昭和は遠くなりにけり・・・か。以前に連載した「昭和の名車」では、紹介しきれなかったクルマはまだ数多くある。そこで、1960年代以降の隠れた名車を順次紹介していこう。今回は「日産 レパード(2代目)」だ。
日産 レパード アルティマ(F31型):昭和61年(1986年)2月発売
1980年(昭和55年)に登場した初代レパードは、いわゆるスペシャリティカーのさきがけとして高い支持を得た。それを引き継ぐ2代目レパードが登場したのは1986年2月のこと。スタイルを一新し、新開発の3LのV6 DOHCおよび2LのV6 SOHCエンジンを搭載。さらに電子制御サスペンションの採用などの新機軸が話題となった。
【くるま問答】アイドリングストップ機能はよいことばかりではない。OFFスイッチはいつ使う?
開発の基本テーマは「大人のライフスタイルをハイセンスに演出するプレステージ・スペシャルティカー」だ。「優美さ」と「しなやかさ」を表現した2ドアクーペスタイルを追求するとともに、ダイナミックなプロポーションによって実現した空力特性(Cd=0.32)を併せ持つ。
トップグレードのUltima(アルティマ)に搭載されたエンジンは3L V6 DOHCのVG30DEだ。これはVG系V6エンジンをツインカム化したもので、4カム24バルブ方式は日本初のシステムとなった。また、バルブタイミングを電子制御でコントロールするNVCSの採用も話題となった。これはエンジン回転数や負荷に応じてバルブ開閉時期を制御するもので、高速域では吸気バルブ閉時期を遅くし、低中速・高負荷域では吸気バルブ閉時期を早くする機能を備えている。これによって全域において優れた吸気効率を確保し、高出力・高トルクを実現している。
下位グレードのXSには2LのV6 SOHCターボであるVG20ETに空冷式インタークーラーを装着し吸気充填効率を向上させるとともに、8.5というターボエンジンとしては高圧縮比で、低中速域の出力/トルク性能を向上させた。また、XJにはノンターボの2L V6 SOHCを搭載しているが、NICSを採用することにより低・中回転域でのトルク向上を狙っている。
トランスミッションはXJ系に5速MTが設定されている以外は4速ATとなる。全車マイコン制御によってシフトスケジュールの切り替えとロックアップ制御を自動的に行う「パワー/エコノミー自動切換え式スーパートルコン」を採用し、気持ちの良いシフトチェンジや静粛性、燃費を追求している。
サスペンションはフロント:ストラット/リア:セミトレーリングアームという当時の日産の上級車御用達の4輪独立式を採用。それにジオメトリーの最適化やロール剛性強化などのチューニングなど基本的な性能を施すとともに、アルティマには電子制御サスペンション「スーパーソニックサスペンション」を組み合わせた。これは超音波路面ソナーをはじめとする各種センサーが路面状況、走行状態などを検知し、電子制御によりショックアブソーバーの減衰力をソフト/ミディアム/ハードの3段階に自動的に切り替えることができる機構だ。良好な乗り心地と安定した車両姿勢を保てるものとした。
1987年6月には、シリーズ最上級として「グランドセレクション」シリーズを追加した。これはアルティマとXS-IIをベースに、外板色にパールホワイトツートーンとレッドパールの2色を、内装色にバーガンディレッドを新設定することで、ソフトで落ち着きのある居住空間を実現したもの。装備も豪華なものとしハイテクウールシートやカラーテレビの採用など室内空間の充実をはじめ、快適性、ラグジュアリー感を一層向上させている。ハイテクウールシートとは、乗員に静電気が帯電しないようにする導電糸をシート地に微量混紡することにより静電気のショックを防ぐもの。
2代目レパードの登場した頃は、ライバルとしてソアラがいたためにその陰に隠れた感はあるが、日本のクルマがいちばん面白かった時代の一台として記憶されたことは間違いない。
日産 レパード アルティマ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4680×1690×1370mm
●ホイールベース:2615mm
●重量:1460kg
●エンジン型式・種類:VG30DE型・V6 DOHC
●排気量:2930cc
●最高出力:185ps/6000rpm
●最大トルク:25.0kgm/4400rpm
●トランスミッション:4速AT
●タイヤサイズ:215/60HR15
●価格:383万7000円
[ アルバム : 日産 レパード(2代目) はオリジナルサイトでご覧ください ]
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みんなのコメント
乗っていたのは前期XS-Ⅱですが、同じ頃に弟が後期XSに乗っていたのですが、同じVG20でも前期のシングルカムターボと後期のツインカムターボには55psの違いがあって加速は全くの別物でした。