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ロータス23より美ボディ? 他に例がない公道での「没入体験」 唯一のナンバー付きエメリソン(2)

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ロータス23より美ボディ? 他に例がない公道での「没入体験」 唯一のナンバー付きエメリソン(2)

ロータス23と比較したくなるボディ

エメリソンは、ナンバープレートの取得可能なクルマを作ったことはなかった。しかし、公道で開かれるヒルクライム・レースへF2マシンで参戦するには、同社への依頼が最も現実的だとレイ・フィールディング氏は判断したらしい。

【画像】例がない公道での「没入体験」 唯一のナンバー付きエメリソン 同時期のクラシックたち 全125枚

そこで代表のポール・エメリー氏は、英国のスポーツカー規格に沿って再設計。シートを2脚載せられるよう、F2用シャシーは中央部分が外側に広げられた。

ドアやライト類を備える、ボディも新たにデザインされた。デザイナーは不明だが、クーパー社のT39、ボブテールと呼ばれるマシンの影響が強いことは明らかだ。

エンジンは、F2マシンと同じ1.5Lのコベントリー・クライマックス社製。だが、ツインUSキャブレターを載せたシングル・オーバーヘッド・カムのWBユニットで、中身は異なった。トランスミッションは4速マニュアルで、クーパーの刻印が入っている。

最高出力は99psと控えめ。車重は約519kgと軽く、1t当たりの馬力は約200psと、まったく不足はない。

サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン式。リアは、アッパーリンクをドライブシャフトが兼ねた、ウィッシュボーン式が採用された。ブレーキは四輪ディスクで、ステアリングはラック&ピニオン。当時最先端のパッケージングといえた。

自ずと、同時期のロータス23と比較したくなる。筆者としては、スタイリングではエメリソンの方が優れているように感じる。シルエットは美しく、ナンバープレートの取得に必要なドアも、巧みに融合されている。

これ以上無理なくらい低い座面の位置

HSO 77のナンバーで、1961年3月に納車。フィールディングは妻のドリーンとともに、その年のヒルクライム・レースを戦っている。その後、ウィラル・レーシング社を営むグレアム・オースティン氏が購入。JCM 700のナンバーで再登録された。

彼は1964年から1966年まで、モータースポーツに投入。1971年にはリチャード・ファルコナー氏が入手し、46年間も状態を維持した。その間にも多数のイベントへ参戦し、1977年のシルバーストン6時間リレー・レースでは、85周も周回している。

現在のオーナーは、整形外科医のデビッド・ギデン氏。独自性の高さへ強く惹かれた彼は、既に5年間をともにしており、価値を高めることを目指し包括的なレストアが施されている。

最初に作業を引き受けたのは、英国のサーキット・モーター・ボディーズ社だったが、以前のクラッシュによる損傷を発見。ロータスを得意とする専門家、ティム・ギャリントン氏が最終的に仕上げたそうだ。

ヒルクライム・レースを15年以上嗜むデビッドは、初代オーナーが志したロードゴーイング・エメリソンのスピリットを正しく受け継いでいる。今回はシルバーストンのコースへ入れないが、経緯を考えれば、公道での走りを確認した方が望ましいだろう。

小さなドアを開き、薄いクッションにレザーが張られたシートへ腰を下ろす。着座位置は、これ以上無理なくらい低い。1960年代のワンオフモデルとしては、理想的なほど人間工学に優れ、快適に過ごせる。

他に例がないほど公道で運転に没入できる

車内には、スペースフレームの骨格が露出。3スポークのステアリングホイールが正面に伸びる。ダッシュボードには、時速120マイル(約193km/h)まで振られたスピードと、6500rpmからレッドラインのタコメーターの他に、2枚の補助メーターが並ぶ。

チョークレバーとバッテリーのカットオフスイッチと、ライト用のスイッチなどがいくつか。スパルコ社製のハーネスを固定すると、足もとには自然とペダルが来ている。直接目視できないものの、3枚の間隔は完璧といえ、ヒール&トウしやすい。

燃料ポンプを始動させ、イグニッション。驚きで声を漏らすほど、エグゾーストノートはやかましい。アイドリング状態でも耳をつんざき、文化的とはいえないだろう。

クラッチもアクセルもペダルは軽く、コベントリー・クライマックス社製の4気筒ユニットは、遠慮なくボリュームを増大させる。シトロエン社製がベースだという、ストレートカットのギアからも唸りが高まる。

シフトレバーは、ステアリングホイールの右側。少し不規則なゲートが、ダッシュボードに刻まれている。アクリル製のスクリーンが、顔をある程度保護してくれる。

クラシックなF2マシンを公道で走らせるという気分は、今でも刺激的。ノイズがうるさく、レッドラインまで回そうという熱意は収まっていくが、公道でこれほど運転へ没入できるモデルは他にほぼ存在しないだろう。

魅惑的なロードゴーイング・レーサー

面白いことに、初代ロータス・エリーゼの体験にも通じている。とはいえ、感覚の濃さは50%増し。やはり、JCM 700のホームはヒルクライム・コースだ。

ステアリングホイールには、常にフィードバックが伝わり、手のひらは震え続ける。コーナーへ侵入すると、緩やかなアンダーステア。殆どボディロールは伴わない。ステアリングラックのレシオはクイックすぎず、高速域でも緊張感は高くない。

乗り心地は、想像以上にしなやか。凹凸が目立つ地方の道でも、不安定になるような揺れはなく、不満ない速度で流せる。ブレーキにはサーボが備わらないが、充分に力を込めれば制動力は確か。ペダルには、しっかり感触が伝わってくる。

高速道路に入り、110km/hへ加速。アンダーステアが増す。オーナーのデビッドは、リミテッドスリップ・デフの効きが強すぎることが原因だと考えている。それなら、修正は難しくないだろう。

サーキットが主戦場のF2マシンをヒルクライムで戦わせるため、裏技的な手法で作られたエメリソン。その沼のように惹き込まれる体験を知り、もっと評価されるべき1台だったという想いが増す。なんと魅惑的な、ロードゴーイング・レーサーなのだろう。

協力:ポール・マッティ氏、シルバーストン・サーキット

エメリソン(1961年/英国仕様)のスペック

英国価格:−ポンド(新車時)/10万ポンド(約1890万円/現在)
生産数:1台
全長:3520mm
全幅:1400mm
全高:820mm
最高速度:188km/h(予想)
0-97km/h加速:6.0秒(予想)
燃費:−km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:519kg
パワートレイン:直列4気筒1460cc 自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:99ps/6300rpm
最大トルク:12.5kg-m/4650rpm
トランスミッション:4速マニュアル(後輪駆動)

文:AUTOCAR JAPAN AUTOCAR JAPAN

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