この連載では、昭和30年~55年(1955年~1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第71回目は、「ケンメリ スカイライン」の愛称で大ヒット作となった、日産 スカイラインHT 2000GT-Xの登場だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より)
シリーズ最大のヒットを記録した、ケンとメリーのスカイライン
プリンス自動車は昭和32(1957)年に初代スカイラインを発売。昭和38(1963)年にフルモデルチェンジした2代目 S5系では、従来の4気筒に加え直列6気筒エンジンを搭載するGTをラインナップ。このGTが日本グランプリで大活躍したことで、スカイラインのスポーツイメージを決定付けた。
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その後、3代目 C10型を開発していた昭和41 (1966)年に日産自動車へ吸収合併される。この影響で昭和43(1968)年に発売された通称・ハコスカ、3代目C10型には日産系のL型6気筒が採用された。4気筒はプリンス開発のG型エンジンが継続採用されていた。
そして迎えた昭和47(1972)年9月、日産自動車のニューモデルとして4代目スカイライン・C110型が発売される。ニューモデルといってもスタイリング以外は3代目からのキャリーオーバーで、モノコックボディにフロント・ストラッ卜式、リア・セミトレーリングアーム式の4輪独立式サスペンションを採用。
リアサスペンションがリーフ・リジッドになる4気筒モデルは、フロントが短いショートノーズ。6気筒のGTはロングノーズとボディを使い分けていた。
スタイリングは、プリンス時代の初代は完全にアメリカを意識したスタイルだったものの、2代目ではヨーロッパ志向も取り入れたボクシーなスタイルに生まれ変わる。C10型の3代目もキープコンセプト。ちなみに通称・ハコスカのデザインは社内デザイナーによるものだが、同じ年に発売されたアメリカのダッジ・コロネットの2ドアモデル、スーパービーと瓜二つでまだ試行錯誤の跡も見られる。
4代目のC110型では、アメリカの影響を隠そうとしていない。C10型の時と同様にダッジ・チャレンジャーの面影を感じさせる奥目のデザインを採用したのだ。ボディバリエーションは4ドアセダン、2ドアハードトップ、5ドアのバンとワゴンの3タイプ。セダンとハードトップにはそれぞれ4気筒ショ―トノーズと6気筒ロングノーズが用意され、合計5タイプが存在した。
搭載エンジンは1.6Lと1.8Lの4気筒、2Lの6気筒が用意されていた。4気筒はプリンス時代からの G型エンジンで、6気筒は日産系のL20型と3代目を踏襲している。
ところが昭和50(1975)年のマイナーチェンジで、日産色が俄然強くなる。4気筒G型エンジンが日産開発によるL型に切り替わるのだ。排気量は1.6Lと 1.8Lで同じだが、それぞれL16型、L18型が新採 用された。これでプリンス時代からのエンジンは消減することになる。
この一因として、排出ガス規制の強化に対応させなければならなかった事情がある。当時はアメリカ発のマスキー法(大気浄化法)が施行されたことにより、世界的に自動車の排出ガス濃度を下げる必要があった。キャブレターによる燃料供給を基本としていたエンジンは、これにより順次インジェクションによる燃料供給方式へと進化していくことになる。
スカイラインに限らず、日産はEGIと呼ばれる電子制御燃料噴射装置を開発して6気筒に採用。また4気筒にはNOxを低減するEGRやオートチョーク式キャブレター、チャコールキャニスターなどを装備するNAPSを採用。これにより排出ガス規制に適合させた。こうした改良が日産開発によるL型エンジンに適していたことも、4気筒エンジンが切り替わった理由のひとつでもあった。
マイナーチェンジが実施された昭和50(1975)年には都合3度もの改良が行われており、いかに排出ガス規制のハードルが高かったかを物語っている。そのうち9月の改良ではGTX-Eという新グレードが設定された。
4輪ディスクブレーキの採用や、スカイライン史上初めてパワーステアリングがオプション設定されたのがトピックだ。続く10月には前後のデザインが小変更され、タクシー用LPG車とワゴンが廃止されている。
TOPICS
日産 スカイラインHT 2000GT-X(KGC110型)諸元
●全長×全幅×全高:4250×1625×1385mm
●ホイールベース:2610mm
●車両重量:1150kg
●エンジン型式・種類:L20型・直6SOHC
●排気量:1998cc
●最高出力:130(125)ps/6000rpm
●最大トルク:17.5(17.0)kgm/4400rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:6.45S-14 4PR
●新車価格:99万3000円
()はレギュラーガソリン仕様
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