自動車のテクノロジーや取り巻く環境は千変万化。一世を風靡したのに、最近とんと目にすることがなくなった装備やカーアクセサリーは数多い。クルマの装備のトレンドは、クルマ本体以上に目まぐるしく変わっている。今回は、使ってことがあったら、"ちょいオジさん"かも……な、「昭和の香りがする装備」を探ってみたい。
文/藤原鉄二、写真/トヨタ、写真AC
使ったことあるー! だったらオジさん確定!? 昭和レトロな装備たち
一部では復権の兆しもあり!? 「鉄チンホイール」
付け替え用のホイールカバーも多数販売されていて、付け替えることでクルマの雰囲気をガラリと変えることができると、あえて鉄チンを選択する人も増えている
もはや若者たちにとって、ホイールはアルミが当然。「鉄チン」なんて言っても通じないかもしれない。
ひと昔前は鉄チン、いわゆるスチールホイール装着車が基本で、アルミは上級グレードやオプションで選択するというのが当たり前だった。しかし、現在では状況は一変、軽自動車やコンパクトカーの一部では採用しているクルマはあるものの、その数は圧倒的に少なくなっている。
鉄チンは安価ではあるもののデザインの自由度がないというのが難点。また、一般的には、バネ下重量が重くなることにより路面追従性が悪化すると言われている。
おまけに、スポークがないため熱がこもりやすく、坂道などが延々と続くような道など、ブレーキに大きな負荷がかかるようなシチュエーションではフェード現象が発生しやすくなるというのも難点のひとつ。
とはいえ、鉄チンにも良さはある。特に、耐久性の高さは特筆点。錆びやすいものの、メンテナンスさえきちんとしてあげれば何十年ももつのだ。
一時は絶滅危惧種だった鉄チンだが、近年では、デザイン性の高いホイールカバーに付け替えをすることで個性が出せるという点に注目が集まり、あえて鉄チンを選択する人も増えている。
スポーツカーの象徴として一世を風靡「リトラクタブルライト」
AE86といえば、リトラクタブルのトレノ。この時代は、ロードスター、MR2など、国産スポーツカーの多くがリトラクタブルを採用していた
世界のスーパーカーが採用していたリトラクタブルライト。日本でも1970年代後半のスーパーカーブームにのって、各メーカーがスポーツカーや、スポーティなイメージを打ち出したい車種にリトラクタブルライトを続々と採用した。あえて説明する必要はないかもしれないが、リトラクタブルライトとは、和名だと「格納式前照灯」と表記される車体の内部に格納できる前照灯のことだ。
一時は街中にリトラクタブルライト搭載車が溢れるといった状況だった。しかし、冷静に考えると見た目がかっこいいという点以外にリトラクタブルライトのメリットはあまり見当たらない……。それどころか、点灯時は空気抵抗が増える、コストがかかる、整備が面倒など、デメリットのほうが多いのだ。
特に問題とされたのは、点灯時に事故を起こした時の殺傷性が高まるという点。この問題は致命傷だった……。
ということで、2002年、マツダ RX-7の生産を終了とともに、国産車のリトラクタブルライト搭載車は消滅した。世界でもリトラクタブルヘッドライトの廃止は進み、現行車でリトラクタブルライト搭載車はほぼ皆無となってしまった。
使い勝手は良かったが…「フェンダーミラー」
タクシーもフェンダーミラー化は進んでいるが、街を走るタクシーはフェンダーミラーのタクシーが圧倒的に多い。ベテランドライバーはフェンダーミラーを好む傾向に
こちらも、もはや目にすることはほとんどなくなってしまった装備。少し前まではタクシーはフェンダーミラーというイメージだったが、こちらも徐々に減りつつある。
もともとはドアミラーは日本では違法だった。いっぽう、海外ではドアミラーを採用するクルマが主流だったためドアミラーが輸入の障壁となっていた。そのため海外からは規制緩和が求められ、1983年、ついにドアミラーが解禁に。同年にはこぞって国産車もドアミラー装着車の販売を開始することとなった。
とはいえ、フェンダーミラーを好むドライバーは多かった。視線移動が少なく、ドアミラーよりも広い視野が確保できるうえ、車両からはみ出していないことため狭い路地でも楽に走ることができるからというのがその主な理由。
そんな使い勝手の良いフェンダーミラーが姿を消した大きな理由は、リトラクタブルライトと同様、歩行者と接触してしまった時に殺傷能力が高まる恐れがあるから。
こういったことから、現在では国産車でフェンダーミラーを装着するクルマはタクシー専用車JPN TAXIのみとなっている。ひと昔前の教習者もフェンダーミラーが定番だったが、現行の教習仕様車はドアミラー化されている。
排出ガス規制の波にのまれて姿を消した「有鉛ガソリン」
無鉛化を進めるために、「無鉛車」「有鉛車」「高速等有鉛車」「混合使用車」のいずれかに該当するクルマであることを表示するステッカーが貼り付けられた。写真のステッカーは、有鉛ガソリンを3分の1程度混合する必要がある「混合使用車」に貼られたもの
これは装備ではないものの、若い世代ではその存在自体、知らない人が多いはず。今はレギュラーもハイオクもガソリンはすべて無鉛。しかし、1970年代以前には、有鉛ガソリンが主流だった。
有鉛ガソリンとは、アルキル鉛という鉛が添加されたガソリンで、エンジンの燃焼室での異常燃焼(ノッキング)を軽減する、いわゆるアンチノック性を向上させることを目的に添加されていた。
しかし、排気ガスに含まれる鉛が引き起こす健康被害への懸念や、自動車排出ガス中に含まれる鉛の許容限度の制定などが続き、1975年にレギュラーガソリンが完全無鉛化、1987年にはハイオクガソリンも完全無鉛化された。
ちなみに、クラシックーカーや旧車には有鉛ガソリン指定のものもある。ハイオクでも走れるものの故障のリスクが高まるため、そういったクルマの場合は、市販の有鉛化添加剤を入れたり、バルブシートそのものを無鉛ガソリン用に交換してしまうということで対応している。
技術の進歩とともに姿を消しつつある装備たち
■三角窓
三角窓とは、フロントドアガラスの前方に備えられ、回転して開閉する小さな窓。開けて走ると涼しい風が車内に吹き込むというしくみだ。その昔はエアコンなしでも三角窓さえあれば涼しいと言われていた。また、エアコン嫌いの人にとっても非常に助かる装備ではあった。
とはいえ、大方の人はエアコンがついていれば三角窓なんて使うはずもなく、エアコンの普及とともにその必要性も減り、現在では三角窓を採用するクルマはほぼ皆無に。とはいえ、昔とは比較にならないレベルの酷暑にはさすがの三角窓も太刀打ちできそうにないが……。
■手回しウィンドウ
パワーウィンドウの装着率がほぼ100%となった今、手動ウインドウハンドルは絶滅の危機にある装備。取り付けコストが安いなどのメリットがあるため、手動ウインドウハンドルが標準装備される商用車は今後も残されることが予想されるが、商用車に縁がないドライバーにとっては目にする機会すらなくなっていくことだろう。
手を挟むなどのトラブルは防げる手回し式のウィンドウ。また、作動不良などのトラブルがほとんどないというのもメリットだった
ダサい!? かっこいい!? 賛否両論ありのカーアクセサリー~番外編~
■ハンドルカバー
一時は、カーカスタムの常連だったが、シンプルさを好む若者世代には、極太ハンドルやハデハデ柄のものは不人気のようだ。
ハンドルが太くなることで、握りやすく操作しやすくなる、ハンドルの劣化が防げるなど、実用面のメリットから愛用するドライバーもいまだ多いことは事実。ということで、現在もカー用品店では販売されているが、レザー調のものなどシックなデザインのものが圧倒的に多く、ひと昔前のような個性全開!! といったアニマル柄のような派手なデザインのもののラインナップは減りつつある。
■お守りぶらぶら
「交通安全」祈願のお守りは定番の車内装飾(!?)だったが、最近はお守りぶらぶらカーは減りつつある。
ただし、その昔「ビューティフルライフ」というドラマで主人公がクルマのルームミラーに取り付けてぶらぶらさせていたことで大ブームとなった、円形に編まれた蜘蛛の巣のような輪っかの下に羽根を吊るした「ドリームキャッチャー」人気が、息を吹き返しているとか。ちなみに、ドリームキャッチャーとは、アメリカインディアンのオジブワの伝統的な魔除け。
これが、とある韓流ドラマの主人公がお守りとして愛用していたことがきっかけとなり、ちょっと流行っているというのだ。それが安全運転祈願用カーアクセサリーとしてネットなどで多数販売されているのだ。
しかし、ドリームキャッチャーはお守り以上にデカい!! そんなものをルームミラー部分にぶら下げたり、吸盤でフロントガラスの上部にくっつけたりするのは視界を妨げるため非常に危険! 安全祈願どころか事故を誘発してしまう。お守りにしても、ドリームキャッチャーなどのアクセサリーにしても、フロントガラスに取り付けることはNGだ。
ドリームキャッチャーをフロントガラスにくっつけたり、ルームミラーにぶら下げるのは危険! ドラマに感化されちゃダメ
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みんなのコメント
まとまりのない適当さ。
もう少し読んで参考になる記事を書いてほしい。