インディ500とNASCARのシャーロット600への参戦”ザ・ダブル”に挑戦したカイル・ラーソンは、雷雨による影響をダブルに受けてしまい、インディ500は18位完走となったものの、シャーロット600には出場できなかった。
ヘンドリック・モータースポーツからNASCARカップシリーズに参戦しているラーソン。だが今年はインディ500と同日夜に開催されるシャーロット600の両方に出場するザ・ダブルに挑戦。レース前から多くの注目を集めていた。
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しかし、天気の神様は味方してくれなかった。インディ500決勝当日、インディアナポリス・モータースピードウェイに雷雲が接近。レースのスタートが大幅ディレイとなったのだ。
それでなくとも、インディ500終了直後にヘリに乗り、直線距離で約700km離れたシャーロット・モーター・スピードウェイに向かう強行軍を予定していたラーソンにとって、この遅延は痛手だった。
そこでラーソンは、インディアナポリスに残りインディ500に出場することを優先した。これには、彼がすでにNASCARで2勝しており、シーズン終盤のプレーオフ進出がほぼ決定していたこと、NASCARではレース中のドライバー交代が可能(ただしポイントはレースをスタートしたドライバーに与えられる)なことが要因として挙げられる。
結局レースが約4時間遅れで開始となったインディ500にラーソンは5番手からスタート。レース前半はトップ10圏内を走行していた。
しかしリスタート時の加速で出遅れるなどのミスがあった他、ピットレーンでのスピード違反でドライブスルーペナルティを受けてしまった。
このペナルティで周回遅れとなったラーソンは、その後のコーションでリードラップに復帰したものの、結果は18位でのフィニッシュとなった。
レース後、ラーソンはすぐに来年のインディ500挑戦を示唆。悔しい思いを抱えながら、シャーロットへと飛んだ。
「来年もぜひ戻ってきたい」
そうラーソンは語った。
「レースを通して多くのことを学んだ気がする。リスタートでいくつかミスを犯してしまった。何が悪かったのかはわからない」
「なぜか3速ギヤに入ってしまったんだ。その後のリスタートは本当にいい仕事ができたと思うし、多くのことを学ぶことができた」
「走る上でバランスを変えるために何ができるかを学ぶことができたのは良いことだ。言うまでもなく、アンダーグリーンでのピットストップで左フロントをロックさせてしまい、(スピード違反で)チャンスを失ってしまった」
「完走できたことは誇りに思うが、自分自身にはかなり腹が立っている。もっといいレースができたはずだ。でもアロー・マクラーレンやヘンドリック・モータースポーツをはじめ、このレースに関わってくれたすべての人に感謝している。なんとか600に出られるかどうかやってみるよ」
すでにスタートが切られたシャーロット600に参戦するため、ヘリとジェット機を乗り継いで移動したラーソンだったが、先にシャーロットについたのは雨雲だった。
インディ500のフィニッシュから2時間も経たぬうちにラーソンが乗ったヘリがシャーロットに着き、着陸しようとしている様子が映像で捉えられたのとほぼ同時に雨粒が落ち始めたため、レースはコーション、後に赤旗中断となってしまったのだ。
ラーソンは、自身の代役としてヘンドリック・モータースポーツの5号車をドライブしていたジャスティン・アルゲイヤーからレースを引き継ぐべく、ピットロードに戻ってきたマシンに乗り込み準備をしていた。
だが雨が止んで青空が広がったインディアナポリスとは異なり、すっかり暗くなったシャーロットは湿度が高く、路面の乾燥は容易ではなかった。
結局、シャーロット600は400周のうち249周を走ったところで終了。5号車のドライバーにラーソンが加わることなく、アルゲイヤーが13位でレースを終えた。
普段はJRモータースポーツからXfinityシリーズにフル参戦しているアルゲイヤーは、自分の仕事はラーソンに良い状態でマシンを渡すことだったが、おかげでレースを楽しめたと振り返った。
「カイル・ラーソンのおかげで、僕はここにいる。ザ・ダブルはとても重要だ」
「僕の唯一の仕事は、フェンダーをつけたまま、できるだけ前方でマシンを走らせ、カイルがマシンに戻る絶好のチャンスを作ることだった」
「残り5周になったり、雨で順延になったり、スタートから5周目だったりしても、僕の仕事は彼にクリーンなレースカーを渡して、彼がいい走りができるようにバランスを調整することだった」
アルゲイヤーは、ラーソンのザ・ダブルへの挑戦が失敗に終わったことに「がっかりしている」としながらも、レースが再開されていれば、ラーソンはシャーロットで勝利を手にするポジションにいただろうと考えている。
「ちょっとしたピット戦略、クリーンエアを少し得ることができれば、カイルがレースに勝つチャンスはあったはずだ」
「僕にとって(このレースは)かなり楽しかった。大成功している組織のドライバーとマシン、チームの中を覗いて、それを最大限活用できたんだ」
残念ながらザ・ダブル達成はならなかったラーソン。1年後のリベンジに期待だ。
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