■日産、中国専売SUV「パスファインダー」量産モデルをお披露目
2023年11月17日より開幕した広州モーターショー2023にて、日産は新たな中国専売SUV「パスファインダー」の量産モデルをお披露目しました。
いったいどのようなクルマなのでしょうか。
パスファインダーは1985年より日産が展開しているミドルサイズSUVで、2代目までは日本でも「テラノ」として販売されていました。
3代目からは製造も販売も完全に海外で行われる海外専売車種となり、現在は5代目モデルが販売されています。
現行モデルのVQ35DD型3.5リッター V型6気筒エンジンから繰り出されるパワー、そして全長5021mm×全幅1979mm×全高1801mmの大型ボディは主に北米や中東市場で大いに支持されており、日産のラインナップにおける重要なモデルのひとつです。
一方、中国市場ではパスファインダーは投入されておらず、中国向けラインナップの中で最も大きいSUVは「テラ」でした。
テラは2018年の北京モーターショーで発表されたミドルサイズSUVで、ピックアップトラック「ナバラ」をベースとしています。
中国では「エクステラ」の中国向けモデル「パラディン」の後継車種として位置付けられていますが、それ以外の市場では「パスファインダー」における「最後のボディ・オン・フレーム世代」であった3代目モデルの後継としても認識されています。
そんな中、2023年4月に開催された上海モーターショー2023では中国専売となる新たな「パスファインダー」のコンセプトモデルが発表されました。
発表されたモデルは北米や中東で現在販売されているモデルとはサイズ感は近いものの、より洗練されたスポーティなエクステリアデザインが印象的です。
日産によると、デザインは中国のデザインセンターにて、中国人デザイナーが中国の購買層を想定してデザインしたとのこと。
日産の美学と中国独自のエッセンスを融合させ、ほかのライバルと一線を画す唯一無二のSUVが完成したと言います。
上海モーターショー2023では量産モデルの正式発表を2023年第4四半期におこなうと告知していましたが、この度の広州モーターショー2023にてお披露目を迎えました。
パスファインダーは新たに中国語名を「探陸」と定め、初めて中国市場へ投入されます。
エクステリアデザインはコンセプトモデルより大きく変更はされていませんが、コンセプトモデルで見られた左右のヘッドライトを繋ぐグリル上部のイルミネーションは量産モデルには受け継がれていません。
また、ヘッドライト直下のイルミネーションや、リアの光る車名エンブレムもコンセプトモデルのみの特徴となります。
ホイールのデザインはコンセプトモデルと同じですが、コンセプトモデルではタイヤサイズが275/50R21だったのに対し、量産モデルは255/60R20です。
ボディサイズは全長5130mm×全幅1981mm×全高1767mm、ホイールベース2900mmと、北米などで販売されているパスファインダーよりも全長と全幅が大きくなっております。
一方で全高は34mm低くなっており、よりスポーティーな印象を与えています。
3列シートには6名を座らせることができ、広々とした車内空間は大家族や長距離の移動も楽にさせます。
サイドを眺めると、窓ガラスとドアの間に引かれたサイドラインによって車体色がツートンに塗り分けられているのがわかります。
また、上半分の光沢ブラック仕上げ部にマットシルバーの加飾を施すことで、錯覚で車高が低く抑えられているように感じさせます。
これにより、車内の居住性をそのままに、外から見た姿をよりスタイリッシュに仕上げたというわけです。
■明らかになったスペックは? 現地での反響はいかに
コンセプト段階では不明だったパワートレインの詳細についても明らかとなりました。
搭載エンジンは「VCターボ」と呼ばれる可変圧縮比機構を持つKR20DDET型2リッター直列4気筒ターボエンジンとなり、9速オートマチックトランスミッションと組み合わせられます。
圧縮比を8から14の間で可変させることにより、走行状況に応じて燃費重視の高効率エンジンから出力重視のハイパワーエンジンかを切り替えられる形に。排気量も圧縮比14の場合は1970cc、圧縮比8の場合は1997ccとなります。
また、SUVらしく四輪駆動でもあります。「4×4-i」と呼ばれる日産の電子制御式四輪駆動システムを搭載しており、力強い走りをどんな路面でも提供します。
新型パスファインダーについて、中国での評判はおおむね好評な印象です。
デザインが一貫して中国の消費者層を意識して作られたほか、質感の良い内装は操作性に優れる物理ボタンを残しつつ、ディスプレイなどの先進的な要素も適度に盛り込んでいる点が評価されています。
一方、パワートレインが電動ではないことに難色を示す意見も見られます。
中国ではプラグインハイブリッド(PHEV)、電気自動車(BEV)、そして燃料電池車(FCEV)を「新能源車(新エネルギー車)」と位置付け、税金の優遇や、大都市圏でのナンバープレート発給規制の免除などの恩恵が受けられます。
パスファインダーのパワートレインはハイブリッド(HEV)ですらない純ガソリンなため、大都市圏での販売は順調とは行かないかもしれません。
一方、舗装が進んでいなかったり、悪路の多い地域では持ち前のパワフルな走り、そして余裕のある大空間が高く評価されることでしょう。
それらの地域は大都市圏でないために登録も容易であるはずなので、それなりに人気が出るとの見方もされています。
新型パスファインダーの発売時期は2024年第1四半期となります。
中国市場では中国ブランドの人気が急成長しており、日産のシェアは減少傾向にあります。
この状況下で日産はシェア回復を図るために新車種ラインナップを前倒しで投入するとしています。
また、中国現地で開発した4種類のEV(含PHEV、BEV)を今後3年間で投入するとも発表しました。
そのうちのひとつが2024年に投入されるとのことで、中国市場における日産の今後に注目が集まります。
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みんなのコメント
車としての顔がなさすぎる。