フェラーリがプラグインハイブリッドのオープントップモデル「296GTS」を日本初披露。4年ぶりに開催されたフェラーリのオーナーイベント「フェラーリ・レーシング・デイズ2022」で実車を公開
フェラーリ・ジャパンは2022年6月24日、V6プラグインハイブリッドモデルのオープン仕様となる「296GTS」の日本上陸を発表。また、6月25日~26日に鈴鹿サーキットで開催されたフェラーリのオーナーイベント「フェラーリ・レーシング・デイズ2022(FERRARI RACING DAYS 2022)」において実車を披露した。
和のテイストを纏ったワンオフモデルのフェラーリ・ローマが登場
フェラーリ296GTSの特徴を改めて紹介しよう。
フェラーリは昨年6月にブランド初の後輪駆動V6プラグインハイブリッドモデルの「296GTB」を発表しているが、今回日本上陸を果たした「296GTS」はそのオープントップ仕様に位置する。GTBのBはクーペを意味するベルリネッタ(Berlinetta)の頭文字だが、Sはオープンボディを意味するスパイダー(Spider)の頭文字。このあたりは、フェラーリのネーミングの伝統に則っている。
注目のルーフトップは、電動開閉式のリトラクタブルハードトップ(RHT)。トップ自体は2分割構造で、ミッドシップ配置のエンジンの前方にコンパクトに格納される。開閉に要する時間は14秒で、車速45km/hまでなら走行中の操作が可能だ。また、前述の通りエンジンの前方に格納されるため、エンジンベイの放熱特性を損なうことはなく、さらにデザイン上のバランスも高いレベルを実現する。高さ調整が可能なガラス製のリアスクリーンを設け、ルーフ格納時にキャビンとリアデッキを隔てて走行時の風の巻き込みを抑えたこともトピックだ。
ボディ骨格に関しては、AおよびBピラーやサイドシルなどキャビンまわりを入念に補強したうえで、リアデッキを新たにデザイン。ウィング形状とフライングバットレス、可動式のアクティブスポイラーによってベルリネッタと同レベルの空力特性を実現するとともに、新設計のトノカバーが高い放熱性と整流効果を確保する。一方、296GTBでは左右のバットレスに配していた給油口および充電口は、左右リアフェンダーの上部に移設した。
インテリアについては、296GTBと同様、デジタルインターフェースによる新コンセプトを中心に、エレガントで洗練されたデザインに仕立てる。メインのインストルメントクラスターはダッシュボードトリムの深い割れ目に埋め込まれ、またダッシュボードは表面を意図的にクリーンで張りつめた印象にアレンジ。さらに、彫刻的なドアパネルは素材と色でダッシュボードとシームレスにつなげ、中央部には菱形状に深く彫り込んだ3次元的なエレメントを配した。一方、センタートンネルの意匠は変更し、新たにフタ付きの収納コンパートメントを配備。また、シートには専用のディアパソンスタイルを採用した。
コクピット内の乱流を抑えるソリューションを導入したことも訴求点。ヘッドレスト後方のトリムの形状を最適化してできるだけ多くの空気をトノカバーへ送り出し、車内に巻き返す気流の量を低減するよう設計した。合わせて、エンジンサウンドを乗員に伝えるエキゾーストレゾネーターシステム(ホットチューブ)も刷新。エンジンベイはRHTをシームレスに組み込むようアレンジし、ルーフを閉じた状態でも296GTBと同様の豊かな音色を楽しむことができる。
パワートレインは基本的に296GTBと共通で、ボア×ストロークを88.0×82.0mmのオーバースクエアに設計したミッドシップ配置の2992cc・V型6気筒DOHCツインターボエンジン(最高出力663hp/8000rpm、最大トルク740Nm/6250rpm)に、ダブル・ローターでシングル・ステーター型のMGU-Kモーター(最高出力122kW/最大トルク315Nm)、専用セッティングの8速DCT、モーターとエンジンを切り離すトランジション・マネージャー・アクチュエーター(TMA)、容量7.45kWhのリチウムイオンバッテリーで基本システムを構成。システム総出力は830hpを発生し、後輪を駆動する。また、eマネッティーノと称するドライブモードとして、モーターのみで走り、バッテリーがフル充電の状態で最大25kmの走行が可能なeDrive(最高速度は135km/h)、始動時のデフォルトモードで、パワーフローは効率を最大化するようマネージメントされて制御ロジックが内燃エンジンの介入を決定するHybrid(H)、エンジンを常に稼働してバッテリーの効率を維持し、いつでもフルパワーが発揮できる状態に設定するPerformance、バッテリーの再充電を抑えて、最大のパフォーマンスを発揮するQualifyという4ポジションを設定した。
性能面では、車重を296GTB比で70kg増(1540kg)に抑えた効果で、最高速度は330km/h、0→100km/h加速は2.9秒と、296GTBと同等。一方、0→200km/h加速は296GTB比で+0.3秒の7.6秒、フェラーリのテストコースであるフィオラノサーキットでのラップタイムは同比+0.80秒の1分21秒80となった。
296GTSには、296GTBと同じくハイパフォーマンス志向の「ASSETTO FIORANO(アセット・フィオラノ)」パッケージがラインアップされる。装備面では、サーキット走行に最適化された特別なアジャスタブル・マルチマチック・ショックアブソーバーや、フロントバンパーに装着すると10kgのダウンフォースを上乗せするカーボンファイバー製ハイダウンフォースパーツなどを設定。車両全体では約8kgの軽量化を達成する。また、往年の跳ね馬レーシングカーである250LMからインスピレーションを得たスペシャルカラーリングをオーダーすることも可能。このスタイリング・エレメントでは、フロントの両端から始まり、中央のグリルを包んでその外周を縁取り、ボンネットへと続いてハンマーのモチーフを形成し、さらにRHT、トノカバー、リアスポイラーまで続くアグレッシブなラインを配している。
なお、296GTSの現時点での車両価格は4313万円~と公表。ユーザーへの納車は1~2年ほどかかる見込みだ。また、アセット・フィオラノ・パッケージは400~430万円ほど、ボディラインペイントは200万~220万円ほどのアップで選択できるという。
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