Tクロスは2019年11月に登場したフォルクスワーゲンの新しいコンパクトSUV。ボディサイズはBセグメントハッチバックの定番であるポロよりやや大きめで、2550mm のホイールベースは共通。アップライトな着座姿勢のため視界が良く、後席に140mmのスライド機構を持たせるなど居住性にも優れているのは、全高に余裕のあるSUVならでは。デザインやインテリアもカジュアルかつポップな仕上げで、ポロに迫る人気を獲得している。今回は新刊ムック「Motor Magazine 輸入車年鑑 2020」から、日本導入記念モデル「Tクロス TSI ファーストプラス」の試乗記をお届けしよう。
軽快でポップなイメージも大きな魅力
前後方向には短いのにワイドで高さもあるフォルムは、落ち着き感よりも躍動的な雰囲気が強く漂う。グリルの左右を上に蹴り上げ、下部には明確なスキッドプレート形状を組み合わせたフロントマスクや、左右のコンビランプをガーニッシュで繋いだテールエンドなども新鮮。試乗車はデザインパッケージ装着車だったのでポップさがさらに強調され、楽しげだ。
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エンジンは1L 直列3気筒ターボでポロの主力エンジンと同タイプだが、ポロ用の95ps/175Nm仕様に対して、車重増(Tクロスはポロ+110kg)に対応するためか116ps/200Nm仕様となる。トランスミッションは7速DCTで駆動はFFのみ。4WDの設定はない。
アクセルペダルを踏み込むと2000rpm手前あたりから3気筒ならではのトルクの蹴り出しがはっきりと出て来て、実用域の走りはなかなかに活発だ。操縦性は鋭さを競うようなタイプではないが、ハンドリングは少しおっとりしながらも、操作に対しては素直で正確。重心高に合わせて少し固めたような足まわりの踏ん張り感にも好感を持った。
乗り心地は、表面の荒れた路面でやや当たりの強さを感じる場面もあったが、大きなうねりなどに対しての動きはしなやか。つまり、走りの質感もなかなかに高い。
高めのボディとアップライトなパッケージは、後席まわりの余裕を出すのにも有利。膝まわり/頭まわりにも十分なスペースが確保される。後席を最前の位置にすると、455Lというラゲッジルーム容量が確保されるが、その状態でも後席に座れる。余裕は少ないが、アップライトで足もと空間に深さがあるため無理な姿勢ではない。(文:石川芳雄/新刊ムック「Motor Magazine 輸入車年鑑 2020」より)
フォルクスワーゲン Tクロス TSI ファーストプラス 主要諸元
●全長×全幅×全高:4115×1760×1580mm
●ホイールベース:2550mm
●車両重量:1270kg
●エンジン:直3DOHCターボ
●排気量:999cc
●最高出力:116ps/5000-5500pm
●最大トルク:200Nm/2000-3500pm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:FF
●WLTCモード燃費:16.9km/L
●車両価格:335万9000円
[ アルバム : フォルクスワーゲン Tクロス TSI ファーストプラス はオリジナルサイトでご覧ください ]
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