「改造範囲が狭く、それほどパワーの出ないRX-8で筑波サーキットの本コース(コース2000)のラップタイム1分を切ることに挑む」という、非常に熱いチューニング領域がある。お金も時間も労力もかかるため、「ガチ」で挑んでいるのは日本で十数名(推測)と思われる。チャレンジャーの大半はアマチュアドライバーということもあり、タイムアタックの機会は冬場の走行会、1年のうち数えるほど(絶好の日は数日程度)しかチャンスがないという。
その…数日、数周に……余暇のほとんどすべてを賭けている人たちがいる………。そんなめくるめく挑戦の世界に挑む、「ベストカー」本誌の読者でありベストカーClub員でもある小川智広さん(通称:ぱららさん)を取材しました。
やっぱり「マツダロータリー」は最高! 元FC型RX-7&RX-8オーナーのBC編集部員が熱く語るREの「極上フィーリング」
文/小川智広(ぱらら)、写真/中里慎一郎、取材協力/YOKOHAMA
■「なんだか感動してしまった」で自ら沼に…
2022年2月、たまたま訪れた「Attack筑波」というイベントで、「RX-8の歴史が書き換えられるかもしれない」という場面に立ち会った。2台のRX-8がそれぞれのベストタイムを更新し、筑波サーキットの本コース(コース2000)1分切り目前まで迫ったのだった。
最終的には寸止め(0.068秒届かず)だったけども(※)、全力を出し切ったあとにお互いを称え合う姿は、ライバルというより同じタイムアタックに挑戦する同志のようだった。
1周のために膨大な時間とお金と労力をつぎ込み、それを助ける仲間達との絆。そんな姿を間近でみて、なんだか感動してしまった。
(※2023年1月末時点で2名がRX-8で分切り達成しています)
小川さんと愛車RX-8。YOKOHAMAのSタイヤ(A050)を装着して挑む
そんな熱い冬のタイムアタックシーズンが終わり(※編集部注/RX-8タイムアタック勢は、わずかでもタイムが有利な気温と湿度の低い冬にしか本気でアタックしない)、時が過ぎて秋にさしかかるとき、自分の愛車であるRX-8のエンジンのオーバーホールが完了する見込みとなっていた。
もちろん我が愛車はサイドポート仕様。ノーマルよりエンジンパワーが見込めるタイプだ。冬の感動の余韻なのか、前述の「Attack筑波」での感動が忘れられなくて、つい自分も「分切り目指すわ!」と、RX-8仲間に言ってしまった、しまった…わけです。
■そして迎えた「挑戦」×2
正直にいうと、勢いで「おれも分切り挑戦やるわ!」と言ったわけだが、そのためにはまず準備をしなければいけない。さて何からやろうか。
・エンジン:サイドポート仕様、慣らしもばっちりやった!
・GTウイング:サーキット用1750mmタイプと小型1450mmを用意した。最高速、前後のバランスを考えて試してみる予定
・アンダーパネル:現在装着されているものより重量は半分になり、アンダースイープも付いているタイプ→作った!(作った??)これから取り付けだ!←間に合ってない
・タイヤ:最強のタイヤとタイヤウォーマーは必須だ。この世界でタイヤといえばADVAN A050。サイズは295/30R18だ
・ボディ軽量化:定番のアンダーコート剥がし。剥がしても意外とそんなにうるさくない。もう耳がダメかも
・(軽量化にともなう)不要な内装はがし:走るときに外して元に戻せる範囲から。もちろん走るときは助手席、後部座席は外す
走行会は約40台が参加し(1台25,000円)、オプション料金(+8,500円)を払えば「スーパーラップ(SL)」に挑戦できる
そして迎えた2022年12月17日と2023年1月29日、2回の「エイトリアンカップ」が筑波サーキットで開催された。エイトリアンカップはRX-8だけの走行会で、いつも40台以上のRX-8が集まる。
今回はその中のスーパーラップ(SL)にエントリー。自分を含む4台が8分×2回、タイムアタックに挑む。
■挑戦前のマイベストタイム:1分4秒845(ラジアル295/30R18)
【挑戦1回目】
2022年12月17日:1分2秒865(A050 295/30R18/新品)
初めてSタイヤを装着して、これまでのベストから約2秒のタイムアップ。GPSロガーを見ながらいろいろドライビングの悪いところを反省しつつ、軽量化とGTウイングを調整して2回目へ。
【挑戦2回目】
2023年1月29日:1分3秒265(A050 295/30R18/Used)
目標としてはせめて1分1秒台に入りたいところだったが、シフトミスやイメージ通りにコーナーでのスピードコントロールが出来ず、焦りからさらにミスしてしまいタイムアップ出来ずに終わってしまった…。
今まで走行会といえば自分一人で準備して、走って、仲間と談笑するパターンの繰り返しだった。
ところが「筑波分切り」をやろうと思うと一人で回すのが困難で、仲間が必要になる。「個人→チームでの挑戦!」に代わったことで、準備も楽しく出来たが、逆に走行時のプレッシャーも上がったようだ。
タイムアタック直前までウォーマーをかけてタイヤを温めておく
■「一周にすべてをかける!」
走り終わった後の精神的疲労感がこれまでとはまったく違い、ビックリした。よい経験になった。疲れても、残念な結果になっても、「筑波分切りにチャレンジ!」というパワーバードでまたモチベーションが湧いてくるから不思議だ。
実際にチャレンジするにあたってSL(スーパーラップ)の環境やノウハウなど、先人の努力のお陰で助かっていることが多い。
今のRX-8のチューニングも、RX-8仲間が切り開いてくれた後ろを歩いている状態で、みんながいろいろ教えてくれるのでなんとかやれている。改めてタイムアタック界の先人たちやRX-8仲間、今回サポートしてくれた仲間に感謝したい。
さて来シーズンはどうしたものか。今ならまだ引き返せる…エアコンもまだついている。だが、しかし……。
一度タイムアタックの魅力にとりつかれると、あれこれチューニングメニューを妄想したり、ドライビングについて相談したり、実際D.I.Yで作業することが楽しくてしかたない。やり残したことがまだいっぱいある。買ったけどまだ付けていないカーボンルーフとか、さらなる軽量化の構想をつい考えてしまう。
今年は残念な結果だったが、小さなことからコツコツとやりながら、来シーズンも挑戦しようと思う。これが沼か……。
助手席と後部座席のシートを剥がして軽量化を図り、ロガーを設置
■上位陣はみんなYOKOHAMA
RX-8にはパワーがない。だからタイヤとそれを受け止めるサスペンションは特に重要だ。今回の挑戦で一番タイムに効いたのはタイヤだった。最初から「分切りを目指すならYOKOHAMAのA050(Sタイヤ)のG/Sコンパウンドだ」と決めていた。
実際、タイムアタックの上位陣はみんなYOKOHAMAのA050を装着している。
RX-8の場合、G/Sコンパウンドだと約2周、全開でタイムアタック出来る。1周だけだと辛い。今回初めてSタイヤを使ってみたら、もう圧倒的なグリップ、裏切られる感じがまったくしない安定した挙動。すべてが異次元だった。
また、Used(一度タイムアタックに使用したタイヤ)でも再び安定して使えるのが嬉しい。DKC※するとUsedでもそれほどグリップが落ちずにまた使える。練習も含めて何度も使えるのがお財布に優しい。新品時しか性能が出ないタイヤと違い、経済的なことも、A050を選んだ理由だ。(※DKC:電動カンナクラブの略。電動カンナでタイヤの表面を削って、なめらかにして再使用する)
タイムアタックのためにSタイヤを作り続けてくれるYOKOHAMAにも感謝したい。世間一般から見ると小さなマーケットだろうけど、このタイヤをずっと作り続けてくれているおかげで、我々はタイムアタックが楽しめる。モータースポーツを支えるって、気概がないと続けられないことだよなって思う。ありがとうございます。
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