復興に尽力するキャンピングカー支援
2024年1月1日に発生した能登半島地震は、石川県能登半島に甚大な被害をもたらした。多くの家屋が倒壊し、交通網も寸断され、人々の生活の基盤が破壊された。政府、自衛隊、ボランティアが現地に入り、復興に向けたさまざまな活動を行っている。
能登半島地震 「復興より移住」は正しい? インフラ整備かコンパクトシティか、災害に強い国づくりを考える
しかし、震災直後はボランティアを受け入れる体制が整っておらず、多数のボランティアの宿泊所を確保することが大きな課題となった。この課題に対し、全国のキャンピングカーを取り扱う企業やキャンピングカーシェアリング事業者が支援を申し出て、震災直後に自社のキャンピングカーを被災地へ送った。
全国のキャンピングカー製造ビルダー・ディーラーが加盟する日本RV協会(横浜市)はこれまでに60台のキャンピングカーを被災地に貸し出し、主に自治体職員などの宿泊所として活用されている。
また、キャンピングカーのカーシェアリングサービスを展開する横浜の企業も、これまでに登録されている自家用キャンピングカー30台を貸し出している。これらは個人所有の車両であるため、所有者の同意がなければ貸し出すことはできないが、被災地支援のため、快く同意するオーナーもいたようだ。
さらに、熊本県のキャンピングカー製造会社も自社のキャンピングカーを能登半島に派遣しており、2016年の熊本地震の教訓を生かした支援も含め、キャンピングカーの派遣の動きは全国的なものとなっている。
「移動宿泊所」としてのキャンピングカー
災害時にキャンピングカーが有効である理由はいくつかあるが、最も重要なのは、キャンピングカーが
「移動可能な宿泊所」
であるということだ。道路さえつながっていれば、自力で被災地まで移動できるため、宿泊所を必要とする人々にすぐに駆けつけることができる。災害地で自治体職員やボランティアが活動する場合、基本的に現地に宿泊することはできないため、バスなどで長距離を移動しなければならないが、キャンピングカーを現地に止めておけば、移動の手間や疲労を軽減できる。
また、キャンピングカーには、ベースとなる車種によって小型から大型までさまざまなサイズがあるが、標準サイズのキャンピングカーであれば、3~4人が宿泊できる十分なスペースがある。30台あれば、100人近くの宿泊が可能であり、キャンピングカーを集めることでボランティア活動の拠点としても活用できる。もうひとつの大きな利点は、
「大容量の電源設備を利用できる」
ことであり、電力インフラが失われた被災地では貴重な電源源となる。
最近では、取り外し可能な大容量の充電式電池を複数搭載し、キャンピングカー内で電力を供給できる「ポータブル電源」と呼ばれるシステムが搭載されており、被災地ではスマートフォンなどの通信機器の充電や調理器具の使用などに活用できる。また、エンジンによる発電に加え、屋根に設置されたソーラーパネルで充電することも可能なため、燃料を極力節約しなければならない被災地では強力な武器となる。
さらに、電源設備が充実していることから、最近のキャンピングカーは車内で冷暖房を使用できる。これは、真冬の被災地では非常に重宝された。これから夏に向けて暑くなっていくので、宿泊だけでなく休憩場所としてもキャンピングカーの活用方法が広がっていきそうだ。
キャンピングカー支援の問題点と対策
キャンピングカーによる被災地支援は、これまでに確かな成果を生み出してきたが、その過程で生じた問題もある。
今回、被災地へ派遣されたキャンピングカーには、各社の所有車両だけでなく、個人所有の車両も多数含まれている。キャンピングカーは、一般的な乗用車とは異なる特殊な機能が多く、1台1台がそれぞれに異なる。
ベッドの作りは車両によって大きく異なり、電源を使用する場合でも、主電源スイッチの操作や充電と放電の切り替えなど、細かな操作が必要だ。そのため、急きょキャンピングカーを貸し出したとしても、その設備や機能を活用できない場合があり、誤った使用方法による故障が発生したケースもある。これに対し、
・オーナーによる取扱説明書の作成
・被災地へのメンテナンス要員の派遣
など、さまざまな対策がとられている。
こうした取り組みをきっかけに、キャンピングカーによる被災地支援が広まれば、宿泊所が不足し、ボランティアの人数も伸び悩んでいる現状を改善できるかもしれない。被災地に行ってボランティアをするのが難しい場合でも、キャンピングカーを持っていれば、支援に参加できるのだ。
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みんなのコメント
を見学させて頂いたな。
凄い豪華で驚いた。