上では特段たいしたパワーではないと感じるかもしれない。ところがGTIのスロットルを踏み込むと、まるで自然吸気の大排気量エンジンのように、トルクの塊のようなものがグイグイと車体を押し進め、あっという間にスピードを乗せてゆく。また「コーンッ!」ととどろく硬質なエキゾーストサウンドには、いささか作為的な印象がなくもないのだが、それでも快音であることは間違いない。

そして重要なのは、卓越したシャシーのチューニングである。可変ステアリングラックを採用し、ロックtoロックでわずか2.1回転とされた「プログレッシブステアリング」は、ホットハッチというよりはスポーツカーを思わせるハンドリングをもたらしている。

4モーションAWDシステムを持つ現行ゴルフRが重厚なドライブフィールを身上とするのに対して、こちらのGTIは明らかに軽快。乗り心地に粗さなどみじんも感じさせないのに、コーナーではスピードレンジや曲率を問わず、つねに軽快な身のこなしを披露する。またブレーキも、非常にナチュラルな感触を保ちつつ「グイッ!」と効いてくれる。

だから、芦ノ湖スカイラインの高速コーナーでも、狭くて路面の荒れた長尾峠の下りでも、どこでも安心してドライビングに没頭することができる。この軽快さと安定感の「妙なる調和」こそ、初代以来継承されてきたゴルフGTIの真骨頂と思われる。

当初は3.2L自然吸気のVR6エンジンを積んだ「R32」でスタートしたゴルフRが、GTIと同じく4気筒2Lターボになった時には、GTIの存亡を危ぶむ見方もあった。でも今になってみると、約半世紀前のデビュー当初はGTIの特質であったはずの「規格外」な部分はいさぎよくRに任せ、昔ながらのGTIは、より自由にドライビングプレジャーを追求できるようになったかにも感じられよう。

これから先、フルBEVないしは電動アシストのついたハイブリッド車になるのか……? そもそもGTI自体がラインアップに残るのか……? 自動車史上に冠たる名作ゴルフGTIの行く末には、不安めいた可能性も否めない。

だからこそ、もしかしたら最後になるかもしれないこのピュアなGTIを慈しむごとく味わうことには、十分という以上の意義があると再確認したのである。

試乗車の諸元

■VOLKSWAGEN GOLF GTI フォルクスワーゲン ゴルフGTI

・車両価格(消費税込):514万4000円 ・全長:4295mm ・全幅:1790mm ・全高:1465mm ・ホイールベース:2620mm ・車両重量:1430kg ・エンジン形式:直列4気筒DOHCインタークーラー付ターボ(4バルブ) ・排気量:1984cc ・エンジン配置:フロント ・駆動方式:フロント駆動 ・変速機:7速DSG ・最高出力:245ps/5000-6500rpm ・最大トルク:370Nm/1600-4300rpm ・公称燃費(WLTC):12.8km/L ・ラゲッジ容量:380L ・燃料タンク容量:51L ・サスペンション:(前)ストラット式、(後)4リンク式 ・ブレーキ:(前&後)ベンチレーテッドディスク ・タイヤ:(前&後)225/40R18(※試乗車はDCCパッケージ装着で235/35R19)

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