10月12日、静岡県の富士スピードウェイで行われた2024年全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦で、TGM Grand PrixのJujuこと野田樹潤は、21台中17位でレースを終えたものの、スタート直後からライバルを攻め立てる好タイムを刻み、好ペースを活かした作戦でライバルと渡り合うレースを見せた。
午前中に行われた予選では、Q1B組のカットラインから1.368秒差となり敗退となったJuju。セクター1、2では自己ベストをマークしており、Q2進出を争ったライバルらと遜色ないタイムを刻んでいたが、Q3で0.5秒近く差がついてしまっていた。その予選については、「大きなミスはなかったです」と振り返る。
フリー走行19番手、チームメイトまでコンマ3秒差のJujuに笑み「嬉しさはありますけど……まだまだ」
「自分はツープッシュしていました。というのも予選は、ワンプッシュ目のセクター3の方が速いことが多いです。大津選手も同じようにツープッシュしていて、2アタック目はもうタイヤ的にセクター3がきつかったようでした」
「なのでそこは明日、ワンプッシュ目にどれだけまとめてこれるかというのが大きな課題かなと思います」
■頑張りどころで「フロントの両輪をロック」
迎えた決勝では、スタートで他選手の失速などもあり、19番手からレースをスタートした。これまでのレースでは、ここから徐々にライバルと差を開けられてしまう展開となっていたが、この日はさらにハイペースなレースを戦うことになった。
目の前の18番手を走るのは、予選で後塵を拝した小高一斗(KONDO RACING)。午前中の悔しさも発揮されたか、Jujuは小高と渡り合うペースで周回を重ねていき、迎えたミニマムのピットタイミングではポジションアップも望める展開に持ち込んだ。
「レースに関しては前の小高選手について行くことができて、『これはチャンスがあるんじゃないかな』と思いました」
「そこで、アンダーカットという作戦をチームが決めてピットインをしましたが、アウトラップの1(TGR)コーナーでフロントの両輪をロックさせてしまいました……」
アンダーカットは、相手よりも先にピットインを行い、アウトラップから好タイムを刻み続けることでポジションアップを狙う戦略。しかし、Jujuが13周目で仕掛けた初めてのアンダーカットは、両輪のロックアップで万事休すとなっていたようだ。
「アウトラップの冷えたタイヤでタイムを上げることは、自分の課題でした。ですが、今回はその頑張りどころで、ちょっと頑張りすぎちゃったなという感じでしたね」
その結果、20周目にピットインを行った小高はJujuの目の前でコースに戻り、そのままの順位で両車はチェッカーを受けることとなった。
小高と僅差の位置関係に戻った後半戦については、Jujuも「今年一番きついレースになりました」と悔しさを露わにする。
「タイヤをすごく長く使わないといけないので、ロックしてしまったことはすごく大きくて、今年一番タイヤ的にきついレースになりました。フラットスポット(ロックによる局所的な表面の削れ)ができたかはわかりませんでしたが、正直結構なロックでした」
「以降は左フロントがかなり消耗してしまって、最後はブレーキもかなり神経を使わないと、すぐに飛んで行ってしまうのではないかというくらいの不安定感もありました」と、終盤は攻めの走りが維持できない状況であったと言葉にした。
それでも、これまでにない好展開を歩んだ彼女は、失ったチャンスに落胆するよりも、初めて得た感覚に自然と笑みがこぼれている様子だ。
「今までは、タイヤが温まってきた状態で前の車にぴったりくっついて、ダウンフォースが抜けるような感覚っていうのをまだ味わっていなかったです」
「それを今日は感じることができたので、言い方が合ってるのかわからないですけど、むしろすごく気持ち的に嬉しかったというか、一歩前進できたのかなと感じています」
「失敗したということも、限界がわかったということなので、明日に向けてある意味、いい経験ができたのかなと思います。明日はさらに良い予選とレースをするために、自分たちの力を出し切れるようにしていきたいなと思います」
スーパーフォーミュラにおいて一番マイレージを重ねてきたこの富士スピードウェイで、彼女はまた一段と成長した姿を見せた。そして明日の第7戦は、今日の課題を実践する最適な一戦となるだろう。
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みんなのコメント
後者のタイプはチーム体制が一流なのに結果が伴わない。
客寄せパンダ的に扱われてるのを実力と勘違いするのは過去にもいたなぁ~