日産自動車は、世界最大の自動車部品トレードショーであるSEMAショー2023(10月31日~11月3日)において、「Z(日本名:フェアレディZ)」のラリー仕様カスタマイズカー「サファリ ラリー Z トリビュート」を出展した。
「Zのラリー仕様!??」と驚く人もいるかも知れないが、本モデルはモータースポーツファンならピンとくるはずのオマージュカスタム。「サファリ ラリー Zトリビュート」の詳細をご紹介しよう。
売ってくれ!! 最新フェアレディZ「サファリ仕様」登場!! 知ってる人も知らない人も大興奮
文:立花義人、エムスリープロダクション
写真:NISSAN
ラリー初出場でいきなり総合優勝!!
「サファリラリー」は、アフリカのケニアで開催される伝統的なレースだ。1960年代には、日本の自動車メーカーが過酷な環境の中でクルマの耐久性をアピールするためにこぞって参戦しており、ブルーバード410/510で参戦していた日産は、当時圧倒的な強さを世界に見せつけていた。
510で参戦した1970年には、日産車として初優勝。「サファリの日産」を確立させるも、翌1971年のレースでは、なんとルートが変更になり、前年のマシンセッティングは使えなくなるという羽目に。高速セクションが設けられたため、日産は「ダットサン240Z(S30型ラリー仕様)」に車両を変えて参戦、240Zは初出場で、いきなり総合優勝を果たした。
翌年の1972年こそ優勝を逃したものの、1973年には再び総合優勝を果たし、日産Zの技術力の高さ、そして日産チームのレーシングスピリットの強さを世界に印象づけた。この出来事は日産のレースシーンを語る上で欠かせないマイルストーンとなっている。
ダットサン240Zラリー仕様(レプリカ)。1971年のサファリラリーに初参戦にして総合優勝を飾った
こちらが、「Z(日本名:フェアレディZ)」のラリー仕様カスタマイズカー「サファリ ラリー Z トリビュート」
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スキッドプレート装着など、本気のラリー仕様
そのダットサン240Zをオマージュしたのが、今回のSEMAショー2023に出展された「サファリラリーZトリビュート」というわけだ。1971年に参戦したダットサン240Zと同様、深紅のボディカラーにブラックのボンネットというカラーリングが施され、KW社製サファリサスペンションとNISMOサスペンションにより、車高は2インチ(約5cm)高められ、17×7.5インチのNISMO製サファリホイールに、ダート用の「ヨコハマ GEOLANDAR M/T G003」タイヤを装着する。
過酷なラリーレイドをこなすためにはフロントセクションをしっかり保護する必要があるが、このカスタムカーは、フォルムを妨げずに機能性を高めるバンパーガードとスキッドプレートで武装されている。またNISMO製オフロードLEDライトにより、ナイトレースにもしっかり対応させている。
搭載されるVR30DDTTエンジンは、AMS社によって400馬力以上にチューニングされ、NISMOトラックキャットバックエキゾーストシステム、エアインテーク、カーボンファイバーのエンジンカバー、拡張された冷却水タンク、ヒートエクスチェンジャー、ストリートツインクラッチ&フライホイールなどで強化。インテリアには、ボディカラーに調和したレッド×ブラックのトリムが採用され、4点式ハーネスを備えたカスタムロールバーと、インテリアカラーにカスタムされたレカロのポールポジションシートが確認できる。
サファリラリーZトリビュートのフロントセクション。スキッドプレート装着で本気のラリー仕様だ
クルマの面白さ、楽しさを伝えてくれた!!
SEMAショー2023では、この「サファリラリーZトリビュート」と、1971年に総合優勝を飾った「ダットサン240Z」のレプリカが並べて展示されていた。前述したように、1971年のサファリラリーで前年に優勝したブルーバードに代わって出場したダットサン240Zだが、優雅なクーペスタイルのスポーツカーが過酷なラリーを制することで、その性能を最高の形でアピールできたと思う。
あれからおよそ50年が経過し、電動化やライフスタイルが変わることで日産の伝統的なモデルがラインアップから次々に姿を消しつつあるが、フェアレディZは、純ガソリン車のスポーツカーとしていまも残されている。
そのZの初代モデルがサファリラリーでおさめた成功を、日産は最新のZでオマージュしたわけだ。現在も日産は、スーパーGTやスーパー耐久、そしてフォーミュラE世界選手権など、数々のレースに参戦しているが、ラリーという印象はない(もしくは忘れている)人は多いと思う。そんななかで出展された今回のサファリラリーZトリビュートは、日産の輝かしい歴史を知らしめて(思いださせて)くれたものであり、ゼロ・エミッションだけが取り上げられがちな流れの中で、クルマの面白さ、楽しさを、クルマファンにこうした形で伝えてくれたことは、クルマ好きとしては嬉しいこと。今後もZの活躍を期待したい!!
サファリラリーZトリビュートのインテリア。ボディカラーに合わせたトリムが雰囲気を盛り上げる
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