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“エコ”だけでない“ファン”なPHEV

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“エコ”だけでない“ファン”なPHEV

スポーティなコンパクトSUVのエクリプス クロスにPHEVモデルが追加された。EVとして使えるだけでなく、スポーティな4WDの走りを備え、いざという時には給電もできる。そんな“リーズナブル”なSUVの実力を試した。

評価の高いPHEVをコンパクトSUVにも採用

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2018年に登場したエクリプスクロスが大幅なマイナーチェンジを受けた。そのハイライトは、PHEV(プラグインハイブリッド)モデルが設定されたことだ。

車名は往年のスポーツカー「エクリプス」と最近流行りのクロスオーバーをかけあわせたもの。基本骨格はアウトランダーと共通ながら、全長を150mm短く、全高を25mm低くして、その名のとおり、よりスポーティでクーペライクなスタイリングとなっている。

マイナーチェンジ前は、アウトランダーにPHEVモデルを、エクリプスクロスにはディーゼルエンジンモデルを設定して棲み分けを図っていたが、昨今の電動化の流れをうけ、マイナーチェンジを機にディーゼルモデルをカタログから落として、エクリプスクロスにもPHEVを設定したというわけだ。

そもそもアウトランダーで定評のあるPHEVモデルだけに使い勝手のよさは良好だ。13.8kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、EV航続距離は57.3km(WLTCモード)を実現。充電時間は普通充電なら約4.5時間で満充電、急速なら約25分で80%の充電が可能だ。またステアリングに備わるパドルシフトを使って、B0(コースティング)~B5まで回生の度合いを調整可能。山道など下り坂で積極的にパドルシフトを使用すれば下山する頃には満タン近くまで蓄電が可能で使い方次第では充電器いらずだ。

市街地など日常の大半はEVとして使える。バッテリー残量や走行状況に応じて、エンジンで発電した電力でモーターを駆動する「シリーズ走行モード」やアクセル全開時にはエンジンの動力で走行し、モーターがアシストする「パラレル走行モード」に自動で切り替わる。

パワートレインは、最高出力128ps、最大トルク199Nmを発揮する2.4リッター4気筒自然吸気エンジンに加えて、前後軸にそれぞれ1基ずつ高出力モーターを搭載。前後モーターはそれぞれ82psと95psを発生。そしてPHEVは電動走行できるだけでなく、4WDの制御にもメリットがある。モーターで伝達ロスなしに前後左右の駆動力配分を自在に行うことができるのだ。

三菱ではこのシステムをS-AWC(Super-All Wheel Control)と呼んでいるが、WRCなどで活躍したランサーエボリューションで培われたAYC(Active Yaw Control)やASC(Active Stability Control)、ABS(Anti-lock Brake System)などを統合制御するものだ。

中でもエクスプスクロスのユニークアイテムとして、ドライブモードにノーマル、スノーに加えて、ラフロード用の「グラベルモード」、そしてワインディングなど舗装路用の「ターマックモード」を備えている。ラリー由来の用語が使用されているだけあって、 とても背の高いSUVとは思えない旋回性能と走行安定性を実現している。

価格以外にPHEVを選ばない理由はほとんどない

PHEVモデルのさらなるメリットは、トランク内に100V AC電源を備えており、定格消費電力1500Wまでの電気製品が使用できること。ものは試しにと電気ポットでお湯を沸かし、ホットプレートで肉を焼いてみたが実に簡単に使えた。今時のソロキャンパーは飯盒炊さんが面倒だと、この機能を使って炊飯器で米を炊くのだという。またサーファーにはドライヤーが使えると好評らしい。災害時の支援活動では電動ベッドや洗濯機の動力源となったようで、こうした給電機能を備えたPHEVモデルの有用性は極めて高いといえる。いま国内でも欧州のPHEVモデルが増えてきたが、こうした給電機能を備えているものはほとんどない。トヨタや三菱などに一日の長がある。

車両価格は、ガソリン仕様の最上位モデルが約335万円、PHEVの最上位が約447万円(PHEVの廉価版は約385万円)。ガソリンモデルとの価格差は約100万円あるが、CEV補助金が22万円、これ以外にも自治体ごとに補助金が設定されており、その差がさらに縮まる。

普段はEVとしても使えるし、また三菱らしいスポーティな4WD性能も味わえて、かついざというときに役立つ給電性能を考えれば、価格以外にPHEVモデルを選ばない理由はほとんどない。実際のところアウトランダーで約75%、エクリプスクロスでも65~70%の人がPHEVを選んでいるという。

このエクリプスクロスPHEVには、「エコなだけでなく、ファンなものを」、「実用性は失うことなく、スタイリッシュなものを」という思い、ランエボやパジェロの時代から脈々と受け継がれてきた開発陣のそういう思いが込められている。いろんな側面からみて、とても“リーズナブル”なクルマだと思う。

文・藤野太一 写真・柳田由人 編集・iconic

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