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ルノーとアルピーヌのダブルネームを持つアルカナ【新米編集長コラム#8】

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ルノーとアルピーヌのダブルネームを持つアルカナ【新米編集長コラム#8】

うわ~この組み合わせできたか

どんな業界でもダブルネームで登場する新製品があり、小さなものから大きなものまで、両方が好きな場合、かなり購買意欲が注がれることになる。「うわ~この組み合わせできたか! そりゃ買うしかないよなぁ」と。ヒライ的に近年で一番欲しいと思ったのは、『アバルト695トリブート・フェラーリ』だ。

【画像】ルノーとアルピーヌのダブルネーム! アルカナ・エスプリ・アルピーヌ 全71枚

近年……と書いて気になり改めて調べてみたら、2009年のフランクフルト・ショーで発表で、既に15年も前のことであった。ならばと、もっと遡れば、フェラーリV8エンジンを搭載する『ランチア・テーマ8.32』にトドメを指す。

約20年ランチア・オーナーで、約13年フェラーリ専門誌の編集長を務めたヒライにとって、『ランチア+フェラーリ』の8.32こそ、究極の1台だ。実は昨年末に某取材で後期型を試乗しすっかりその虜となってしまい、某所まで(取材車とは別の)販売車両を見にいったほどだ。それをなぜ購入しなかったかは、また前置きが長くなってきたので割愛する。

というわけで、今回のお題は『ルノー+アルピーヌ』のダブルネームとなった、『ルノー・アルカナ・エスプリ・アルピーヌ』の話だ。ちなみになんで『ルノー・サンク・アルピーヌ』じゃなくて、ランチアやフェラーリの話なのよ、という突っ込みもあるかとは思うが、これ以上脱線できない(それだけで第8回が終わってしまう)ので、稿を先に進めたい。

ルノーもアルピーヌも、個人的にかなり思い入れのあるブランドだ。ルノーは、2代目メガーヌR.S.が新車の頃、前期型も後期型も長期レポートを連載し、それをきっかけに多くの取材を担当させていただいた。アルピーヌは、『スクランブル・アーカイブ・シリーズ』でなんと3冊もムック製作を担当した。聖地フランス・ディエップのアルピーヌ生産工場も実際に訪れており、アルピーヌA110は、相当の距離を乗ってきている。

というわけで、ルノー・スポール(R.S.)を引き継ぐ形で、F1を筆頭としたルノー・グループのスポーツ部門を一手に率いることになったアルピーヌ、その名前を冠したスポーツトリムが『エスプリ・アルピーヌ』として登場し、今回初めて日本に導入されたのだ。これはヒライにとって、ただ事ではない話なのである。

アルカナが受け入れられた理由

今回エスプリ・アルピーヌが日本に導入されたのは、アルカナのマイナーチェンジに合わせてだ。アルカナは2020年10月の発表から今年の6月まで世界で約29万台が販売され、日本でも2022年5月から今年の8月まで約2000台が販売された、ルノーで新しい中核モデルに育ちつつある1台である。

日本でアルカナが受け入れられ理由として、ルノー・ジャポンは以下の5つを挙げている。
・エレガントかつスポーティで個性的なデザイン
・輸入車SUV唯一のフルハイブリッドによる低燃費
・運転の楽しさ
・室内と荷室の広さ
・プレミアム感

確かにクーペSUVといえるスタイリングは時流にあっていて、しかもこの価格帯では初登場だったのが、欧州でも日本でも好評の理由と分析されている。またルノー独自の『E-TECH』と呼ばれるフルハイブリッドは、WLTCモード燃費が22.8km/hであったことも、購入者たちの背中を押した。他の3点は主観や何と比較するかで変わってくる部分ではあるが、私が抱いている印象とかけ離れてはいない。

そこで登場したマイチェン版アルカナの日本仕様だが、今回は全モデルで『エスプリ・アルピーヌ』のトリムを採用。グレードはE-TECH(1.6L直4NA+モーターのフルハイブリッド/価格499万円)とマイルドハイブリッド(1.3L直4ターボ/459万円)の2車種だ。

アルカナ自体は、エンブレムが3Dから2Dのデザインに変更され、それに合わせて前後のデザインをリフレッシュ。室内のタッチスクリーンが7インチの横型から9.3インチの縦型に変更されるなどしている。またタイヤサイズが18から19インチに変更され、ルーフはブラックタイプを採用。これまで装着できなかった電動パノラミックルーフがオプションで選べるようになったのもニュースだ。

ルノー+アルピーヌの組み合わせに激しく反応

エスプリ・アルピーヌとしての装備は、フロントフェンダーに装着されたロゴ、Aがモチーフとなるホイール、シートに入るロゴ、フレンチタッチのトリコロールステッチといった部分となる。

冒頭にも書いたように、ルノー+アルピーヌの組み合わせに激しく反応しているわけで、試乗会で実車(E-TECH)を見て、まずはフェンダーやホイールのロゴに興奮気味……。室内に乗り込めば、トリコロールのステッチがセンスよすぎて脱帽。これはマズいなぁ、欲しくなっちゃうなぁと、動揺しつつ走り始めた。

ちなみにアルカナはマイチェン前のモデルも長距離で試乗しており、その良さは理解しているつもりだ。特に試乗会で乗ったオプションのボディダンパー付きは乗り心地が素晴らしく、全車標準にすべきとルノー・ジャポンの担当者に力説したこともある。

E-TECHは電動化されたモデルではあるが、エンジンがあるから我々が慣れ親しんできたフィーリングを有していて、これはひとつの最適解ではないかと真剣に思っている。とにかく自然に気持ちよく走れるクルマで、車重1470kgは近年の電動化モデルとしてはかなり軽く、それもひとつの要因になっているように思う。

欧州に似た横浜の街並みに置くと実に似合い、デザインもいいなぁと感心。もちろんパドルシフトが欲しいとか、シートがもしかして体形に合わない? とか(これは後日検証予定)、気になるところがないわけではない。しかし19インチ化による乗り心地の影響は最低限にとどめていて、原稿を書いていて、またじわじわと気になり始めている。

聞くところによるとエスプリ・アルピーヌのテーマは『スポーツ・シック』で、シックと書くと日本人には落ち着いたイメージとなるが、フランス人にはもっと活発なイメージだという。ご存知のようにエスプリとはスピリットのフランス語で、エスプリ・アルピーヌは、まさにスポーツ・シックという表現がしっくりとくる、アルピーヌの精神をトリムで体現化したものだった。

ヒライ的には「そんなの好きになるに決まっているじゃないか!」と思うわけで、もし同じ気持ちになった方は、一度ディーラーで実車をご覧になることをお勧めしたい。

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