2022年5月16日、日産自動車はホームページでスカイラインのハイブリッドモデルのオーダー受付を終了したと発表した。
あれから4ヵ月後となる、9月22日、スカイラインの一部改良モデルが発表された。プレスリリースの最後、価格表を見ると、なんとハイブリッドモデルがラインアップに載っていない! ついにハイブリッドモデルが、正式に販売終了となったのだ。
【惜別】スカイラインハイブリッドがしれっと販売終了! 次はクロスオーバー!? ボクらのスカイラインの行く末が心配だ!
そこでスカイラインの一部改良の内容と、今後のスカイラインの行く末について解説していきたい。
文/ベストカーweb編集部
写真/ベストカーweb編集部、日産自動車
■ハイブリッドがついに販売終了!
この先、名車スカイラインはどこへ行ってしまうのか、非常に心配だ
2022年5月16日にハイブリッドモデルのオーダー受付けがアナウンスされていたものの、実際にこうして正式に発表されると実に寂しいものだ。
しかも今回のプレスリリースには、ハイブリッドモデルの販売終了の一文もなく、価格表にハイブリッドモデルが掲載されていなかったのだ。
気づいて日産広報部に聞いてみたところ、「プレスリリースの本文には掲載していませんがハイブリッドモデルは販売終了となります」とのことだった。
思えば2021年6月、日経新聞が「スカイラインの開発中止」という報道があり、それに対して、ノートオーラの発表会で星野朝子執行役副社長が「日産自動車は決してスカイラインを諦めません」とコメントし、安堵したことを覚えているだろうか?
それは言うにおよばず、今回販売終了したのはハイブリッドモデルのみで、引き続きガソリンモデルについては生産・販売を続けていく方針だ。
■一部仕様変更と価格を改定し、10月末に発売
今回の一部改良で400Rに新たにミッドナイトパープルを追加
さて、存続するスカイラインの一部仕様変更と価格改定の中身はどうだったのか?
以下、プレスリリースの一文を読んでいただきたい。
「今回の一部仕様変更では、往年の「スカイライン」より受け継がれるDNAであるパワフルさやスポーティさを求めるお客さまからご好評をいただいている400Rのエクステリアカラーには新たにミッドナイトパープル(スレートグレーは廃止)を追加します。
またインテリアには、シックな装いとプレミアム感を演出する「ブラウンインテリアパッケージ」を新たなオプションとして設定いたします。なお今回の仕様変更に伴い、グレード体系の見直しと価格を改定します」。
重ね重ね言うが、「ハイブリッドモデルの廃止」という言葉は一切ない。実に寂しいではないか。
価格はGT=456万9600~400R=589万9300円。一部改良とともに、原材料費高騰や各種法規制に適合させたため、エントリーモデルのGTで21万5600円、最上級グレードの400Rで27万3900円値上げされた。
インテリアには、シックな装いとプレミアム感を演出する「ブラウンインテリアパッケージ」をオプション設定
スカイラインのラインナップと価格
■ハイブリッドが廃止され、ガソリンエンジンが生き残る不思議
3L、V6ターボ・VR30DDTT(405ps/48.4kgm)を搭載する400Rは高く評価されている
日産はe-POWERやBEVを中心とした電動化戦略を進めているのはみなさんもご存じのとおり。そうした時代にあって、なぜガソリン車を廃止せず、ハイブリッド車を見切ったのか。
スカイラインハイブリッドは306psを発生する3.5L、V6と68psの電動モーターに2つのクラッチと7速ATを組み合わせるが、このシステムはモーター駆動、エンジン駆動、モーター+エンジン駆動と切り替えることができる、実にコストがかかったシステム。
つまり、コスト高でVQ35HRエンジン自体も古く、排ガス規制の法規対応ができていないため、今回の生産終了につながったというわけだ。ちなみに同じシステムと搭載するフーガやシーマも2022年8月末で生産が終了している。
現行V37型スカイラインは、2014年2月に登場してから紆余曲折があったモデルだった。登場当初はインフィニティエンブレムを付けたものの、2019年7月のビッグマイナーチェンジで日産エンブレムに戻したり、ダイムラー製の2L、V6ターボ(200GT-t)が登場したりと物議を呼んだ。
そのいっぽうで、往年のスカイラインファンが歓喜したであろう、405psの3L、V6ターボを搭載した400Rの発売、さらに日産の最新運転支援機能のプロパイロット2.0を初搭載するなど、”いちおう”は、頑張っていたのだが……。
■次期スカイラインはクロスオーバーになる説が有力……
1.5L VCターボのe-POWERは340ps/71.4kgmを発揮(IMQコンセプトのスペック)。緻密な制御を行う前後モーターの4WDと合わせ、これまでになかった走りを実現する。これぞ次世代のスカイラインだ(画像はベストカー編集部による予想CG)
最後に次期スカイラインはどうなるのか? 現在、最も有力なのはクロスオーバーSUVとして生き残る道だ。
北米ではインフィニティQX50とそのクーペタイプのQX55が売られており、系譜的にはかつて日本で販売されたスカイラインクロスオーバーに当たるモデル。
当然、パワーユニットはe-POWERで、2019年のジュネーブショーで出展されたSUVの「IMQコンセプト」の発展形となる。
1.5L VC(可変圧縮)ターボエンジンを発電専用に使うe-POWERを搭載し、前後をモーターで駆動する4WDだ。スカイラインの新型SUVのベースとなるのはこのIMQコンセプトとなる模様。
IMQコンセプトは全長4558mmのCセグメントサイズで、4800mmを超えるスカイラインよりも小さいが、デザインは北米QXシリーズの進化版となりそうだ。
新型スカイラインは、2年後の2024年登場を目指して開発中という情報が今のところの最新情報。
スカイラインもクラウンのように、クロスオーバー主体で販売されることになりそうだ。遅きに失したという声も聞かれるが、スカイラインは、日産、いや日本が残すべき名車なのだから、これからも残してほしいものだ。
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