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「特別仕様車」って何が特別なんだ!? マツダ CX-5の場合

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「特別仕様車」って何が特別なんだ!? マツダ CX-5の場合

2代目となるCX-5はデビューから丸5年で大幅改良が実施された。ハードウェアは乗り心地や静粛性のレベルアップ、荷室や装備の利便性向上など、熟成によってほぼ完成の域に到達。さらに、アウトドア指向の「フィールドジャーニー」、いっそう都会的かつスポーティな「スポーツアピアランス」の2モデルを加えた多彩なバリエーションで、商品力を大きく高めている。
 
ただ、モヤモヤすることが一つある。
 
フィールドジャーニーもスポーツアピアランスも、幅広いユーザーニーズに応えられるようになった最新CX-5の象徴的存在。にもかかわらず、両車は「特別仕様車」として設定されているのだ。
 

なかでもフィールドジャーニーは、4WD専用設定だけでなくCX-5初のオールシーズンタイヤ(17インチ)を装着。新開発のMiドライブ(マツダ インテリジェント ドライブ セレクト)には、悪路走破性をいちだんと高めるオフロードモードまで専用装備する。これまでCX-5になかった待望のオフロードキャラクターだ。この目玉モデルがナゼか「特別仕様車」という扱いなのである。
 
しかも、従来ラインアップされた3つの特別仕様車「エクスクルーシブモード」「ブラックトーンエディション」「スマートエディション」は、大幅改良モデルも継続。CX-5はグレード(20S/25S/XD)と仕様の組み合わせで、全14タイプ中10タイプを特別仕様車が占める、“ほとんど特仕”のラインアップなのだ。
 
特別仕様車はベースグレードに本来オプションの装備が標準で付く、あるいはカタログモデルとは異なる装備や機能・性能を備える、まさに特別な仕様のモデルだ。特に前者は価格も買い得な設定で、販売のテコ入れやボーナス期、モデルチェンジ前などのタイミングで投入されることが多い。
 
また、特別仕様車は期間限定や台数限定の販売が少なくない。期間が短い、あるいは台数が少ない場合は「特別限定車」などとうたわれることが多いが、車種やモデルによって設定はまちまちだ。例えば、2021年12月に行われたロードスターの商品改良でも2つの特別仕様車がお目見えしたが、「990S」はそうした条件がない一方、「ネイビートップ」は販売期間が2022年5月31日までとなっている。
 
では、CX-5のフィールドジャーニーとスポーツアピアランスはどうなのか。
 
答えは、両車とも限定なし。販売の台数・期間は設定されていない。つまり、これまでのエクスクルーシブモード、ブラックトーンエディション、スマートエディションと同じ扱いというわけだ。実際、これらの特別仕様車はプロアクティブやLパッケージと同列で本カタログに掲載されているから、実質的にはカタログモデルといっていい。
 
どうしてマツダはそうしたモデルを特別仕様車として設定するのだろうか。
 
「特別仕様車をうたう際の定義やルールは特にありません。CX-5では、ベースグレードに対してこれだけの特別な装備が付いていますということをお客様にわかりやすく訴求できるように、特別仕様車という設定にしています」(マツダ国内営業担当者)
 
確かに本カタログを見ると、フィールドジャーニーならベースグレードのプロアクティブに対して何々、スポーツアピアランスならLパッケージに対して何々を特別に装備しているという内容が、わかりやすく記されている。
 
「ただ、エクスクルーシブモードはCX-8にも特別仕様車として設定されましたが、現在はカタログモデルに移行しています。このあたりは難しいですが、特別仕様車とするかどうかについては曖昧なところがあるのも正直なところです」(同)
 
CX-5についても、2020年12月に追加されたブラックトーンエディションの人気が非常に高く、「カタログモデルに“昇格”するのでは?」というマツダ関係者の見立ても。それを裏返せば、新たなモデルが販売の主力に定着するまで特別な存在感をアピールする、その手段が「特別仕様車」ということだろう。
 
モヤモヤはいまひとつスッキリしないが、特別仕様車は“お買い得”や“限定モノ”が好きな日本人にマッチする商品戦略かもしれない。所得が伸びない国内ユーザーの購買意欲を喚起すべく、各メーカーは今後もさまざまな特別仕様車を企画するに違いない。気になる“特仕”が登場したら、まずは限定販売かどうかを要チェックだ。
 
〈文=戸田治宏〉

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