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国産BEVと中韓BEVはいったい何がどう違うのか? 日本製BEVの生き残る道は!?

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国産BEVと中韓BEVはいったい何がどう違うのか? 日本製BEVの生き残る道は!?

 ヒョンデのアイオニック5とBYDのATTO3など上陸してきた中韓勢のBEVに対し、bZ4Xやソルテラ、ARIYAなどの国産BEVは何がどう違っているのか、すべてのモデルに試乗した国沢光宏氏がその危機感から日本メーカーに警鐘を鳴らす!

本文/国沢光宏、写真/ベストカーWeb編集部、ベストカー編集部

国産BEVと中韓BEVはいったい何がどう違うのか? 日本製BEVの生き残る道は!?

■グローバルで中韓勢に大差を付けられているが……

筆者とbZ4X(左)とソルテラ(右)。プロトタイプ試乗会はサーキットで行われた

 多くのメディアは「日本は電気自動車で出遅れた!」と書く。確かに現在販売されている電気自動車を見ると厳しい。トヨタとスバルが組んで量販を狙ったbZ4Xは、ヒョンデのアイオニック5やBYDのATTO3に総合的な商品力で届いていない。日産期待のARIYAといえば、2022年7~12月の登録台数が641台。月平均100台しか生産できていない状況だ。

 商品力も生産能力も韓国や中国勢にケタ違いの差を付けられてしまっている。日本の自動車産業って世界一だと考えられているのに、なぜ電気自動車はボコボコに負けてしまっているのだろう。

 さらに気になるのが今後。このまんま負け続けてしまうとなれば、もはや我が国にとって最大の稼ぎ手となっている自動車産業に暗雲が垂れ込める。以下、じっくり考えてみたい。

■国産勢とアイオニック5の差は?

2022年2月に小田原で開催されたヒョンデアイオニック5試乗会。筆者はこのドライブでアイオニック5に対し、非常に高く評価していた

 まずbZ4XとARIYA、アイオニック5の比較だけれど、日本市場じゃどうでもいい。極めて販売台数少なく、しかもアイオニック5の場合、優れたクルマでも韓国車という大きなハンデを背負わされる。

 問題は電気自動車の普及が始まっている欧州だ。ここで負けるようだと、次の戦いの場となるアメリカでも厳しい。今や日本勢にとって重要な市場になる中国も、です。

 自分が欧米人であり、3車種を公平に評価するとどうか? もはや日本勢を買う意味なし。bZ4Xの場合、いろんな点で車体にお金がかかっていない。叩くとコンコンする樹脂のダッシュパネルから想定できるとおり、車両品質はカローラ級のCセグ。急速充電性能だって低く、駆動系の精度が低いためギクシャクするのをカバーすべくアクセルを踏んだらワンテンポ遅れちゃう。

日産のEVフラッグシップモデル、ARIYA。急速充電性能で中韓勢に差をつけられてしまっているのは如何ともしがたいか……

 ARIYAはbZ4Xよりお金はかかっているものの、アイオニック5より絶対的な金額が高い。キャビンスペースだって狭く、イメージとしちゃひとつ車格が下のサイズ。急速充電性能で圧倒的な差を付けられ、最高速じゃ25km/hも低い160km/h。

 電気自動車にとって最高速は意味ないと思うけれど、やはり出せるのと出せないのとなら欧州では前者に魅力を感じることだろう。

■日本勢のEVが中韓勢のEVに勝てない理由はバッテリーの調達コスト?

中国BYDはもともとバッテリーメーカーがその発祥だっただけに車載バッテリーを自前で用意できるのが大きな強みだ

 なぜ日本勢は勝てないのか? 決定的な理由になっているのが電池の調達コストだと言われる。500万円の電気自動車を考えていただきたい。電池の調達コストが日本勢は200万円。ヒョンデが仮に150万円だとすれば、後者は50万円分を車体に回せる。50万円あればインパネはソフトパッドにできるし、高いミシュランの吸音材入りタイヤだって採用できる。もうお話にならない。

 日本の電池、高いだけでなく性能的にも厳しい。ご存じのとおり、急速充電を繰り返すと電池の温度が上がり、充電性能に制限をかけ始める。bZ4Xなんか1日2回まで。3回目からスンゴク遅くなってしまう。

 ARIYAは少しマシながら、やはり絶対的な急速充電性能は何回続けてもドンドン入るアイオニック5と比べたら勝てない。日本製電池の性能、進化が極めて遅いのだった。

■日本で優れた電池を作ることはできないのか?

スバルのソルテラでの雪上試乗会時の筆者。バッテリー性能の差に大きな危機感を抱いている

 だったら日本で優れた電池を作ればいいじゃないか、と思うだろう。しかし、電池は海をまたいで輸出入されることに強い制限をかけられている。なぜか?

 電気自動車の電池は車両価格に占める金額が大きく、ほかの国から買ったら、自国の産業を減らしてしまう。したがって中国で販売するトヨタ車や日産車は、中国製の電池を搭載しなければならない。アメリカでも同じ。日本製電池を使えない。

 一方、日本で販売される電気自動車は日本製の電池しか使えないのかとなれば、アイオニック5は韓国製。BYDやテスラのモデル3は中国製の電池を積む。日本は農作物などを守るため、自動車輸入を無条件で容認しているからだ。

 したがって優れた電池を開発する能力あっても大量生産できないため、コスト的に高くなる。半導体や液晶で負けてしまった悪夢をまた見ることになります。

 日本勢が高くて性能的にも厳しい日本製電池を使っているかぎり、安価で進化した最新の電池を使っているクルマと勝負したって価格でも性能でも勝てるワケないです。第2次世界大戦時、物量で負けたのと同じ構図。

 遠からず日本の自動車メーカーも、生き延びるために日本で販売する日本車に海外製電池を使うようになるだろう。その場合、半導体のように供給不足になる可能性は小さくない。

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みんなのコメント

83件
  • 又クニサワか
    韓国製を持ち上げたくて仕方ない記事
    燃える欠陥については一切言及無し
    これを読んでそうかアイオニック買いに行こうとなる奴はいない
  • 煽り記事とそれにのっかるコメ…
    今、遅れてるから何?
    今、先頭きらんといかんの?
    ぶっちゃけ電池調達だけの話じゃない?
    遅れてんのは技術の話じゃない。
    で?
    今、全世界の何%がEVよ?
    いつ1割?いつ2割になんの?
    そんな頃にはインフラや供給電力で頭打ちでしょうよ。
    まだ時間はあるし、正直100%EVなんてありえんね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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