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長期テスト フォルクスワーゲン・ゴルフGTI(最終回) 40歳を迎えてもGTI

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長期テスト フォルクスワーゲン・ゴルフGTI(最終回) 40歳を迎えてもGTI

積算2万383km デリケートなスイーツも運べる

text:Mark Tisshaw(マーク・ティショー)

【画像】VWゴルフGTI 7代目 全46枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


フォルクスワーゲン・ゴルフGTIは乗り心地が良い。その物理的な証拠が出た。ティータイムのスイーツを何事もなく運搬できたのだ。

ジャムのタルトは形を崩さず、卵とマヨネーズのサンドイッチは、オープンサンドにならなかった。助手席に乗せたホールケーキ、ビクトリア・スポンジも美しさを保ち、次に乗る人のお尻を汚すこともなかった。

積算2万1110km ホットハッチの変化が多かった2017年

パワーは充分か?はい。エキサイティングか?もちろん。サウンドは?うーん。今回2万kmもの距離を長期テストで試乗したが、この点に関しては肯定はしにくい。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTIは2017年に誕生から40周年を迎えた。今回の長期テストでは、ささやかながらそれを祝おうと考えていた。フォルクスワーゲンのウェブサイトで、GTIのオプションを選びながら計画していたことだ。

だが2017年、ホットハッチ界には大きな変化があった。ヒュンダイからは優れたi30 Nが登場し、フォルクスワーゲンの領域に迫った。ホンダからは、フロントタイヤに史上最大といえるパワーを伝える、シビック・タイプRが登場した。しかも英国価格はゴルフGTIと大差ない。

プジョーやセアトからも、ホットハッチを活気づけるモデルが登場した。フォルクスワーゲンは黙っていられず、マイナーチェンジ後の2017年にパワーアップとリフレッシュを加えている。GTIの存在感を示す必要があったのだろう。

場面を選ばず一緒に過ごしたいゴルフGTI

結果的に、ゴルフGTIはホットハッチの中で最速でも、最もパワフルでもない。限定モデルは別として、標準のGTIがニュルブルクリンク・ノルトシュライフェを、レースカーのようなペースで周回することもなかった。

スペック上のGTIは正直いって冴えない。40歳を過ぎると、健康診断の結果が冴えないように。

時間を掛けて乗ってみたらどうだろう。短距離の買い物から、通勤、週末の観光ドライブから、長距離の自動車旅行まで。様々なスタイルの運転を体験したが、他のホットハッチとは大きく異なり、どの場面でもGTIは快適だった。

ライバルはいずれもギリギリまでシャープになり、速く、限界領域が引き上げられているが、一緒に長時間過ごせるだろうか。少なくとも筆者にとって、一緒に長く過ごしたいクルマはGTIだ。

長期テストで選んだグレードは、一般的なGTIとは少し異なる内容だった。もっとも純粋に、ルーツに近いGTIを確認したいと考えたから。

ボディは3ドア。もはやハッチバックでは珍しい。スポーティなスタイリングに気に入っていたが、やはりリアシートへの乗り降りで、少し面倒に感じることは何度かあった。フォルクスワーゲンは8代目ゴルフで3ドアを作らないそうだが、納得できる。

トランスミッションは6速MT。DSG(AT)を搭載したゴルフに試乗する機会があったが、変速時の振る舞いなどで、MTは正解だったと思う。低回転域ではやや非力なこともあり、ドライバーがギアを選択して高回転域保ち、自らの意思でクルマを走らせる実感がある。

適した道で、適した走らせ方をすれば

エンジンは230psの2.0TSIユニット。パフォーマンス・パッケージを選ぶと15ps上乗せになるが、選んでいない。ブレーキとデフも強化品が付いてくるが、標準仕様の方がいいと思う。実際そうだった。

2.0TSIユニットの仕上りは良い。シャシー性能をしっかり引き出せる、適切なパワーとトルクを発揮してくれる。しかも現実環境で扱いやすい。多くのライバルは過度にブーストアップされたターボエンジンを搭載し、パワーを稼いでいる。だがGTIの過給圧は軽く、レッドゾーンまで気持ちよく回せる。

ゴルフGTIは自然吸気のホットハッチのようにすら感じられた。エンジンを引っ張って、回転数を保ち、パワーを最大限に活かす。GTIを郊外の道で楽しむには、エンジンの回転数に気をかける必要があるが、その勢い感こそが喜びだった。

3500rpmを超えると、他のゴルフと似た雰囲気だったシャシーはGTIへと変化する。本当に運転が楽しい、本物のホットハッチだ。

ゴルフGTIには楽しさが足りない、という感想の多くは、第一印象に引っ張られているのではないだろうか。派手なボディキットも付いていないし、硬い乗り心地や騒がしい排気音もない。即時的満足感という点では薄いかもしれない。

だが、ホットハッチに適した道で、適した走らせ方をすれば、本物だということに気づく。目的の道路へ到着するまでには、GTIの別の資質も充分に味わえる。

40歳を過ぎても新しい時代が待っている

GTIは運転姿勢も乗り心地も快適。車内の質感や操作感も良好。控えめなルックスだから、赤信号のたびにスタートダッシュを競ってくる相手も寄って来ない。

8代目ゴルフの発売が迫る中で、7代目ゴルフのラインナップは絞られた。新しいWLTP値に合わせたテストを施行する費用を捻出することも難しいだろう。いま選べるGTIは、DSGの5ドアのみだ。

明確な目的が与えられた、ゴルフGTI TCRという選択肢もまだ残っている。老舗のロックバンドでも、アンコールになれば盛り上がる。間もなく次世代に置き換わるゴルフGTIだって、新しい時代が来たことを体験させてくれるはずだ。40歳を過ぎてもまだまだ楽しめる。

セカンド・オピニオン

ヒュンダイi30 Nのような生々しい興奮は薄くても、クルマとして無視できない実力の広がりを持っているゴルフGTI。インテリアも気に入っているけれど、電動ハンドブレーキは好きになれない。とはいえ、買うならゴルフGTIでしょう。(レイチェル・バージェス)

テストデータ

気に入っているトコロ

パワーデリバリー:低回転域でのトルクはさほど太くないが、楽しい。回転数を上げることを促してくれる。
レトロなディティール:タータンチェックのシートやゴルフボール上のシフトノブ。模倣ではなく、本物の魅力だ。
利便性:ショッピングモールへ行ったり、ニュルブルクリンクを走ったり。どんなシナリオでもGTIなら大丈夫。

気に入らないトコロ

ボリュームノブがない:モニターに統一されたデジタルな車内は、見た目は良いもののボリュームノブの利便性には及ばない。
3ドアボディ:自分のクルマだったら選ばないかも。でも、3ドアの魅力はよく分かるけれど。

走行距離

テスト開始時積算距離:161km
テスト終了時積算距離:2万1110km

価格

新車価格:2万8320ポンド(434万円)
現行価格:販売終了
テスト車の価格:3万2520ポンド(499万円)
ディーラー評価額:2万2945ポンド(321万円)
個人評価額:2万395ポンド(285万円)
市場流通価格:2万1160ポンド(296万円)

オプション装備

ディスカバー・ナビゲーション・プロ:1325ポンド(19万5000円)
クライメート・ウインドスクリーン:295ポンド(4万3000円)
ダイナミック・シャシー・コントロール:830ポンド(12万2000円)
リアビューカメラ:265ポンド(3万9000円)
セヴィル・ダーク・グラファイト・アロイホイール:495ポンド(7万3000円)
オニキス・ホワイト・プレミアム・シグネチャー・ペイント:990ポンド(14万6000円)

燃費&航続距離

カタログ燃費:15.6km/L
タンク容量:50L
平均燃費:14.6km/L
最高燃費:14.9km/L
最低燃費:12.6km/L
航続可能距離:708km

主要諸元

0-100km/h加速:6.4秒
最高速度:249km/h
エンジン:直列4気筒1984ccターボチャージャー
最高出力:230ps/4700-6200rpm
最大トルク:35.6kg-m/1500-4600rpm
トランスミッション:6速マニュアル
トランク容量:380L
ホイールサイズ:18inch 7.5J(フロント)/18inch 7.5J(リア)
タイヤ:225/40 R18(フロント)/225/40 R18(リア)
乾燥重量:1364kg

メンテナンス&ランニングコスト

リース価格:309ポンド(4万3000円)
CO2 排出量:148g/km
メンテナンスコスト:なし
その他コスト:なし
燃料コスト:1846.9ポンド(25万8000円)
燃料含めたランニングコスト:1846.9ポンド(25万8000円)
1マイル当りコスト:14ペンス(19.6円)
減価償却費:7160ポンド(100万円)
減価償却含めた1マイル当りコスト:69ペンス(96円)
不具合:なし

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