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【試乗】5代目マセラティ クアトロポルテの、マイナーチェンジで磨かれた魔性の魅力【10年ひと昔の新車】

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【試乗】5代目マセラティ クアトロポルテの、マイナーチェンジで磨かれた魔性の魅力【10年ひと昔の新車】

2008年秋、5代目マセラティ クアトロポルテがマイナーチェンジすると同時に、4.7L V8ユニット搭載の「クアトロポルテS」を追加して日本に上陸した。早速Motor Magazine誌は新たな魅力を身につけたクアトロポルテSと、リフレッシュされたクアトロポルテを連れ出してロングツーリングテストを行っている。ここではその時の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年3月号より)

目につく変更点は少ないが各部を丁寧に磨き上げられた
2009年はスポーツブランドによる4ドアサルーンの当たり年になりそうだ。話題の中心にくるのは、待望のデビューを果たす、ポルシェ パナメーラとアストンマーティン ラピードの2台であろう。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

世界に名だたるスポーツブランドが威信を賭けて大型の4ドアスポーツセダンを世に送り出す。スポーツが自動車作りにおける高級の最重要アイテムとなった証でもあるわけだが、そのことを語るときに忘れてはいけないモデルが、すでに日本の街でも見つけることができる。

マセラティ クアトロポルテだ。デビューは2003年のフランクフルトショー。なじみは薄いかも知れないが、現行型で5世代目を数え、4ドアスーパーカーの世界では以前からマニアックに名の知れた存在だった。

一気にメジャー進出とあいなったのは、この5代目から。マセラティがフィアット-フェラーリ傘下となり、プレミアムブランドとしての復活作業が念入りに進められた結果、誕生したモデルである。スタイリングはピニンファリーナ。面白いことに、歴代モデルはすべて異なるイタリアンデザインで、初代のフルアに始まり、ベルトーネ、ジウジアーロ、ガンディーニと続いて、ピニンファリーナ作の現行型へと至っている。

そんなクアトロポルテがこのたび初のマイナーチェンジを受けた。これを機に複雑だったラインアップが、かなりスッキリとしたものに。

スポーティなトランスアクスル+ロボタイズドミッションでスタートしながら、途中でアメリカ市場を意識してトルコンATモデルを追加しセミATと併売にしたり、それぞれにエグゼクティブGTやスポーツGTといったトリムレベルを用意するなど、これまでは少々難解なラインアップであった。

マイナーチェンジ後は、クアトロポルテ、クアトロポルテS、そしてデトロイトショーでデビューしたクアトロポルテスポーツGTS(日本未導入)の計3グレード構成というシンプルさである。

V8エンジンは4.2L 400ps、4.7L 430ps、4.7L 440psと差別化が図られ、前二者にはZF製のトルコン6速ATが、GTSのみトランスアクスル+ロボタイズドミッションがそれぞれ組み合わされた。ちなみに、パッケージオプションとしてエグゼクティブGTの名前も残されている。

他の国のクルマにはない「イタリア車らしさ」を体現
今回は、昨秋(編集部註:2008年秋)に日本上陸を果たしたクアトロポルテSとクアトロポルテを連れ出し、静岡県掛川市にある二の丸美術館を目指しながら、その魅力を探ってみたいと思う。

一見、内外装の変更点は少なそうに見えるが、実物を見ると随分と迫力が増した。とくに顔つきが違う。楕円形に近くなったグリルがぐいっと前に出てノーズ感も一層強くなり、大型になったLEDポジション入りヘッドライトと左右のインテークとがあいまって、以前のファニーフェイスから一転、押し出しの利いたフロントマスクとなっている。そのほか、ドアミラーやリアランプ、リアバンパーが主な変更点である。

ポルトローナフラウレザーのインテリアが、相変わらずむっとした独特の空気を匂い立たせつつドライバーを迎え入れる。シートデザインのほか、シフトベースの前からダッシュボードセンターにかけても大きく雰囲気を変えた。

このあたり、ちょっと無機質に転じてしまったきらいもあるが、装備や機能面での充実度は高い。中でもプロキシミティセンサーの付いたBOSEマルチメディアシステムは注目の装備だろう。スイッチに手を近づけると、センサーが感知してその項目を大きく画面に映し出す。ちょっと慣れが必要だが、面白い。

内外装の変更もさることながら、最も気になるのはやはり、クアトロポルテSに積まれた赤いヘッドの4.7L V8だろう。青いヘッドの4.2Lをベースにボア×ストロークをともに拡大して+500cc、+30psの余裕を得た。

そのクアトロポルテSを駆って、自宅のガレージを出る。高速道路に乗るまでの一般道で、登場当初からは想像できないほど上品なマナーを身に着けたクアトロポルテに驚かされた。オートマチックモデルの追加登場時に比べても、さらに洗練された印象だ。

鼻先の軽いやんちゃな様子はまったく影をひそめ、落ち着いた軽快さで交差点をクリアする。相変わらず、硬めで節々の強さを感じるモダンな乗り味ではあるものの、排気量アップが功を奏してか冗長な感じがほとんどなくなり、クルマ全体が引き締まった。全長5mを超えるサルーンとは思えない身のこなしをみせる。

高速に乗り、入口料金所を抜け、豪快なエグゾーストをたなびかせて加速する。外で聞く分にはかなりの爆音だが、中では心地よく抑制された、つまりはボリュームを絞った轟音に聞こえる。それが、耳に心地いい。

高速域では、やはりドイツ車とはまるで違う気性が顔をのぞかせた。リアに重量配分の多いトランスアクスルモデルに比べればはるかに落ち着いた走りをみせるものの、それでも曲がりたがる性根は相変わらず。そのレベルは、曲がりたい最右翼のドイツ車、BMWをも上回るものだ。

大井松田の高速ワインディングをまるでスポーツカーのように駆け抜けた。エンジンフィールや音、軽やかなハンドリングなど、どれをとってもドライバーを喜ばす方向に振ってあり、後のさばきはドライバーに任せたといったスリルも同居している。これだけ豪奢で豪快な造りと機能を誇りながら、主はあくまでも人という点が実にイタリア車らしい。

4.2Lでも同じような経験をほとんど過不足なく得ることができる。ただし、4.7Lに比べると、ライドフィールの締まりが弱く、乗っている最中にクルマの輪郭が少しぼやけてしまう。価格差を考えると、見栄えは同じ4.2Lの存在理由がいまひとつ理解できなかった。

掛川市二の丸美術館に着いた。ここの有名なコレクションに江戸明治期のたばこ入れがある。実用の道具でありながら、芸術性の高い装飾性を帯びた装身具。ひとつひとつの部位は、その道の職人によってオーダーメイドされる。見事な細工に目を奪われ、マセラティに代表される高級スポーツブランドの4ドアサルーンと同じ世界観が見えた気がした。ともに問われるのは、主張とセンスのあるビスポークとその使いこなし方であろう。

クアトロポルテを駆って様になる粋人に、はたして何時になったらなれることやら。(文:西川 淳/写真:永元秀和)

マセラティ クアトロポルテS  主要諸元
●全長×全幅×全高:5110×1895×1440mm
●ホイールベース:3065mm
●車両重量:1880kg
●エンジン:V8 DOHC
●排気量:4700cc
●最高出力:317kW(430ps)/7000rpm
●最大トルク:490Nm/4750rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FR
●最高速度:280km/h
●0→100km/h加速:5.4秒
●車両価格:1595万円(2009年当時)

マセラティ クアトロポルテ  主要諸元
●全長×全幅×全高:5110×1895×1440mm
●ホイールベース:3065mm
●車両重量:1880kg
●エンジン:V8 DOHC
●排気量:4244cc
●最高出力:295kW(400ps)/7100rpm
●最大トルク:442Nm/4250rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FR
●最高速度:270km/h
●0→100km/h加速:5.6秒
●車両価格:1460万円(2009年当時)

[ アルバム : 5代目マセラティクアトロポルテ マイナーチェンジ はオリジナルサイトでご覧ください ]

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