マツダのコンパクトカー「デミオ」が商品改良を受けた。今回の改良は目に見える部分こそ少ないものの、登場から4年を迎えたデミオの魅力をさらに高める内容だ。
注目はガソリンエンジンのボア・アップだろう。これまで1.3リッター(1298cc)だったエンジンが1.5リッター(1496cc)に拡大した。これに伴い、出力&トルクが大幅アップ! 最高出力は92ps/6000rpmから110ps/6000rpmへ、最大トルクは121Nm/4000rpmから141Nm/4000rpmへと、それぞれプラス18ps/20Nm向上した。
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それでいて、価格は新たに追加された装備(フロントウインドウのスーパーUV/IRカットガラス等)分のみが上乗せされただけなので、実質従来とほぼ同じ価格である。追加装備がほとんどないエントリーグレードにいたっては従来と同じ価格だ。
「ボアアップしている分、原材料費のコストは嵩む」と、マツダが言うように、本来であれば、価格が上昇してもおかしくはないはずであるが、価格を従来並みとしたことで、ライバルのトヨタ ヴィッツやニッサン ノート、ホンダ フィットなどに対抗する。
今回のボアアップの目的はパワーアップだけではない。実用領域の燃費向上にも貢献するとうたう。マツダの資料には「1.5リッターエンジンの採用により、エンジン効率の良い領域を有効に使用できることから、アクセルの踏み込みやシフトダウンの頻度が減少するため」と、記載する。
とはいえ、数値で見るとこれまでのデミオが24.6km/Lだったのに対し、新型は19.0km/Lと悪化している。ただしこれは、計測方法が大きく異なるため。旧型がJC08モードでの計測に対し、新型はWLTCモードでの計測だ。
WLTCモードを知らない向きも多いだろう。WLTCとはWorldwide-Harmonized Light Vehicles Test Cycleの略称で、現在、多くの国々で採用されている国際的な試験法だ(JC08モードは日本独自)。「市街地」、「郊外」、「高速道路」の3モードの平均燃費をベースに総合燃費を算出する(各モードでの燃費も併記)。日本では今年10月以降に登場する新型車からWLTCモード表記が義務付けられるが、マツダはひと足先に導入した。
WLTCモードでは従来のJC08モードと異なり、積載物の重量も考慮されるなど、よりユーザーの走行環境に近い状態で計測するのが大きな特徴だ。そのため、JC08モードよりも燃費は劣るという。実際、マツダ CX-3では同じ2.0リッターエンジンでも、JC08モードが17.0km/Lに対し、WLTCモードは16.0kmと1.0km/L低下する。
ボアアップしているため単純比較は出来ないが、新型デミオもCX-3と同様に燃費はマイナス5.6km/Lになった。ただし、JC08モード燃費から約50%前後まで実燃費は劣ると言われているのに対し、WLTCモード燃費からは約10%前後の低下におさまるそうだ。
この数字をあてはめると、旧型デミオの予想実燃費が12.3km/L(JC08モード燃費の50%で計算)に対し、新型デミオの予想実燃費は17.1km/L(WLTCモード燃費の90%で計算)と、新型が断然好燃費になる。
もちろん予想の範疇なので正確な燃費ではないが、マツダの主張するように、実用領域における燃費は、確かに向上している可能性が高いと言えるだろう。
パワーの向上とともに燃費も向上し、さらに価格を従来並みとしたデミオの商品力は大いに高まったと言える。また、ライバルにはないディーゼルエンジン(同エンジンの改良は今回なし)を設定するのも見逃せないポイントだ。
価格は1.5リッターの新型エンジン搭載車が139万3200~201万9600円、1.5リッターディーゼルエンジン車が181万4400~227万8000円だ。このほか、スポーツ仕様の1.5リッターエンジン搭載車「15MB」も設定する。こちらのエンジンは従来同様で、価格は156万600円だ。
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