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平成とともに育ったトヨタ高級ブランド「レクサス」 全世界販売1000万台にまで成長した理由

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平成とともに育ったトヨタ高級ブランド「レクサス」 全世界販売1000万台にまで成長した理由

■トヨタが海外で立ち上げ、平成30年間で育てた高級ブランド「レクサス」

 1970から80年代にかけて、日本車は「安くて壊れない」、「安いけど性能がいい」と海外でも高い人気となりました。しかし、それは大衆車の話で、その先(=高級車)となるとまったく歯が立ちませんでした。

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 そこで80年代半ばに、トヨタはある挑戦を行ないました。世界の高級車市場でガチンコ勝負を挑むためには、これまでの延長線ではなくブランドを含めて新規開発を行なう必要がある……と。

 それが今から30年前の1989年、日本ではちょうど平成元年に、トヨタがアメリカ市場向けに立ちあげた新高級車ブランド「レクサス」です。まず、立ち上げ時にラインアップされたのは「LS」と「ES」の2車種でした。

「LS」はこれまでのトヨタ車とは異なり、世界基準モデルとしてゼロから開発されました。基本性能はもちろん、圧倒的な静粛性と滑らかな走り、高品質を実現し、世界のライバルにも大きな影響を与えたと言われています。

 その一方で、「ES」は「新ブランドが『LS』一車種では厳しい」と言う営業からのリクエストから開発されたモデルで、初代は2代目「カムリプロミネント」をベースに生まれたモデルで販売的に苦戦しましたが、独自性がプラスされた2代目以降は人気が一気に高まり、販売台数を含めてレクサスブランドをけん引するエースへと成長しています。

 その後、レクサスは「SC(1991)」、「GS(1993)」、「LX(1996)」、「IS(1998)」と次々とラインアップを追加しますが、大きなターニングポイントは1998年に登場した「RX」の登場でしょう。

 昨今、世界的なクロスオーバーSUVブームですが、このクルマが「高級車×SUV」がコンセプトのプレミアムクロスオーバーSUVを開拓したモデルになります。

 近年では「RX」が「ES」の販売台数を超え、新たなエースとしての顔も持つようになっています。この「RX」の登場で全体の販売台数は大きく増加。ちなみに2001年にアメリカに導入される高級車ブランドの中で販売台数トップを獲得しています。

■同じ車種でも日本と海外ではネーミングが違った

 元々レクサスブランドは海外のみで日本市場への展開予定はありませんでした。その代わり、レクサスブランドの各モデルは日本市場ではトヨタブランドで別のネーミング(LS=セルシオ、ES=ウインダム、SC=ソアラ、GS=アリスト、IS=アルテッツァ、RX=ハリアー)で発売されていました。

 しかし、同一車種を「北米ではレクサス」、「日本ではトヨタ」で販売すると言う考え方は、ユーザーニーズが異なるため次第にムリが生じてきたのも事実です。更に2000年前後に輸入車メーカーは次々と日本法人を立ち上げてディーラー網も整備され、以前よりも“ガイシャ”のハードルは下がると、実際に「クラウン」まで辿りついた成功者は次々と輸入車へ乗り替え……と言う現象も。

 そんな事からレクサスは路線を大きく転換。2000億円の投資と約2年半に及ぶ準備期間を経て、2005年にレクサスブランドの日本展開をスタートさせました。

 発足当初は「GS」「IS」「SC」の3車種の展開でしたが、2006年にフラッグシップの「LS」を導入。ただ、販売面では大成功した北米と裏腹に苦戦の連続でした。

 ハード面で言えば、エンジニアは「性能はジャーマン3(メルセデス・ベンツ/BMW/アウディ)超えた」と豪語していましたが、実際に乗ってみると「高級なトヨタ車」を脱していなかった事。

 また、ソフト面で言えば黒い壁面のディーラーや独自の接客マナーによる接遇が話題となりましたが、逆にユーザーから「お店に入りづらい」、「過度な接遇が馴染めない」といった意見も。

 さらに人気モデルをレクサスに取り上げられてしまったトヨタのディーラーからは「○○を返して欲しい」と言った苦情なども出たそうです。

■「IS F」や「LFA」以降はスポーティなイメージも

 しかし、レクサスはそんな課題に真摯に向き合い、ハード面ではデザインの刷新やバリエーション拡大(クロスオーバーSUVやコンパクトモデルの導入)、そしてハードの進化などを行なってきました。

 また、2007年の「IS F」を皮切りにスポーツブランド「F」の展開もスタート。更に2009年にトヨタのF1参戦記念モデルが起源となったV10エンジンとカーボンモノコックを採用のスーパースポーツ「LFA」を発表し、世界限定500台で発売も行なわれました。

 実はこれまで「LFA」を除くモデルは、基本的にはトヨタ車の基本コンポーネントを流量して開発されていましたが、2012年に登場した「GS」からレクサス専用のプラットフォームを採用。また、デザインも現在につながる「スピンドルグリル」の採用も行なわれた結果、認知度やブランドイメージも高まり、それに比例して販売台数も伸びていきました。

■”レクサスはいいクルマだけどつまらない”から脱却

 その一方で「レクサスはいいクルマだけどつまらない」と言う声がありました。そんな殻から抜け出すために開発されたのが2012年デトロイトショーでお披露目されたコンセプトカー「LF-LC」でした。

 元々は単なるコンセプトだったのですが、世界各国で高い評価を受けたことから市販化を決意。さまざまな技術的な課題をブレイクスルーしながら開発が行なわれ2016年に発売開始したのがラグジュアリークーペの「LC」です。

 ちなみに「LC」の開発の中で生まれた技術の中には、トヨタのクルマ造りの航続改革「TNGA」に基づいて開発されたGA-Lプラットフォームやマルチステージハイブリッドなどがあります。これらの技術は2017年に登場した5代目「LS」にも水平展開されています。

 また、2018年には、これまで海外専売だった「ES」の日本初導入やクロスオーバーSUVシリーズの末っ子となる「UX」も登場。こちらもTNGAに基づいたプラットフォーム/パワートレインを採用しています。

 なお、「ES」は「カムリ」がベース、「UX」は「C-HR」がベースと言われますが、基本骨格は共通ながら構成部品の多くはレクサス専用に設計されている事はあまり知られていません。

■グローバルで1000万台の販売を達成

 このようなさまざまな努力も相まって、2018年3月時点で累計販売台数50万台を達成し、同年1~6月の日本での販売は前年比150%の約3.3万台を記録。1989年のブランド創設以来、グローバルで1000万台の販売を実現したのです。

 ただ、レクサスは決して“販売台数”を追わないこともアナウンスしています。来年2020年はレクサスが国内導入をスタートして15年と言う節目の年となります。

 もちろん、ジャーマン3をはじめとした世界のプレミアムブランドのライバルと比べると課題はありますが、単なるカーブランドではなく「驚き」と「感動」を提供するラグジュアリーライフスタイルブランドとしての挑戦は今後もまだまだ続きます。

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