■エンジンはEJ20を継続…ECUは変更
2月22日、STI(スバルテクニカインターナショナル株式会社)は今シーズンのSUPER GT、GT300クラスに参戦するSUBARU BRZ GT300を富士スピードウェイにて報道関係者に公開しました。
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昨シーズン、市販のBRZのフルモデルチェンジを受けボディを刷新し臨み見事シリーズチャンピオンに輝いたチームにとってGT300クラス初の2年連続チンピオンに向けてのスタートです。
【画像】金色のラインは昨シーズンのチャンピオンの証! 2022年参戦マシン
走行前にSTI代表取締役社長の平岡泰雄氏から挨拶があり、昨シーズン、念願のシリーズチャンピオン獲得に向けて応援してくれたファンや関係者にお礼。前例のないGT300クラス2連覇に向け今シーズンも全力で戦うことを誓いました。また、監督を務めるR&D SPORTの澤田稔氏は昨シーズン以上に応援してもらえるように強くて魅力あるチーム作りをし、いいレースをしていきたいと語りました。
今シーズンを戦うマシンはもちろん昨年から導入した新型ボディのマシンです。カラーリングについては昨シーズンのデザインを踏襲しつつも、一目で2022年マシンだとわかり、かつ2021年のチャンピオンチームである事を表現し各部に金色のラインが使われています。
性能面では、パワーユニットは引き続きEJ20ユニットが使用されます。SUBARUがWRCを戦っていた時代から長年使われてきた名機ですが、エンジン制御については同じく長年使用されてきたマクラーレンのECUから、今シーズンはMoTeCに変更されていました。
この点については、変更することよりもむしろWRC参戦時代から同じメーカーの同じ型番のECUが昨年まで使われていたことに少々驚きましたが、チーム総監督の小澤正弘氏(STI)によると、ECUの変更はバグの問題や新規開発コストなどの点でリスクが高く、また理論値だけではわからないドライバーの入力に対するフィーリングなど実走データでしか得られない領域が熟成の域に入っていたためリスクの少ないECUを使い続けていたそうです。
今シーズンから採用する処理能力が高い最新スペックのECUでもう一歩上を目指しますが、現時点ではフィーリングなどの点で必ずしもドライバーから高評価には達していないとのこと。開幕戦まで精力的にテストを重ね合わせ込んでいくと語っていました。
■コーナリング性能をさらに引き上げたい
他の開発ポイントとして現在取り組んでいるのは空力性能とシャシー性能の向上だそうです。つまり目指すのはコーナーリング性能。これはBRZ GT300がデビューしたころから歴代の総監督が繰り返し求め続けてきたことで、2022年シーズンも引き続き同じ方向でマシンに磨きをかけていくという事です。ライバルのGT300マシンと比べてパワフルとは言い難い2リッターエンジンで戦い続けるBRZ GT300にとって、コーナーリングスピードは生命線とも言えるものです。
また、小澤氏は2022年シーズンを戦っていく上で、昨年チャンピオンを獲得した事でパワーウエイトレシオが悪化する方向でのBOP(性能調整)を想定しており、そのような状況でもトップスピードが維持できるよう空力性能の向上を目指し、現在はフロントフェンダーの形状改良に取り組んでいるとのことです。
チームの目標として掲げているのはもちろんGT300クラス2連覇。昨シーズンも掲げたシーズン1勝以上、表彰台3回獲得に加え今年は全戦ポイント獲得と最後まで優勝争いに絡みファンの期待に応えるというものです。
チャンピオンを獲ったとはいえ、まだまだミスががあったと振り返るドライバーの井口卓人選手はドライバーとしてさらなる精度をあげたいと語り、山内英輝選手は連覇を目指すと同時に最多ポールポジションを目指すと宣言しました。
このコンビも8年目。2人はこれまで大排気量のFIA-GT3マシンなどのライバル達相手に2リッターのBRZ GT300でつねにギリギリの戦いを挑んできました。チャンピオンまでの道のりが長かった分、悔しい想いも数多く共有してきたはずです。マシンの熟成とともに、その経験も2連覇という高いハードルに挑戦する大きな力になるでしょう。
今シーズンの開幕戦は4月16~17日、岡山国際サーキットで開催されます。このサーキットはコースレイアウト的にBRZ GT300と相性がいいと長年言われてきながらなかなか結果が出せていないサーキットでもあります。その一因と考えられているのが気温ですが、今シーズンはタイヤの開発もうまく進んでいるようでスバルファンには期待が大きくもてるレースになりそうです。
〈文と写真=高橋 学〉
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