欧州で進む商用車の純EV化
執筆:James Attwood(ジェームス・アトウッド)
【画像】純EVの商用車 ルノー・ゾエ ジムニーやディフェンダーの商用車仕様も 全91枚
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)
商用車のバンといえば、質実剛健なクルマの代表格。高い動的能力を求められることはないとはいえ、欧州では積極的に純EVへのシフトが進んでいる。乗用車以上に。
理由はシンプル。純EVなら内燃エンジンの商用車と比べて、ランニングコストが抑えられる。また欧州の都市部などでは、一定の環境基準に合致しないクルマに課金が発生する、クリーンエア・ゾーンと呼ばれるエリアも拡大している。
商用車も得意分野とするルノーにとって、見過ごすことはできない時代の変化だ。トヨタ・ヤリス・クラスのボディを持つコンパクト純EVのゾエを、小さな商用車として提供しようと考えても不思議ではない。
果たして販売が始まったルノー・ゾエ・バン。そもそも欧州では、Bセグメントというコンパクト・クラスの商用車は選択肢が少ない。さらに英国では、唯一の純EVモデルでもある。自ずと事業者の関心も高まってくる。
ゾエは、フランス車として独特の魅力を備えるモデルだ。しかし、スタイリングより荷室容量や道具としての機能が求められるバンとして、その実力は充分といえるだろうか。試乗で確かめてみたい。
リアシートを取り外しフラットな荷室へ
AUTOCARの読者なら、過去にルノー・ゾエの試乗レポートに目を通していただいた方も少なくないだろう。商用車のゾエ・バンも、基本的には乗用車仕様のゾエと見た目は大差ない。
ボディサイズはまったく同じで、52kWhの駆動用バッテリーや108psの駆動用モーターも同じ。充電器は最大22kWまで対応し、最短3時間あればフル充電にできる。欧州で一般的な8kWの家庭用充電器なら、9時間半ほど必要になる。
車内のフロントシート側も乗用車仕様のまま。労働環境として、評価できるポイントだと思う。シートポジションは快適だし、トリムグレードも通常のゾエと同等水準のものが選べる。呼び名は、ビジネスとビジネス+に改められているが。
バンとしての違いは、リアシート側。ベンチシートが取り外され、フラットなフロアがフロントシート直後まで伸びている。荷室の荷物が前へ飛び出さないよう、頑丈なメッシュが張られたパーティションも追加してある。
ただし、ルノー・ゾエは小さい。荷室容量は0.51立方メートルに限られるそうだ。最大積載量は387kgとなる。
リア側のドアはそのまま残され、横方向からも荷室にアクセスできる。ただしサイドガラスには不透明なフィルムが貼られている。バンとしての基準を満たすために。
乗用車仕様の長所を受け継いだバン
ステアリングホイールを握ってみても、質感は乗り慣れたゾエに準じている。ダイレクト感のある正確な操舵感で、とても運転しやすい。入り組んだクリーンエア・ゾーンでの配達にも好適だろう。
活発な走りを求めて商用車を選ぶドライバーはいないと思うが、パワーにも不足はない。トルクが太く、信号や停止線からの加速も意欲的にこなせる。
安定感が高く、不安感が少ないのも美点。商用車の純EVというより、ハッチバックの純EVに乗った気分で仕事をこなせそうだ。
後ろのサイドガラスが不透明で、フロントシートの直後にメッシュが張られているから、後方視界は乗用車仕様より良くはない。それでも、多くのバンと呼ばれるモデルよりは良好。ボディサイズが小さいから、駐車や取り回しで困ることはないと思う。
乗用車仕様の長所を受け継いだゾエ・バンは、魅力的なクルマだと思う。ただし商用車を選ぶ場面では、ランニングコストと積載能力も重要な要件となってくる。残念ながらゾエ・バンは沢山の荷物を詰めるタイプではなく、選択できる人は限られるはず。
とはいえ、欧州の商用車ラインナップを見てみると、ゾエ・バンに並ぶようなクルマはほぼない。例えば、ひと回り大きいフォード・フィエスタにも商用車仕様があるが、ガソリンエンジンのみだ。
小さな電動商用車、ルノー・ゾエ・バン。一度に沢山の荷物を運ぶ必要はないビジネスユーザーにとっては、探していた1台となるだろう。
ルノー・ゾエ・バン R110 ZE50ビジネス+(英国仕様)のスペック
欧州価格:3万1990ポンド(495万円/英国政府補助金適用後)
全長:4087mm
全幅:1730mm
全高:1562mm
最高速度:135km/h
0-100km/h加速:11.5秒
航続距離:384km
電費:−
CO2排出量:−
車両重量:1577kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
バッテリー:52.2kWh
最高出力:108ps
最大トルク:22.7kg-m
ギアボックス:−
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