EVの「レンジエクステンダー」として水素利用
フランスのルノーは10月4日、水素燃料電池を搭載した新型のコンセプトカー「エンブレム(Embleme)」を発表した。生産から廃車までのCO2総排出量を従来のガソリン車よりも90%、バッテリーEVよりも80%削減できるという。
【画像】美しさとスポーティを兼ね備えた次世代クーペSUV【ルノー・エンブレム・コンセプトを写真で見る】 全12枚
全長4.8m、全高1.52m、ホイールベース2.9mのクーペSUVで、動力源として2.8kgの水素タンクと30kWの燃料電池、容量40kWhのニッケル・マンガン・コバルト(NMC)バッテリーを組み合わせている。
バッテリーが2kWh以下のトヨタ・ミライやヒョンデ・ネクソとは異なり、ルノー・エンブレムは燃料電池の使用を最小限に抑えるように設計されている。バッテリーに蓄えた電力で走行し、バッテリーが減ると水素を使用して充電する。
ルノーによると、エンブレムは、水素補充のために5分間の停車を2回行ったとして、現在のエンジン車と同じ時間で1000kmを走行できるという。
さらに、パリからマルセイユまでの移動では、使用電力の約75%が水素でまかなわれるという。
エンブレムは正式にはコンセプトカーだが、市販EVのメガーヌEテックやセニックEテックと同じ「Amprミディアム」プラットフォームをベースにしている。
セニックEテックは市販車の発売前に水素コンセプトとして初めて公開されたため、エンブレムの市販バージョンが最終的にEVとして登場する可能性はある。
エンブレムは希土類元素(レアアース)未使用の電気モーター1基をリアアクスルに搭載し、最高出力217ps(160kW)を発生する。車両重量は1750kgで、セニックEテックより約100kg軽いという。
ルノーはアルピーヌF1チームのノウハウを活用し、エアロダイナミクスを最優先に設計した。例えば、空気抵抗を誘発するミラーの代わりにカメラが採用されたほか、底面はフラットに密閉され、アクティブディフューザーが装備されている。
その結果、空気抵抗係数Cd値は0.25となり、メガーヌEテックの0.29よりも優れている。
エンブレムの生産から廃車まで(ゆりかごから墓場まで)のCO2総排出量は、メガーヌEテックの24トン、ガソリン車のキャプチャーの49トンを下回る5トンとされる。
10月15日に開幕するパリ・モーターショーではエンブレムの実物大モデルが一般公開される予定だが、内装はない。ルノーは、10月末に同車を「完全な形」で発表するとしている。
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