フルモデルチェンジしたメルセデス・ベンツの最高峰セダン「Sクラス」に小川フミオが試乗した。本リポートではリアシートの居住性を中心にリポートする。
ベッドのように倒れるリアシート
超実力派コンパクトSUVならコレだ! ランドローバー・レンジローバーイヴォーク雪上試乗記
メルセデス・ベンツSクラスの居心地はどんなだろう? 興味をもっているひとは多いのではないか。なにしろメルセデスは新型Sクラスにおいて「ラグジュアリーを再定義する」と、うたい、最新のインフォテインメントシステムを搭載しているからだ。
日本市場にまず導入されたのは、2996cc直列6気筒ガソリンターボエンジンと小型モーターを組み合わせたマイルド・ハイブリッドの「S500 4MATIC」と、2924cc直列6気筒ディーゼルターボ・エンジンを搭載する「S400d 4MATIC」の2本立て。ボディは、全長5180mmの標準仕様と、さらに長い5290mmの全長を持つ「ロング」が用意される。順列組合せで、計4つのモデルでラインナップが構成されている。
なにはともあれ、と、興味ある読者のかたがたに代わって体験したのが、S500 4MATICロングである。最大の特徴は、さきにも触れたとおり、“ラグジュアリー”のテンコ盛り。とくに「ロング」の場合、後席重視のオーナーのための仕様なので、ベッドのように倒れるリアシートがえらべる。「リアコンフォートパッケージ」なるオプションに含まれる「エグゼクティブリアシート」だ。
ボタンひとつで、(右ハンドル車なら)左側の後席のシートバックが最大43.5°まで倒れると同時に座面の先端からはフットレストが出てくる。これに合わせて助手席は前方へと自動でスライド。ちなみこの大きな傾斜角はロングならではで、標準ホイールベース車でこのオプションを装着すると、傾斜角は37°にとどまる(それでも大きいけれど)。
同時にヘッドレストが50度せりあがってきて、頭を快適な角度で支えてくれる。リアコンフォートパッケージの場合、ソフトなパッドが特徴の「ラグジュアリーヘッドレスト」がついてくる。このパッケージでは、シートが前後ともにふわふわしていて、とくに体重の軽いひとには、快適性が高いだろう。
オーディオにもこだわりました
シートバックを45°まで倒すと、ほぼ簡易ベッドのような気分だ。身長175cmぐらいなら、足が前席に触れることもなく、快適な気分で休んでいられる。シートバックが倒れるとともに、サイドウィンドウのブラインドがするするっと上がる。外部の眼からプライバシーが守られる。眼を開けると、自然に天井を見上げることになる。大きなガラスルーフごしに青空があった。
スマートタブレット端末のような7インチの大きな画面をもつコントローラーで各機能が操作出来るのは便利だ。眼の前の11.6インチのモニターでインフォテインメントシステムを楽しむのもいい。シートヒーターなどの快適装備も豊富で、さまざまな機能がつかいやすい。後席左右それぞれに無線ヘッドフォンも装備されている。
ヘッドレストにはヒーター機能付きの、調整可能なヘッドレストクッションも取り付けられている。アップライト(ふつう)の乗車姿勢では、首をやわらかくサポートしてくれる。クッション部に膜ヒーターが内蔵されていて、後席乗員の頭や首を気持ちよく温めてくれるのも芸が細かい。ヒーター機能はシートヒーターを介して起動する。
オーディオ・システムも素晴らしい。新型Sクラスに搭載されるのは「ブルメスター 3Dサラウンドサウンドシステム(パーソナライゼーション機能付き)」。2個のヘッドライナー内蔵スピーカーを含めて合計15スピーカーを使う、出力710Wのシステムを特別なアルゴリズムで動かすのがセリングポイントという。実際に聴くと、その迫力に驚いた。クラシックやジャズ、ロックなどジャンルを問わずダイナミックなサウンドが楽しめる。
オーディオにはもうひとつのオプションがある。サブウーファーを含む合計30個のスピーカーと2基のアンプ(合計 1750W)で構成される「ブルメスターハイエンド4Dサラウンドサウンドシステム」だ。
「4次元」とは、 各シートに振動を伝達する「エキサイター」があるためで、それが第4の次元であるという見なしだ。音楽をシートの振動で表現する趣向なのだ。音楽再生に向いていないと言われ続けてきた車内であるものの、ジャンルを問わず再生音は気持ちよい。
運転しても素晴らしい
「Sクラスはすべての乗員が、まるで自宅にいるかのようにくつろげる空間を提供することを目指しています」
これは日本法人が用意したプレスリリースのなかで、新型Sクラスの大きな特徴である至れり尽くせりのインテリアのコンセプトを説明したものだ。
なにより、4人乗車のときは、4つの席が個別に自分の好みのかたちでリラックスしていられるように作られているのが、競合より一歩先んじている点といえる。
もちろん、ドライバーズシートだって素晴らしい。パワフルなエンジンに、細かい制御で、燃費とドライブの楽しさを両立する10段オートマチック変速機が組み合わされ、さらに、独自のフィーリングをもったステアリングの操作感もあって、運転が楽しい。それはそれで、クルマとしては極上のもてなしなのである。
文・小川フミオ 写真・田村翔
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足車に1,500万払えるなら最高の選択だな。