トヨタ自動車は7月19日、トヨタを代表するハイブリッドコンパクトカー「アクア」を全面改良し、同日販売を開始した。今回のフルモデルチェンジでは、2011年に発売された従来型アクアのコンセプトを守り、低燃費・低価格で登場。車両価格は、198万円から259万8000円までに設定された。
パッと見は大きく変わっていない新型アクア。しかし中身は10年分にふさわしい進化を遂げている。そもそも初代アクアは「次の10年を見据えたコンパクトカー」を掲げて登場し、実際に10年間現役を務めた。2代目となる新型は「さらに次の10年を見据えたコンパクトカー」を謳っていて、コンセプトをキープ。最近のトヨタ車全般の傾向に比べ、見た目の派手さはないが、年月を経ても飽きられないデザインを狙ったということだろう。
ハイブリッドシステムについては、「バイポーラ型ニッケル水素」と呼ばれる初採用の高出力バッテリーを採用したのがポイント。バッテリー出力が約2倍に向上したことで、アクセルの反応を向上させている。また、電気だけで走れる領域が大幅に拡大し、街中の多くのシーンで電気だけで走れるという。燃費は従来モデルより約20%向上し、最高で35.8km/L(WLTCモード)とされた。
もうひとつ注目に値するのが、アクセサリーコンセント(AC100V・1500W)ならびに非常時などにクルマから電気を取り出せる機能が全車に標準装備されたこと。ケータイの充電のほか、電気ポットやドライヤーなどの電気製品を使うことができ、緊急時の安心感が高まりそうだ。
また、アクアとして初めて電気式4WDシステム「E-Four」を設定したのも新しい。これにより雪道を走る用途や雪国のユーザーにとっても選びやすくなった。
従来モデルは10年間フルモデルチェンジしなかったため、やや遅れを取っていたのが安全性能。新型では車線の中央付近を維持して走るレーントレーシングアシストが備わり、この点でアドバンテージを持っていたライバルの「日産ノート」に追いついた格好だ。他にもアクセルを戻すだけで強い減速が得られる運転モードや、アクセルの踏み間違え事故を防ぐ機能、車庫入れ時にあらゆる操作を支援する「トヨタチームメイト アドバンストパーク」などが備わる。
内装は、10.5インチの大型ディスプレイオーディオがインパネ中央に備わり、モダンな雰囲気へと進化しているほか、コネクテッド機能も充実している。
コンパクトカー世界トップクラスの燃費性能を実現しつつ、安全性や実用面でも大きな進化を遂げた新型アクア。これを従来型と同等の車両価格約200-260万円で実現したことは多くのユーザーにとって大きな魅力に映りそうだ。
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