今から半世紀前、1970年代以前のアメリカ車は、自動車に燃焼効率や二酸化炭素軽減などの命題が課され、ハイブリッドやBEVなどが多勢を占めつつある現代の風潮とは対極にあるクルマたちばかりだった。しかしその天衣無縫な魅力は、ほかの何物にも代えがたいこともまた事実であろう。
そんな古き良きアメリカ製「マッスルカー」の数々をご紹介する特集。今回はアメリカを代表するリアルスポーツカー、シボレー「コルベット」二代目にして、初めて「スティングレイ」のペットネームが与えられた通称「C2」を取り上げたい。
実を言うと、純粋なスポーツカーであるコルベットは、狭義の「マッスルカー」の定義には収まらない存在とされるものの、やはり古き良きアメリカのアイコン的存在として、小誌読者にご紹介すべきと考えたからである。
3人のレジェンドによって開発
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アメリカンスポーツカーの金字塔、シボレー・コルベット歴代モデルの中でも、「1963年モデル」として1962年秋にデビューしたC2こと元祖「コルベット・スティングレイ」は、ここ数年で世界的なブームとも言うべき超人気モデルと化している。
この二代目コルベットの誕生について語るには、一人の有能な若手エンジニアの存在を欠かすことはできないだろう。その名は、ゾーラ・アーカス・ダントフ。ベルギー生まれの彼は技術者として非凡な能力を持つ一方、学生時代からレースで活躍していた生粋のエンスージアストでもあった。そしてダントフ技師が、コルベットをベースに仕立てた一連のレース向けモデルが、のちのC2の技術的バックボーンとなる。
さらにここで、もう一人のキーマンが登場する。「ラリー・シノダ」の愛称で知られる日系アメリカ人デザイナー、ローレンス・キヨシ・シノダである。日系人の例に漏れず、第二次世界大戦中には収容所に強制移住させられ、正規のデザイン教育を受けることなく成長したラリーだが、若き日から持ち前の才能を発揮した彼がデザインの指揮を執ったコンセプトカー「XP755マコ・シャーク」は、ダントフの手掛けたレース向けコルベットの一つ「スティングレイ・レーサー」とともに、C2の実質的な試作モデルとなったという。
しかし、C2に至るこれら一連のデザインワークの基礎を築いたのは、かのピート・ブロックであったというのが、近年における定説となりつつあるようだ。
1936年生まれのブロックは、まだカルフォルニア・アートセンター・スクールに在籍していた57年に、当時最年少となる19歳でGMのデザインチームに加入。この年にクレイモデルが製作された「Q-コルベット」のデザインワークに参画したのち、スティングレイ・レーサーの開発にも密接に関与したとされるが、1959年にはGMを離れ、あのキャロル・シェルビーが興したばかりの「シェルビー・アメリカン」に61年から加入。ここで伝説のマシン「デイトナ・コブラ・クーペ」をデザインした。
1965年には自ら「ブロック・レーシング・エンタープライズ(BRE)」を発足。こちらも伝説的な「日野サムライ」やトヨタ「JP6」を開発・製作したのち、ダットサン240Zや510ブルーバードを擁して、北米SCCA選手権で年間タイトルも獲得するなど、日本の自動車メーカーと深い関わりがあったことでも知られている。
誰が本当の創造者であるかはしばしば議論の対象となるが、いずれにしてもこれらのレジェンドたちの尽力によって、「C2」こと二代目コルベットは実現に至ったことは間違いあるまい。
ヨーロッパの先達に挑戦状を
1962年9月、C2ことコルベット・スティングレイは、アメリカ車としては珍しく欧州の名門ショー「パリ・サロン」にて堂々のデビューを果たした。ちなみに同年のパリ・サロンではフェラーリから「250GTルッソ」も発表されるなど、本場ヨーロッパの最新スポーツカーがひしめくこのショーをお披露目の舞台に選んだことになる。
しかし、それはまさにダントフたちGM開発陣の自信の表れ。性能面でもデザイン面でも、ヨーロッパ製高級グラントゥリズモに負けないと自負していたのだろう。加えて「スティングレイ」のペットネームはスティングレイ・レーサーから採ったもので、誕生に至る経緯を如実に示していた。
フレームは初代C1と同じくペリメーター式で、ボディパネルの材質も初代と同様のFRP製とされたが、サスペンションは北米ビッグ3メーカー製量産モデルとしては初となる、4輪独立懸架としていた。また、エンジンの搭載位置を可能な限り後退させたフロント・ミッドシップとすることで、前後の重量配分にも充分に配慮されていた。加えてブレーキは発売当初4輪ともにドラムだったが、1965年モデルから4輪ディスクに格上げされている。
パワーユニットは、当初6気筒のみのラインナップでスタートダッシュに失敗した初代C1の教訓から、アメリカ人の魂もいうべきV8エンジンのみに限定。「スモールブロック(327立方インチ=5358cc)」はチューンの違いで250~340psの4種が設定された上に、レーシングユーズを見越したロチェスター社製ラムエア式燃料噴射モデル(SAE規格360ps)も用意された。
また1965年モデルからは、「ビッグブロック(396立方インチ=6489cc)」も設定。さらに67年モデルのビッグブロック版は427立方インチ(6999cc)まで拡大されるに至る。そしてボディタイプは、マコ・シャークに酷似したコンヴァーティブルに加え、先鋭的なファストバックスタイルのクーペも用意されることになった。
ちなみにデビューイヤーの63年式クーペは、「スプリットウィンドウ」と呼ばれる、中央で2分割されたリアウィンドウを採用したが、発売直後から後方視界の悪さが指摘され、翌64年モデル以降はセンターの仕切りを廃した一体型に変更されることになる。
そして当時の北米ビッグ3の慣習に従い、1967年には68年モデルとして三代目コルベットが誕生。結果として5年足らずしか生産されなかったC2だが、総生産数は11万7966台(クーペ45547台/コンヴァーティブル72419台)と、生産期間の短さを考慮すれば充分な成功と評されるべき成果を達成したのである。
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