もくじ
どんなクルマ?
ー 既存コンポーネンツを巧みに利用
ー 新しい名前はクラシックモデルから借用
ジャガーE-PACE 初試乗 まずは2ℓ直4ガソリンから 独特な使命とは?
どんな感じ?
ー 大柄のボディでも桁外れに速い
ー V8も悪くないが、V12ならもっと良い
「買い」か?
ー 4座が必要条件なら理想的なスーパーカー
スペック
ー フェラーリGTC4ルッソTのスペック
どんなクルマ?
既存コンポーネンツを巧みに利用
フェラーリの最新の4シーター、GTC4ルッソTが、既存モデルのコンポーネンツや部品を上手に組み合わせて作られている、と指摘したら、あまり良くは聞こえないだろう。例え現代のフェラーリのご多分に漏れず、優れたパフォーマンスと感動的なデザインを得ていたとしても。
事実、このクルマを構成している主要な部位は、本来は別のクルマのために設計されたものだったりする。
しかし、このクルマのドライバーは、20万ポンド(3040万円)という価格、さらに選択するオプションによっては25万ポンド(3800万円)にも及ぶことに対して、恐らくしっかり考え、納得しているように思える。
名だたるスーパーカーには、得体の知れない魅力が潜んでいるのだ。
新しい名前はクラシックモデルから借用
GTC4ルッソTのオリジナルモデルとなるフェラーリFFは、4輪駆動と4シーターのパッケージに、全長4920mmの大きなボディを持って、2011年に誕生した。週末にスキーを楽しむための、ファミリーユースのSUVの代わり、という位置づけ。
FFには無敵と言える自然吸気のV12エンジンが搭載されていたが、主にCO2の排出量を削減する目的で、新しいGTC4ルッソTではツインスクロールターボのV8エンジンに置き換わっている。
そしてルッソという、偉大なフェラーリのクラシックモデルから借用した名前は、それをリスペクトしたと言うより、便宜的と言うか、マーケティング的な理由を感じてしまう。セルジオ・マルキオンネCEOが率いる現在のフェラーリは、これまでにないほど商業然とした企業体質になっており、それが要因となっているのかもしれない。
そのような交錯する気持ちを晴らすには、乗ってみるのが一番。
どんな感じ?
大柄のボディでも桁外れに速い
このクルマは、素晴らしいフェラーリだと言えるのか?
先述のとおりボディは大きく、ホイールベースも長く、全高は低い。しかし、シートの座り心地は素晴らしいものだし、平均的な体型の大人4人が乗車して長距離をこなすグランドツアラーとしては、必要なパッケージだったのだろう。
そもそも、フェラーリを買うような層は、市街地の混雑したエリアを移動するために、他のコンパクトなクルマを所有している場合が多い。そして、ルッソTのワイドなボディでは市街地を走りにくいと感じたら、思う存分走れる道が広がる方向へ、クルマの進路を変えればいい。
このクルマにフィットする道にたどり着けば、桁外れに速く、高い運動性能を引き出すことができる。搭載するターボはツインスクロールだから、スロットルレスポンスもかなり自然でダイレクト。3855ccのエンジンは、7500rpmで610psを叩き出す。
V8も悪くないが、V12ならもっと良い
巨大なボディを持っているマシンの割には、F1マシンの気分が味わえる走りを許容してくれるGTC4ルッソT。FFでもお馴染みだった、ステアリングホイールに搭載されたマネッティーノで、ドライビングモードは5種類から選択できる。
0-100km/h加速は3.5秒で、見通しの効く、許された場所であれば、320km/hのスピードで走ることも現実的。フェラーリ製のV12エンジンに乗ったことがないドライバーなら、搭載されているV8エンジンは痛快に感じられるはず。しかし、フェラーリの真髄とも言える奥深さを持ったV12エンジンなら、このクルマを一層素晴らしいものに感じさせてくれるだろう、とも思ってしまう。
低い重心高とかなり後ろ寄りに位置するキャビン、長いホイールベースに優れた前後重量配分、ボディの中心よりにマウントされたV8エンジンなど、すべてが組み合わさることで、ルッソTの乗り心地は極めて安定している。それは、決してソフト、というタイプのものではない。
サスペンションは、可変ダンパーのマグネライドによって岩のように硬くも設定することもできるが、多くのフェラーリと同様に、スポーツモードが一番適正に感じた。
ステアリングは正確で、剛性感もあり、クイック。パワフルなエンジンとあいまって、このボディサイズを機敏に走らせてくれる。
「買い」か?
4座が必要条件なら理想的なスーパーカー
GTC4ルッソTは成功するだろうか?
2シーター以外の、ある意味で純粋とは言いにくいフェラーリが、高い人気を獲得することは極めて珍しい。
しかし、大人4人で移動する必要性があり、ほんの数パーセントだけダイナミクス性能が犠牲になることをいとわないなら、このルッソTはすべてを持ち合わせた理想的なスーパーカーとなり得るだろう。
そして、その存在はいかにも今っぽい。
フェラーリGTC4ルッソTのスペック
■価格 20万0165 ポンド(3038万円)
■全長×全幅×全高 4922×1980×1383mm
■最高速度 320km/h
■0-100km/h加速 3.5秒
■燃費 8.6km/ℓ
■CO2排出量 265g/km
■乾燥重量 1865kg
■パワートレイン V型8気筒3855ccツインスクロールターボ
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 610ps/7500rpm
■最大トルク 77.4kg-m/3000-5250rpm
■ギアボックス 7速デュアルクラッチAT
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