クルマ好きのSNSのタイムラインに一度は上がったことがあるであろう、「BNR32 GT-Rの盗難情報」。駐車場から忽然と姿を消して、見つかったのは海外オークション、バラされて売られたパーツから愛車だと確信……といった話が後を絶たない。知り合いの中には車両盗難の危険性から、愛車であるGT-Rを手放した者もいるくらいだ。詳しくは述べないが、米国のいわゆる『25年ルール』が年式的に適用されるBNR33が今度は危ない、といったまったくもってありがたくない話も耳にする。
良くも悪くもBNR32ことR32型スカイラインGT-Rの人気は衰えを知らないどころか、ひたすら上がり続けている。ではBNR32の人気はなぜこれほどまでに高いのか。同じ自主規制枠いっぱいの280馬力を発生するスポーツカーなど巷に多数存在する。しかし、それらと一線を画すのが、BNR32の生い立ちである。R32型は先代のR31がハイソカー路線に舵ったことからの反動の先に生まれたスカイラインでもある。R31型は世に云われるような失敗作ではなくセールス面もそれほど悪くはないが、熱心なスカGファンにそっぽを向かれたのは事実であり、またR31型の開発途中で開発主管のバトンを櫻井眞一郎氏から受け渡された伊藤修令氏もその仕上がりに満足していたわけではなかった。
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かくして生まれたR32は言ってみれば“走り馬鹿”なスカイライン。走りのためなら後席の居住空間など潔く切り捨て、外装からは高級感を煽るメッキの装飾モールは姿を消した。さらに開発陣が画策していたのがGT-Rの復活であり、それは名ばかりではなく、当時の市販車を使ったツーリングカーレースの最高峰である、グループA規格のJTC(全日本ツーリングカー選手権)を完全掌握することにあった。その目標はBNR32が1990年に『西日本オールジャパンツーリングカー300km』デビューしてから1993年の『インターTEC』までの全29戦のすべてを優勝していることで達成されたと言っていいだろう。
そしてこの結果こそが、他の280馬力スポーツカーとは一線を画し、今日まで名車として語り継がれる高い評価をもたらしたのである。
ハイエンド・レジン製ミニカーメーカー、メイクアップではすでにグループA車両や市販モデルなどを製品化しているが、今回は1992年シーズンに綺羅星のごとく現れた『Kyoseki GP-1 Plus スカイライン』をリリース予定だ。カルソニックカラーの星野一義選手、名うてのスカイライン遣いである長谷見昌弘選手のマシーンに食らいつく他チーム、という構図で盛り上がった晩年のグループAにおいては、1992年では2度の優勝を獲得するなど、非常に印象的なマシーンである。
メイクアップでは実車のスキャンデータに基づいて原型を設計。意図的な形状の強調やアレンジを行わないデフォルメレスの客観的な造形と、質感や清潔感に拘った美しさ仕上げやマテリアルのチョイスで他とは一線を画す、言わば究極の量産型のモデルカーでもある。
メイクアップホームページ: https://www.makeupcoltd.co.jp/
商品ページ: https://www.makeupcoltd.co.jp/products/detail/1426
ほかR32 GT-R関連製品はコチラ: https://www.makeupcoltd.co.jp/products/list?category_id=&name=R32
2023年中にはリリースされる予定の『Kyoseki GP-1 Plus スカイライン』。NIISMOチームからの出走だったが、A.オロフソン/木下隆之、両氏の熱い走りで人気を呼んだ。
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みんなのコメント
BNR32が神話なのは、すでにプリンスR380にはじまりハコスカ時代から始まっているGT-Rの伝説を継承していることだ。
市販車ベースで改造範囲が狭いグループAレースで600PSを500km以上のセミ耐久レースでも通用するエンジンを基本設計そのまま280PS規制にあわせて出力ダウンして市販し、その他アテーサ4WDシステムなどレースで勝つためのシステムがそのまま市販車に搭載されたことが一番のサラブレッドといわれるところ。日産がこの車でのレースにかけた意気込みが他の車種とはまったく異なる。
だから購入者は自分の車もメーカーが封印したパワーを簡単に引き出すことができ、その耐久性もレースで証明されていたからレース界、チューニング界でも神話となった。
中古車輸出を全面的に停止させないと日本国の工業遺産の流出で本当に日本は資源も何もない無能な観光国家に成り下がる。