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【今あらためて試乗】シトロエンBX あり触れていて、しかし非凡 未来感覚を詰め込んだ30年モノ

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【今あらためて試乗】シトロエンBX あり触れていて、しかし非凡 未来感覚を詰め込んだ30年モノ

バカンスに出かけたい

text:Takuo Yoshida(吉田拓生)photo:Koichi Shinohara(篠原晃一)ペタンと地面にはいつくばっているハイドロ・シトロエンが、ムクムクッと起き上がる様は何度見てもユーモラスだ。

【画像】取材したシトロエンBX【ディテール】 全46枚

それは寝ていた犬がゆっくり起き上がって伸びをする様子にも似ているし、冷徹な機械とは違う生命の存在すら感じさせてくれる。

実際にハイドロ・シトロエンの体内にはLHMというOILが血液のように流れている。その油圧によって車高が支えられ、パワステやブレーキが機能するようになり、モデルによってはヘッドランプも目玉のように動く。

車高が完全に上がり、ワーニングランプが消えると、走行が可能になる。

今回のBX19TRIブレークは、少し古めのシトロエンを専門に扱うモダンサプライガレージの売り物。1990年式なので後期型ということになる。

「機関をきっちり仕上げて乗り出し100万円くらい」というフワッとしつつ的確な表現がシトロエン屋さんらしい。

ルーフが延長されたブレークは、ただでさえ広大なBXの荷室がさらに広くなっている。だがもともと直線基調のBXなので、違和感はない。

フランス人がバカンスに出かけるために荷物を満載し、さらにルーフの上にもたくさんの荷物を載せて出かける、そんなシチュエーションに合う1台だ。

いいとこ取りのハンドリング

現行のメルセデス・ベンツSクラスはレーダーセンサーで前方の路面の凹凸を見張っていて、事前にアシの硬さを変化させる。

これによってフラットな乗り心地とかっちりとしたハンドリングを両立しているのだ。けれどBXの乗り味もどちらかと言えばそれに似ている。

ハイドロ・シトロエンというと底なしにストロークの深いアシを連想する人もいるだろうが、そうでもないのだ。

ロールもピッチングも素直に表れるのだが、しかしステアリングから伝わってくるインフォメーションはとても確度が高い。

ハイドロは柔らかい金属スプリングの乗り心地と、硬いスプリングのスポーティな感覚を併せ持つ。だから5速MTのBXの走りはスポーツカー顔負けなのだ。

だが今回のブレークは普通の4速オートマティックであり、パワーも100psに満たない。車体の軽さはひしひしと感じるのだが、スピードはけっこう遅い部類に入ると思う。

それでもシトロエンの名にキズは付くまい。シートは非常に柔らかいし、リアシート・スペースは足元を含めて広大。リアのシートバックを倒すとスクエアなラゲッジスペースが現れる。

一見キワモノのようだが、実は乗り心地と使い勝手を高いレベルで満たしている。BXの守備範囲の広さには驚かされるばかりだ。

BXとシトロエンの今

今回のBXブレークは後期型なので、モケット張りのシートは、少しスポーティなよくあるかたちだし、ダッシュやメーターナセルの見た目も、シトロエンとしては平凡な部類に入る。

メーターも有名な「ボビン」ではない。これは多くのクルマに言えることだが、デザイナーの思いが忠実に反映されているのは初期モデルであり、一方エンジニアの理想は熟成なった後期型にあるというわけだ。

それでもシトロエンBXというクルマが持つ独特の空気感は健在だ。

現行のシトロエンやその上級ブランドであるDSの各モデルも個性的にまとめられてはいるが、内面の前衛的な思想がボディ形状に表れているという意味では、過去の作品に敵わないだろう。

この後シトロエンのハイドロはアクティブな頭脳を持ったハイドラクティブへと進化したが、21世紀には下火になってしまう。

SUVが賢いエアサスを装備したり、マクラーレンが4輪関連のアクティブなダンパーを装備している昨今。時代がようやくシトロエンに追いついた、と言う頃に本家が伝統を継続していないのは何とも皮肉な話といえる。

個体数が減り続け、マニアだけの物になりつつあるBX。そんな現状は、このクルマが持つ世界観の大きさを正しく表していないと思う。

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