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「キャラがモロかぶり」は素人考え! アクアとヤリスを併売するトヨタの巧妙な戦略とは

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「キャラがモロかぶり」は素人考え! アクアとヤリスを併売するトヨタの巧妙な戦略とは

 この記事をまとめると

■2021年9月の新車販売台数ランキングはヤリス、アクアのワンツーフィニッシュとなった

あれ? 思ったほど伸びない……ハイブリッドなのに驚くほど燃費が良くない国産車6選

■ヤリスのハイブリッド車とアクアはキャラクターが被っているようにも見える

■しかし両車をラインアップすることには大きな意味がある

 ヤリスのハイブリッド車とアクアの併売に疑問の声も

 ASEAN地域からの部品供給の滞りなどが影響して散々だった2021年9月の新車販業界。自販連(日本自動車販売協会連合会)統計による、2021年9月単月での、通称名(車名)別登録新車販売台数ランキングをみると、トヨタ・ヤリス(ヤリスクロス含む)は前年比57.5%ながら、1万2696台でトップ、そしてトヨタ・アクアは7月にフルモデルチェンジしたばかりということもあり、前年比196.2%となる、1万1137台で2位となり、ヤリスとアクアがワンツーフィニッシュという結果となった。

 ヤリスは、2021事業年度締め上半期(2021年4月~9月)登録車販売台数ランキングで10万5943台を販売してトップとなるのと同時に、軽自動車を含む総合ランキングでもトップとなり、“日本一売れているクルマ”となった。アクアも2021年7月にフルモデルチェンジを実施している(つまり、そこまで末期モデル)にも関わらず、3万6490台を販売し登録車のみのランキングで7位となり、先代モデルからヒットモデル街道を快走していたともいえる結果を残している。

 ただ、自動車メディア関係者のなかでは、アクアがモデルチェンジを実施する前には、「アクアの次期型ってあるのか?」という疑問があり、新型が登場してからは、「ヤリスにもHEV(ハイブリッド車)があるのに、ナゼHEV専用となるアクアの新型が登場したのか?」という疑問に変わった。

 ヤリスの前身である、ヴィッツでは3代目で初めてHEVが設定された。つまり、その当時からヴィッツHEVと先代アクアが併売されていたわけだが、ヴィッツHEVは追加モデルでもあり、3代目ヴィッツの販売メインとなるのはガソリン車であったので、それほどお互いの存在を疑問視する声もあまり聞かれなかった。当時はアクアがトヨタ系ディーラー全店扱いだったのに対し、ヴィッツはネッツ店専売車であったことも影響していたと考えていいだろう。

 しかし、2020年2月に日本国内でも海外名となるヤリスと名乗り、ヴィッツの後継としてヤリスが正式発売となると新開発1.5リッター直3ダイナミックフォースエンジンベースのハイブリッドユニットを搭載しているということもあり、HEVに一気に光があたるようになった。ヤリスはニーズが多く、ヴィッツ時代から積極投入しているレンタカーやカーシェアリンクへのフリート販売が多く、そしてその多くは1リッター直3ガソリンエンジン車を搭載した、“「わ」ナンバー車”となり、これが街なかでも目立っているのだが、純粋な小売りレベルではHEVの注目度も高まっている。そして、そのなかで新型アクアも登場している。これだけ見れば、「なんで新型アクアが出たの?」もしくは、「ヤリスになぜHEVがあるの?」と思うのは自然の流れとなる。

 2台は棲み分けができていると考えて良い

 日産で例えると、5ナンバーボディのノートに、派生モデルとして3ナンバーサイズのノート オーラが用意されたという流れと似ているものと考えてもらいたい。

 販売現場で話を聞くと、「アクアはヤリスHEVとWTLCモード燃費を比較すると、ほんのわずかですが、燃費性能が劣っています。その代わりにEVモードでの走行距離は長くなっております。EVモードでの走行距離の長さについては、プリウスに乗られているお客様がよく気にされます。そのため、私どもでは、アクアはプリウスや、その他のアクアより大きいHEVからダウンサイズしたいといったニーズの受け皿にしたいと考えております。そのような狙いを意識したのか、ヤリスHEVよりは上質感を演出した作りとなっているものと認識しております」とセールスマンは話してくれた。

 ヤリスはガソリン車も含め、エントリーモデル(入門用)やパーソナルモデルとしてのキャラクターが強く、後席居住性や積載性がいまひとつ(狭い)という声をよく聞く。全体の質感もベーシックカーらしいものとなっており、“上質”という表現はいまひとつしっくりこない。つまり、ヤリスHEVではプリウスなどからのダウンサイザーニーズを受け止めきれないのである。ヤリスHEVは「手ごろなHEVの新車を買う」とか、“セカンドカーニーズ”、あるいは企業の営業車などのフリートユースなどで強みを見せるので、この2台の“棲み分け”ができていると考えて良いのである。これがもし、どちらか1台だけしかラインアップされていなければ、結構な数の購入見込み客を逃してしまうことになるだろう。

 日本ではコンパクトカーは人気の高いクラス。日本のみならず、世界的に見ても人気のあるカテゴリーほど、緻密で多彩なモデルラインアップとし、各メーカーはお客の取りこぼしをしないようにしているのである。

 新型アクアが、ノート オーラのように3ナンバーサイズとなり、装備内容を豪華にするなどすれば、もっとわかりやすいのだが、3ナンバー化や極端な上質化を実行すると、今度はプリウスとキャラが被ってきてしまうので、そのあたりはHEVラインアップの多いトヨタならではの悩ましい部分ともいえ、アクアは5ナンバーのまま次期型を開発することになったのだろう。

 前出のセールスマンは、「こちらからは積極的に、『こちら(ヤリスHEVかアクアか)がいいですよ』といったアプローチは控えるようにしております。ひととおりの商品説明や、見積りなどの試算を行ったうえで、最終決定はお客様に託すようにしております」と話してくれた。

 また前述したが、ヤリスの前身となるヴィッツはネッツの専売(じつはヤリスも2020年5月まではネッツの専売であった)であったので、ネッツ以外のトヨタ、トヨペット、カローラ各店は、先代からアクアなら扱っているので、売り慣れているようである。「ヴィッツは扱っていなかったこともあり、ヤリスを扱うようになっても、いまひとつ売りにくさを感じております」とは、ネッツ店以外のトヨタ系正規ディーラーセールスマン。

 いずれにしろ、似たようなキャラクターで2台用意しておけば、いずれかに決まる(契約がもらえる)だろうし、他メーカーライバル車へ流れることを防ぐ効果も期待できるというのも現実的な話といっていいだろう。

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みんなのコメント

9件
  • 体力があるからこそできる戦略ですよね
  • 双子車だすなら取り扱い店舗を元に戻してくれ。

    マークⅡ、チェイサー、クレスタ復活頼む
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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