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いま最も売れている輸入SUV! VW Tクロス なぜ人気? ヴェゼルに勝る驚きの性能とは

掲載 更新 27
いま最も売れている輸入SUV! VW Tクロス なぜ人気? ヴェゼルに勝る驚きの性能とは

 2021年上半期(1月~6月)に、もっとも売れた輸入SUVは、フォルクスワーゲン「T-Cross(以下、Tクロス)」となった。Tクロスは、欧州地域で爆発的なヒットとなっているVWのSUV 3兄弟(ティグアン、T-Roc、Tクロス)の末っ子である。

 2020年1月、日本市場に登場。2020年は、上半期、下半期ともに輸入SUVカテゴリで、1位を獲得するなど、大人気となっている。人気輸入SUV「Tクロス」の魅力とは!? 国産のライバル車と比較しつつ、Tクロスの魅力、そして弱点についても、せまってみよう。

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文/吉川賢一
写真/池之平昌信、平野 学

[gallink]

コンパクトなボディに凝縮された「質実剛健」感

フォルクスワーゲンの SUVシリーズの中で最も小さなコンパクトSUVとして、2020年1月に日本導入されたTクロス

 VW「Tクロス」の2021年上半期の新車登録台数は、5193台。冒頭でふれたように、SUVカテゴリでは1位、輸入車全体でみても、1位のMINI(9135台)に続く2位となる好成績だ。「MINI」の数字の中には、3ドアや5ドア、そしてクロスオーバーなど、数車種が含まれているので、1車種で最も売れた輸入車は、Tクロスということになるかもしれない。

 2021年上半期輸入車登録台数ランキングで衝撃的なのは、Tクロス躍進の陰で、同ブランド「ゴルフ」がトップ10から抜けてしまっていることだ。

 かつては、フォルクスワーゲンといえば「ゴルフ」というほどに、圧倒的な強さを誇っていたが、2016年に、ランキングでMINIに抜かれたあとは、メルセデス・ベンツCクラスとの2位争いを繰り広げていた。2020年下半期には、3位に位置していたが、2021年上期ではなんと11位以下にまで落ちてしまっている。

 コロナ禍によって、新型ゴルフ8の日本導入が大きく遅れたことや、半導体不足なども影響しているだろうが、TクロスやT-RocといったSUVがのびたことで、ゴルフが圧迫された、ということが大きな要因であろう。

<2021年上半期SUV登録台数トップ3(1-6月)>
1位(総合2位) フォルクスワーゲン「Tクロス」 5193台
2位(総合5位) フォルクスワーゲン「T-Roc」 3854台
3位(総合7位) ジープ「ラングラー」 3749台

<2020年下半期SUV登録台数トップ3(7-12月)>
1位(総合5位) フォルクスワーゲン「Tクロス」 4065台
2位(総合9位) メルセデス・ベンツ「GLB」 3512台

<2020年上半期SUV登録台数トップ3(1-6月)>
1位(総合4位) フォルクスワーゲン「Tクロス」 4865台

やっぱり小ささは「正義」!! ヤリスクロスよりも実はコンパクト

Tクロスの欧州地域でのライバルは、ルノーキャプチャー、ダチアダスター、プジョー2008、トヨタヤリスクロス、といったところだ。全長4115mmという、非常にコンパクトなサイズは、ハッチバックのポロ(全長4060mm)に次ぐ小ささ

 全長4115×全幅1760×全高1580mm、ホイールベース2550mmのコンパクトなボディサイズは、VWではハッチバックのポロ(全長4060mm)に次ぐ小ささだ。ヤリスクロスとサイズはほとんど変わらず、むしろ65mm短い。

 しかし、Tクロスのほうが角の立ったボクシーなスタイリングのため、ヤリスクロスよりも車室内の広さは勝っている。四角いリアサイドウインドウも、前後席からの見晴らしがよく感じる。最小回転半径も、5.1mとコンパクトSUVの中でも小さく、これも嬉しいポイントのひとつだ(※ヤリスクロスは5.3m)。

 パワートレインは、排気量999ccの直列3気筒インタークラー付きターボ(最高出力85kW(116ps)、最大トルク200Nm)と7速DSGの組み合わせのみ。本国ドイツでは、ハイパワーな1.5LのTSIもラインナップにあるが、常用速度域がドイツよりも低い日本市場には不要、ということだろう。

 WLTC燃費は16.9km/L(市街地13.2、郊外17.1、高速19.1)と、国産のコンパクトSUVと比べていいとはいえないが、ドイツのメーカーらしく、高速巡行での燃費を優先したセッティングとなっている。

ドア閉じ音からも伝わる「質実剛健なつくり」

コンパクトだが、スクエアなフォルムで広い室内空間と荷室スペースを実現している

 ドアを開けた瞬間の「バスッ」という音の質は、「つくりの良さ」を感じさせてくれる。近年は、国産車であっても、ドア開閉時の音にこだわるようになってきたが、Tクロスのは、やはりドイツ車らしさを感じさせるものだ。

 久しぶりに見た手引きのサイドブレーキもいい。ただ、ACC(先行車追従型クルーズコントロール)の停車時のホールド時間が5秒程度しかない、というのは、もう少しなんとかしてほしかったところだ。

 走り始めれば、軽い身のこなしで運転がとても楽に感じる。軽自動車に毛の生えた程度の排気量で、どうしてこれほど力強い加速や巡行走行ができるのかと驚く。7速DSGについては、低速発進時の動作を気にされる方も多いが、最近のVW車のDSGにケチをつけることはごく稀だろう。

 エンジンの回転数をさほど上げずに、「クン!! クン!! 」とシフトアップをしていくので、イメージ通りの加速に乗せやすい。そのため、中低速で走るワインディングや高速巡行は大の得意だ。その半面、段差乗り越し時の突き上げは大きめ。

 「ドタン! 」といったインパクトノイズと鋭いショックは、後席だと少しきつい。筆者が試乗したのが、45扁平の18インチタイヤをはいたモデルだった、ということが原因であろう。購入される方は、上級グレードを欲張らずに、16インチや17インチタイヤを選んだ方が、幸せになれると思う。

「使い勝手の良さ」と「新世代のデザイン」がTクロスの魅力

 このTクロスのライバル、といえば、国産コンパクトSUVのヤリスクロスやホンダヴェゼル、といったところだ(キックスは、パワートレインがe-POWERのみとなるので今回は除外)。ただ、比較するにあたって、どうしても割高となる輸入車と、コストで有利な国産車たちとを、コスパで比較してもしょうがない。パッケージングや使い勝手、性能に特化して考えてみようと思う。

 となると、Tクロスの勝ちポイントは2つ、「使い勝手の良さ」と「新世代のデザイン」だ。Tクロスは、パッケージングが秀逸。全長はヤリスクロスよりも短いのだが、VDA方式による荷室容量は、ヤリスクロスが371L、ヴェゼルは390Lであるのに対し、Tクロスは455L。もっと大きなカローラクロスの 487Lに迫る勢いだ。

 これは、傾斜の少ないリアウインドウや、しっかりと確保した全高など、Tクロスの荷室形状が大いに関係する。また、荷室口の幅がしっかりと広めにつくられており、容量だけでなく、荷物の乗せ降ろしについてもしっかりと考えられている。

 また、最小回転半径5.1mも、地味だがものすごく効くポイントだ。「転回まであと少し!! 」の先に曲がる余裕があることで、駐車場やUターンのシーンで大いに役立つ。

 ドイツ車は全般的に小回り性能に優れているが、なかでもTクロスは秀逸だといえる。ちなみにヤリスクロスは5.3m、ヴェゼルも5.3m(18インチだと5.5m)、0.2mの差だがその差は大きい。ちなみにTクロスは、16インチでも、17インチでも、18インチでも5.1mだ。

 デザインについては、これまでVWのデザインは、よくいえば「質実剛健」、悪くいえば「真面目過ぎてつまらない」と、いわれてきた。

 しかし、Tクロスのデザイン、特にボディーカラーに関しては、明るい緑の「マケナターコイズメタリック」や、鮮やかなオレンジ色の「エナジェティックオレンジメタリック」など、華やかで若々しい。

Tクロスのインテリア。助手席側のダッシュボード上の模様などは、オシャレなポイントだ

 インテリアは、ステアリングホイールやシフトノブ、ハード樹脂を多用したインパネやダッシュボード、センターコンソールなどは、これまでの「質実剛健なVW」を感じさせるものだが、助手席側のダッシュボード上の模様など、(若干安っぽさはあるが)オシャレなデザインも織り込まれており、こうしたことも、Tクロス飛躍の一因となっているであろう。

輸入車としては頑張った「価格の安さ」

2020年12月4日に一部仕様変更を行っており、新エンブレム・ロゴへの変更、新オンラインサービス「We Connect」に対応したインフォテイメントシステム「Discover Media」のアップデート、Tクロスへのデジタルメータークラスターが導入された

 現在、日本で販売されているTクロスは、大きく分けると「TSI Active」(286万円~)、「TSI Style」(312万円~)、「TSI R-Line」(350万円~)の3バリエーションだ。

 ここに、インフォテイメントシステムのDiscover Pro(SSDナビ、オーディオ、TV、ジェスチャーコントロールなど)が約15万円、セーフティパッケージ(全車速追従機能付ACCやレーンキープアシストシステムなど ※R-Lineは標準装備)が約17万円、テクノロジーパッケージ(デジタルメータークラスターやスマホのワイヤレスチャージングなど)が約9万円、これらのパッケージオプションをお好みで選ぶことになる。

 非ハイブリッドのピュアガソリン車と考えると、やはり「輸入車」といった価格であり、国産SUVと比べて割高な印象は否めないが、プラス40万円程でフルオプション状態になると考えれば、輸入車としては、良心的な価格だといえる。

 このように、しっかりと中身を確認すると、Tクロスが売れている理由もよく分かる。また、Tクロスの兄貴分である、「T-Roc」も躍進しているようだ。Tクロス・T-Rocの兄弟は、当面のあいだ、輸入車ランキングでその名をとどろかせることだろう。

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27件
  • どんなに性能がよかろうとも日本だけDCTを自己負担で修繕させようとして下取りを買いたたいた恨みは忘れないよ。
  • 得意のドイツ車信奉のアゲ記事ね
    お疲れ様草
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