この記事をまとめると
■リサイクル券は自動車リサイクル法によって導入された
セルフメンテ派も「廃棄」より「引き取り」がエコだった! リサイクルが進む「クルマの廃油」の行方とは
■料金はクルマによって異なる
■リサイクル券の用途について詳しく解説する
最後のオーナーがリサイクル券を使うことになる
それぞれのクルマに、携行が必要な書類がいくつかある。車検証や自賠責保険証書、そして最近はリサイクル券というものが加わっている。その名のとおり、自動車のリサイクルに関するもので、2005年に施行された自動車リサイクル法によって導入された。
きっかけは1990年代に発覚して大問題になった豊島事件。小さな島に約50万トンの廃車クズが捨てられていた不法投棄事件で、これをきっかけに法整備が進められた。ヨーロッパが先に導入していて、その内容を参考にしている。リサイクル券というと、単に処理するための手間賃的なイメージだが、リサイクルを義務化することで、不法投棄などを防止する目的もある。
実際の料金はそれぞれのクルマの処理する量や手間によってバラバラだが、だいたい1万5000円ぐらいで、詳しくは各自動車メーカー、インポーターのウェブサイトで確認することができる。一般的に法律というのは施工後に作られたクルマが対象になるので、2005年以前のクルマはリサイクル券が必要ないように思えるが、環境問題ということもあってじつは古いクルマにも適用される。いわゆる旧車も含まれるのだが、後述する処理内容が少ないので費用も安くて、5000円ぐらいになるクルマもある。
具体的な仕組みとしてはまずは新車を買ったユーザーが購入して負担。手放した際にはディーラーや買取店などの引き取り業者が引き継ぐため、購入時に支払ったリサイクル料が返ってくる。さらに中古車として販売したら、購入したオーナーが引き継いでいく。この際、料金だけでなく、リサイクル券の現物も引き渡されていくというのが、廃棄するときにリサイクル料を支払うだけの家電リサイクルとは大きく異なる。そして寿命がきたり、事故で全損になって解体されるときに、最後のオーナーがリサイクル券を使うことになる。つまり料金は戻ってこない。
解体時に外した「中古パーツ」販売で利益が出るのに「リサイクル料」も払う!?
リサイクル料金には内訳というものがあって、エアバッグ処理、フロン回収、シュレッダーダスト処理の3つで、それぞれを適正に廃棄するための費用となっている。制度を正しく運用するためには処理を適正に行う必要があって、登録の解体業者しか作業できない。昔ながらの野積みの解体屋をほぼ見かけなくなったのはこのため。ちなみに処理の過程や結果はユーザーがネットで検索することが可能だ。
ただ、いくつか気になる点はある。まずは中古パーツの存在だ。クルマを解体・廃棄する際に取り外した中古パーツを販売することでも利益を得るのに、リサイクル料金も取るのかという疑問が出てくるが、リサイクル料はあくまでも、先に紹介した3つのパーツの処分に使われるもの。それらはリサイクル部品としては使用できないゴミだったりするので、リサイクル料金のネコババ的なことにはならない。
また、廃車は必ずされるので還付は基本ないものの、中古車として輸出される場合は国内の法律の適応外になるので、輸出したことが証明できれば還付される。
そして、一番気になるというか、発生する可能性があるのがリサイクル券の紛失。車検証と一緒に保管することが基本なので、そうそうないだろうが、再発行は不可。ただ、車台番号などでもシステム管理されているので、実質は問題がない。
最後にバイクはどうしているのか気になるが、パーツとしてリユースできる範囲も大きいことから、リサイクル券などの制度はなし。ディーラーやバイクショップや対応業者に持ち込めば無料で引き取ってくれるようになっている。
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