フェラーリ・ワールド・アブダビへ行ってきた。
“フェラーリ・ワールド・アブダビ”とは、中東・アブダビにて、現地の会社が運営するテーマパークだ。
もちろん、フェラーリの正式な認可を受けていて、その施設内は、見渡す限りフェラーリ一色。
その面積は、東京ドーム2個分をゆうに超える。
移動手段にはタクシーを選んでみた
お金持ちでもスーパーカーを買わないのはなぜ?そこには2つの理由があった
フェラーリ・ワールド・アブダビは、F1のアブダビ・グランプリ開催の地として知られる「ヤス・マリーナ・サーキット」に隣接している。
ここへ行くには、直接アブダビへと飛ぶ方法もあるが、ボクはドバイからクルマで訪れることにした。
クルマによる移動は、主に「バス」「タクシー」だ。
「バス」は安価だが時間が読めない。そもそも時間通りにバスが来るかわからないのだ。
そこでボクは多少値が張るが、タクシーを利用することにした。
タクシーだと、ドバイの中心から1時間半もあればフェラーリ・ワールド・アブダビへと行くことができる。
その費用は6000円ほどかかるのだが、旅先での時間は非常に貴重だ。
ボクは時間をお金に換算してタクシーを選び、加えてそのコストを少しでも回収すべく、いくつかの計画を立てた。
ひとつは、タクシードライバーからの情報収集。
現地での自動車事情、つまり人気のクルマやかかるコストなどをヒアリングすること。
この結果はまた別の記事で紹介したい。
そしてもうひとつは、スーパーカーディーラーや高級車ディーラーの情報を集め、そこまで移動することだ。
これもタクシーを利用すれば、自分一人で調べて行動する、なれない電車を乗り継ぐよりもずっと効率的だと考えられる。
ドライバーのほとんどは、他の国からの出稼ぎだ。
ドバイは「出稼ぎ」を受け入れているが、その制限は非常に厳しい(タクシードライバーからは、こういった情報も収集できた)。
ここでその詳細は割愛するが、その厳しさは業務に対しても同様で、客からのクレームは即刻処分の対象になったり、
失職し国外退去ということになりかねない。
そのため、ドバイのタクシードライバーは非常に丁寧で安心ができる。
あるミュージシャンが「その国の民度を知るには、タクシーに3回乗ればわかる」と言っていたことを記憶しているが、
ドバイの民度は非常に高い、と言えそうだ。
フェラーリ・ワールド・アビダビへ到着する
ドバイを出てアブダビへと向かう。
道中は砂漠ばかりだが、途中で気になるクルマを数多く見かけた。
アブダビに入るとヤス・マリーナ、そしてフェラーリ・ワールド・アブダビを示す標識が現れ、ほどなくしてフェラーリ・ワールドへの到着だ。
フェラーリ・ワールド・アブダビの規模は大きい。
そのサイズは想像を絶するもので、まさに圧倒的だ。
さらに、このテーマパークは「インドア」である。真夏には耐え難いほど上昇する気温に配慮してのことだろう。
なお、屋根はフェラーリを象徴する「レッド」に塗られ、その中央には縦65、横48.5メートルの巨大な”跳ね馬”が描かれている。
到着後、まずはチケットを入手する。
言い忘れたが、チケットはオンラインで事前購入でき、その際に発行されたナンバーを窓口で伝えればオーケーだ。
「行ったはいいが、入場制限で入れない」ということを避けるためにも、チケットは事前の購入をお勧めしたい。
チケットの種類はブロンズ・シルバー・ゴールドとなっており、これらはそれぞれ「無料で乗れる」アトラクションが異なるが、ブロンズでもほぼすべて乗れると考えていい。
入場に際してだが、厳しいイスラムの戒律のため、とくに女性は露出の多い服装は避ける必要がある。
チケットを購入した後は、ゲートをくぐって入場だが、そこに至るまでも数多くの演出があり、いくつかを画像にて紹介する。
フェラーリ・ワールド・アブダビのアトラクションにはこんなものがある
ここからは、フェラーリ・ワールド・アブダビのアトラクションを紹介しよう。
まずは「フォーミュラ・ロッサ」だが、これは0-100キロ加速2.1秒とされる、「世界最速の」ジェットコースターだ。
この「2.1秒」というのは、フェラーリがこれまで生産した市販車のどれよりも速い。
フラッグシップであるフェラーリ812スーパーファストですら「2.8秒」、1500馬力を誇るブガッティ・シロンでようやく「2.5秒」ということを考えると、いかにこのジェットコースターの加速が常軌を逸しているかを理解出来るだろう。
実際にその加速は傍から見ていても驚異的で、バチンと弾かれたように加速してゆく。
ボクは、これまでにあのサイズの物体がそれだけの速度で加速する様子を見たことがない(乗客はその眼を保護するためにゴーグルを着用する必要がある)。
なお、ボクはこういった絶叫系は苦手なので、このジェットコースターには乗っていない。
そしてもう一つ人気の絶叫系がこの「フライング・エース」だ。
こちらは「上下の落差」が世界一と言われている。
ボクがここで注目したのは、フェラーリに使用されるエンブレムの由来がアトラクションの前に記されていたことだ。
フェラーリのエンブレムに記されている「馬」は、ポルシェのエンブレムの中央にあるそれと同じものであることはあまり知られていない。
この由来については諸説あるが、ここで公式にてフェラーリが見解を述べている、ということになる。
全部のアトラクションを紹介していてはキリがないので、いくつかに絞って紹介してゆこう。
この「ベル・イタリア」はフェラーリのクラシックモデル(実際の車体の2/3くらいのサイズ?)に乗ってコースを回るものだが、
そのコースにはイタリア各地の有名な建築を再現した模型がある。
こちらは、実際にF1ドライバーがトレーニングに使用するシミュレーターだ。
料金は別途必要で、現地で予約をする必要がある。
ボクは実際にこれを試したが、第一コーナーで早速クラッシュを喫してしまった(もちろん走るサーキットはヤス・マリーナだ)。
こちらはやや難易度の低い、ゲーム感覚で楽しめるシミュレーター「スクーデリア・チャレンジ」。
数台が一度に出走し、レース形式でサーキットを走ることになる。
そして各車(のシート)には「ミハエル・シューマッハ」など、フェラーリにて多くの功績を残したドライバーの名前が冠されている。
ボクは「ミハエル・シューマッハ」に乗り込み、結果は2位だった。
アトラクション以外にも見どころはたくさんある
フェラーリ・ワールドはアトラクション以外にも多くの見どころがある。
内部には、イタリアの街中を再現した場所もあり、フェラーリを語る上で外せない歴史的モデルも多数展示されている。
ボクにとって興味深かったのが「ガッレリア・フェラーリ」だ。
ここにはフェラーリの試作品を展示してあり、そのデザインプロセスも知ることができる。
ラ・フェラーリのプロトタイプ、コンセプトカーの「テンソ」、内装の仕様を決めるために製造した実物大のモックアップも置いてあった。
そのほか、フェラーリを借りてヤス・マリーナ島を走ることができるアトラクションもある。
こちらも有料だが、それだけの価値はある。
館内に点在するフェラーリ・ストアも見逃せない。
各ストアとも特色があり、それぞれ商品のラインアップが異なる。
店内にはF1マシンやヒストリックカーの展示、それらのパーツを装飾用に加工した製品も販売されている。
レストランも見逃せない
イタリアと言えば「食」だ。
フェラーリは食にこだわる会社としても知られ、その社員食堂をイメージしたレストラン、エンツォ・フェラーリも生前よく利用していたと言われる
フェラーリ本社前にあるレストランを再現した「リストランテ・カヴァリーノ」もある。
ほかにもファストフード・ピッツェリア・カフェなど多数あり、イタリア料理をベースにアラビア風のアレンジが加えられている料理もあった。
フェラーリ・ワールド・アブダビはフェラーリファンでなくとも楽しめる
断っておくが、ボクは熱心なティフォジ(フェラーリファン)ではない。
フェラーリは大好きだし、所有したいとも考えている。
ただしフェラーリに忠誠を誓うほどではない、ということだ。
そんなボクでも、このフェラーリ・ワールド・アブダビは十分に刺激的だったし、訪れた後はその前に比べてずっとフェラーリに対する愛情や理解が深まった。
現在フェラーリはそのブランド価値において、自動車業界では「世界最高」だ(”企業”価値だとトヨタに一歩譲るが)。
そのブランド価値は主に過去のレースによって築かれてきたものだとボクは理解しているが、
フェラーリは「未来」に向けてもこういった活動を積極的に行っており、その効果は非常に大きいものだと感じた。
フェラーリ・ワールド・アブダビを訪れている人々は様々で、フェラーリファンと見られる男性とそのパートナー、フェラーリが大好きな子供のためにやってきたファミリー、修学旅行でやってきたであろう制服姿の子どもたち。
中にはフェラーリに興味がないと想像できる人々も多く見られたが、それでも共通する人々の表情に見られたのは「笑顔」と「幸福」だった。
どうやらフェラーリは、そのクルマ以外によっても人々を笑顔に、また幸福にする方法を知っているようだ。
帰りに訪れておきたい、イスラム最大のモスク
ここからは「番外編」になるが、フェラーリ・ワールドを訪れたならば、ぜひ行っておきたい場所が「シーク・ザイード・グランドモスク」だ。
世界最大のモスクと言われるが、フェラーリ・ワールドからは距離が近い。
ボクが今回タクシーを利用したのには、このモスクをあわせて訪問したかったということもある。
ちなみにタクシードライバーへの支払いは最終的にホテルの戻ってからの「後払い」だった。
モスクを訪問している間はタクシーを「待たせている」ことになるが、タクシードライバーは、ボクがお金を払わずにそのまま別のタクシーに乗り、そのまま帰ってしまうリスクを背負うことになる。
それでも彼はずっとボクが戻るのを信じて待っていてくれた、ということだ。
そんなこともあり、ぼくはフェラーリ・ワールド同様、訪れる前よりもアブダビという国を好きになったのは言うまでもない。
[ライター・撮影/JUN MASUDA]
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