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【なぜ?】マツダ新SUV戦略 直列6気筒+後輪駆動で「マツダらしさ」増すワケ

掲載 更新 241
【なぜ?】マツダ新SUV戦略 直列6気筒+後輪駆動で「マツダらしさ」増すワケ

マツダ SUV群の将来像が明らかに

執筆:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)

【画像】後輪駆動化でマツダらしさ増していく?【マツダ6/CX-8/CX-9を見る】 全180枚

マツダがSUVの商品ラインナップを充実させると発表した。2022年から2023年にかけて導入する予定だ。

注目されるのは、ボディが比較的大きなラージ商品群のSUVで、CX-60(2列シート/日本や欧州で販売)、CX-70(ワイドボディの2列シート/北米などで販売)、CX-80(3列シート/日本や欧州で販売)、CX-90(ワイドボディの3列シート/北米などで販売)が明らかになった。

このほかスモール商品群のSUVとして、北米向けのCX-50もある。

ラージ商品群のSUVは、現在用意されているCX-30やCX-5よりも上級に位置付けられる。

そして国や地域の事情に応じて、プラグインハイブリッドなど、モーターを搭載する車種も投入していく。

とくに欧州では、電動化が進んでいるため、直列4気筒ガソリンエンジンとモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドを中心に据える。

また既に実用化されているスカイアクティブXやクリーンディーゼルターボの技術を使う直列6気筒エンジンを開発して、ディーゼルにも48Vのマイルドハイブリッドを組み合わせる。

この直列6気筒エンジンでは、高い動力性能と環境性能の両立をねらう。

最も高い動力性能が求められる北米では、直列6気筒エンジンにターボを組み合わせたり、プラグインハイブリッドへの発展も図る。

直6エンジン基軸に 電動化対応も

気になるのは、今後の国内市場への対応だ。

ラージ商品群に属する新たなSUVとしては、前述のCX-60(2列シート)とCX-80(3列シート)がある。

この2車種に搭載するエンジンについては、日本で人気の根強いクリーンディーゼルターボも存続させる。

直列6気筒ディーゼルターボに、48Vのマイルドハイブリッドを組み合わせたり、プラグインハイブリッドを導入していく。

クリーンディーゼルターボ+プラグインハイブリッドは、少なくとも日本車では画期的な組み合わせだ。。

エンジンの選択肢を充実させる一方で、MX-30 EVモデルによって実用化された電気自動車にも力を入れる。

2022年の前半からは、コンパクトな発電用ロータリーエンジンを搭載する新しい電動技術も導入する。

これらを使うことで、2030年には、すべてのマツダ車がマイルドハイブリッドを含めた電動機能を搭載する。

ロードスターはおそらく2030年にも設定されているから、同様の電動技術を搭載するだろう。

ちなみにレクサスのLC500hやRC300hは、スポーツクーペでありながら、既に本格的なストロングハイブリッドを搭載している。

高性能なスポーツカーのハイブリッドは、もはや珍しい存在ではない。

マツダも新しいエンジンラインナップを構築して、電動化を推進していく。

直6エンジンに後輪駆動の組み合わせ

直列6気筒エンジンは、必然的に縦置きになるから、ガソリン、ディーゼルともに新しい後輪駆動のプラットフォームと組み合わせる。

後輪駆動であれば、従来の前輪駆動よりも、前後輪の重量配分をバランス良く保ちやすい。

しかも加速時には車両の荷重は後輪に加わるので、後輪を駆動すれば、駆動力の伝達効率も高まる。

後輪駆動の2WDでは、操舵は前輪、駆動は後輪と役割を分担するから、アクセル操作によって操舵感が影響を受けにくいメリットもある。

今は前輪駆動でも、操舵感や安定性は十分に満足できるが、感覚的な領域では依然として駆動方式による違いが残る。

だからこそメルセデス・ベンツやBMWなどのプレミアムブランドは、今でもミドルサイズ以上の車種に後輪駆動方式を採用しているのだ。
 

ラージ商品群 マツダらしさ濃厚に

そしてマツダは、ドライバーの自然な運転感覚にこだわる。

魂動デザインでは、獲物をねらって疾走するチータが原点にあり、野性動物は主に後ろ足で蹴り上げて前足では進む方向を決める。

したがって魂動デザイン+スカイアクティブ技術の考え方では、前輪駆動よりも後輪駆動の方が親和性が高い。

その表現として、今のマツダ車は、フロントピラー(柱)を手前に引き寄せてボンネットを長く見せている。

これは後輪駆動のデザインに近いが、実際の駆動方式はあくまでも前輪駆動だ。

そのために今のマツダ車の多くは、フロントオーバーハング(ボディが前輪よりも前側に張り出した部分)が長く、視覚的なバランスを悪化させている。

後輪駆動にすれば、この無理が伴う造形を完璧に整えることが可能だ。

つまりマツダのクルマづくりを考えると、ラージ商品群の後輪駆動化は、必然的な発展といえる。

直列6気筒エンジンと後輪駆動を採用したラージ商品群では、セダン&ワゴンの次期マツダ6なども含めて、マツダらしさが一層濃厚になる。

なお、後輪駆動の欠点は、後輪へ駆動力を伝えるプロペラシャフトのトンネルが車内に張り出すことだ。

床面の平らなミニバンを開発する場合は、トンネルをカバーするために床が大幅に高まるが(ハイエースやキャラバンのようになる)、今のマツダはミニバンを開発しない。

したがって後輪駆動の欠点も生じにくい。

プレミアム路線に 商品力向上に期待

マツダのラージ商品群について販売店に尋ねると、以下のように返答された。

「今のところラージ商品群の具体的な販売計画は、メーカーから聞いていない。しかし後輪駆動に変更される次期マツダ6に関しては、お客さまからの問い合わせが多い」

「マツダの計画では、日本で販売される上級SUV(CX-60やCX-80)にも直列6気筒エンジンを搭載して後輪駆動になるから、今後はSUVのお客さまからも問い合わせを受けるだろう」

「とくにCX-5は、先代型を含めて保有台数が多く、新型SUVへの乗り替えも想定される。新型車の発売時期など、具体的な情報を早めに流して欲しい」

CX-60やCX-80の外観デザインや価格は、現時点では分からないが、CX-5よりは上級の価格帯になる。

そうなるとCX-8と同等かそれ以上だから、価格の安いグレードでも350万円に達して、売れ筋の価格帯は400~550万円だ。

ハリアーを上まわり、ミニバンのアルファードなどと同等になる。

輸入SUVでは、後輪駆動をベースにした高価格車も注目されているが、プレミアムブランドが中心だ。

マツダがこれからCX-60やCX-80というラージ商品群の高価格なSUVを積極的に販売するなら、内外装や運転感覚を上質に仕上げ、なおかつブランド力も高める必要がある。

そのためには数年後に売却するときの価値も大切だ。

そうなるとラージ商品群のマツダ車は、上質感を中心に、商品力を大幅に向上させるだろう。

マツダのコンセプトにピッタリあった直列6気筒エンジン+後輪駆動を手に入れて、いよいよマツダの開発力が本領を発揮する。大いに期待したい。

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みんなのコメント

241件
  • 先代CX-5以降のマツダ車はボンビーの「自分は他人とは違う優れたセンス、類いまれなる感性の持ち主だ」という承認欲求を低コストで満たしてくれるありがたい車です。 ボンビーはマツダに頭が上がりません。
  • もともとFFなのにFRみたいなチグハグデザインだったもんね
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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