航空戦力は意外なほど脆い
航空戦力は、戦争において不可欠かつ決定的な要素です。卓越した機動力、強大な火力、戦略的な輸送能力は、陸海の諸兵種を凌駕し、戦局を劇的に左右する力だといえるでしょう。
【これなら完璧!】破壊するのは至難 これが北欧にある洞窟格納庫です(写真)
とはいえ、その戦力は、同時に極めて脆弱な面も持ち合わせています。事実、飛行場が敵の先制攻撃を受け、滑走路が破壊されるとともに地上に駐機中の航空機が次々と撃破されることによって、航空戦力が開戦から数時間で瓦解した事例は枚挙に暇がありません。
日本においても、この問題は決して対岸の火事などではなく、むしろ喫緊に対応策を考えるべき本質的な課題となっています。
仮に日本が有事に巻き込まれた場合、その相手がいかなる国家であれ、開戦と同時に最優先で狙われる目標のひとつに航空基地が含まれているのは間違いないでしょう。特に航空自衛隊が保有する戦闘機部隊は、ミサイルによる飽和攻撃を受ければ、離陸の機会すら得られぬまま地上で殲滅されかねません。その脆弱性は、日本の防衛における最大級の懸念事項として、かねてより広く認識されてきました。
この問題に対する古典的かつ有効な対処法のひとつが掩体(えんたい)の整備です。コンクリート製のシェルターや堅牢な土塁に囲まれた格納庫は、航空機をミサイルの直撃から保護する物理的な防御の要となります。実際、航空自衛隊も掩体を保有し、一部の機体は常時この中に収容されています。
しかし、決定的な制約はその「規模」にあります。約300機にのぼる航空自衛隊の全戦闘機を掩体内に格納することは、飛行場の敷地面積や構造的制約から、現実的に困難です。実際、まとまった数の掩体が整備されている航空自衛隊の基地は、千歳(北海道)、三沢(青森県)、小松(石川県)ぐらいしかありません。
こうした状況下において、昨今注目を集めているのが、2022年2月以降のウクライナ空軍の卓越した戦いぶりです。
日本列島の細長さは逆にメリット
ロシアによる全面侵攻が始まった当初、世界中の多くの軍事専門家は、ウクライナ空軍が開戦初頭に壊滅することを予測しました。ロシア空軍が、その圧倒的な戦力と、各種の長射程ミサイルを使った先制攻撃で、ウクライナの航空基地を封鎖し地上で殲滅することは「既定路線」と見なされていたのです。
しかし、その予測は覆されました。開戦から3年を経た現在に至っても、ウクライナ空軍は戦力を保持し、なおも作戦行動を継続しています。その原動力となったのは、掩体による部分的な防護だけではありません。彼らが採ったのは、航空機を常に「動かす」という柔軟かつ機動的な戦術にあります。
ウクライナ空軍は、敵の攻撃圏内にある従来の基地に固執せず、航空機を分散・展開させ、臨時の発着場を転々と移動しました。数日ごとに拠点を変更することで、敵に正確な位置を把握させず、ミサイル攻撃を空振りさせ続けたのです。まさに、この「分散機動」こそが、ウクライナ空軍が戦線を維持し続ける原動力となっているのは間違いないでしょう。
この戦術的発想は、日本においても有効に機能します。日本列島は、北海道から沖縄に至るまで、東西南北に数千kmにも及ぶ「縦深」を備えています。ウクライナの場合、ほぼ全土がロシアのミサイル圏内に入っていることを鑑みると、それと比べて日本は有利だとも捉えられます。
日本には大小100を超える民間空港が点在し、戦闘機や輸送機の離着陸に十分な滑走路を備えている滑走路も少なくありません。これらを臨時飛行場として活用し、戦闘機を分けて展開させることで、敵の攻撃についても分散させ、ウクライナ空軍のように地上撃破のリスクを最小化しつつ、持続的な航空作戦を維持することは十分可能です。
航空自衛隊もすでに「機動分散運用」の名の下、民間空港における離着陸や、地上部隊の展開訓練を重ねています。深刻化する東アジア情勢の下、今後、日本列島の縦深性を最大限に活かしたこの戦術は、防衛戦略の中核として、ますます重要性を増していくことでしょう。
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韓国や台湾の戦闘機基地はほとんどシェルター化されているのと比べれば、まだまだ平和ボケと言わざるを得ない。