Porsche 911 Carrera / Carrera 4 / Cabriolet
ポルシェ 911 カレラ / カレラ 4 / カブリオレ
ポルシェ911カレラ 初試乗! “素”のタイプ992でもポルシェの真髄は味わえる
日本では圧倒的人気を誇る“素”のカレラ
「なぜカレラではなく、カレラSを先に発売したのか?」。この問いかけに911と718のセールス&マーケティングダイレクターを務めるヘンリッヒ・クリストフ氏は「それはカレラSがもっとも人気のあるモデルだからです」と事も無げに答えた。
欧米ではカレラとカレラSの比率がおよそ3対7にもなるという。もちろん追ってGTSなどが登場するとその比率は変わってくるようだが、それにしてもカレラSが人気のようだ。一方で日本市場はといえば、圧倒的にベースのカレラの人気が高い。タイプ991でもおよそ5割がカレラで、ボディタイプは約85%をクーペが占めたという。
フランクフルト・モーターショーのプレスデイの翌日、おそらく日本では一番人気になるであろうタイプ992のカレラ クーペに試乗する機会を得た。写真とは異なるが、エクステリアはスペシャルカラーのクレヨンで、インテリアは黒基調のレザーパッケージに、お約束のスポーツクロノパッケージの組み合わせ。ホイールは標準がフロント19インチ、リア20インチなのに対して、オプションのフロント245/35ZR20、リア305/30ZR21、タイヤはグッドイヤーのイーグルF1を装着していた。
ワイドボディが標準となった、タイプ992
タイプ992では、従来は4駆モデルに使用されていたワイドボディが2駆にも採用されるようになった。したがって2駆のカレラでも991のカレラ4と同様、全幅は1852mmに、またホイールベースは991と同寸の2450mmながら、トレッドは、991カレラが前1540mm、後1520mmであったのに対して992では前1591mm、後1557mmと、フロントもリアも大幅に拡大されている。
GR(トヨタ)スープラの開発責任者である多田哲哉氏がホイールベースとトレッドの比率にこだわって開発を行ったことを公言しているが、スープラが1.55であるのに対して、992は1.54とさらに小さくなる。この数値が小さくなればなるほど回頭性が増すというが、あらためて4シーターでこれを実現している911の凄さがわかるというものだ。
したがって、カレラもカレラ4もカレラSも、オプションのホイールを履かせてしまえば、リアのエンブレム以外に見分ける術はない。実はカレラの標準のテールパイプは四角い2本出し、カレラSは丸い4本出しになるのだが、オプションのスポーツエキゾーストが装着されていれば、いずれもオーバルの2本出しとなり判別がつかない。試乗車にはカレラクーペのほか、カレラカブリオレ、カレラ4クーペ、カレラ4カブリオレが用意されていたが、いずれもスポーツエキゾーストが装着されていた。
ベースモデルでも、385ps&450Nmを発揮!
先に発表されたS系と追加されたベースモデルの最大の違いは、もちろんエンジン出力だ。両者とも991型後期より採用された3リッター水平対向6気筒ツインターボエンジンをべースに、最新の排ガス規制をクリアすべく、ガソリン微粒子フィルター(GPF)を装着(ちなみに排ガス規制の違いから日本仕様では、GPFは装着されないという。よりダイレクト感を享受できるというわけだ)。一方でパフォーマンス向上のためにインタークーラーを移設するなどクーリングシステムを新設計し、ピエゾ インジェクション バルブを初採用した点などは共通だ。カレラSの最高出力が450ps、最大トルク530Nmであるのに対して、ベースモデルの「カレラ」は最高出力385ps、最大トルクは450Nmとなる。
ちなみにカレラSの65ps/80Nmの出力差は、ブースト圧の調整ではなくターボチャージャーそのものを変更することで実現している。カレラ用のタービンの直径が45mm、コンプレッサーの直径が49mmであるのに対し、カレラSではそれぞれ48mmと55mmにまで大径化されている。またウエストゲートバルブの調節を負圧ではなく、ステップモーターを介し電動化したことにより迅速かつ正確な給気圧力制御が可能になった。
0-100km/h加速は、カレラSの3.7秒に対してカレラは4.2秒。オプションのスポーツクロノパッケージを装着した場合には、共に0.2秒短縮できるという。最高速度はカレラSの308km/hであるのに対してカレラは293km/hとなる。最高速度は991とほとんどかわらないが、991の0-100km/h加速がカレラSが4.1秒、カレラは4.4秒だったことを鑑みれば、着実に進化していることがわかる。
ポルシェの流儀はそのままに
フランクフルト市内のホテルを出発して、約270km先にあるポルシェ本社のある街、シュトゥットガルトを目指す。サイドサポートが大きく張り出したスポーツシートに腰掛ける。骨盤を立てるように座り、肩の位置とステアリングの頂点の高さを揃えるのがポルシェ流だと以前パナメーラの開発者に教えてもらったことがある。そして、左のポケットから鍵を出し、左側にあるキーリンダーを回すのが911の流儀だとも話していた。残念ながら物理的な鍵はなくなってしまったけれど、992でもエンジンの始動はボタンではなく、左側にあるノブを右に捻って行う。やはり左ハンドル仕様の座りの良さは秀逸だ。ステアリングとシート、そしてペダルの配置が無理なく体にフィットする。日本ではいまのところ左ハンドル仕様の設定はないようだが、911ファンとしては要望したいところだ。
インテリアは、初代911を彷彿とさせる水平基調のデザインに、中央に10.9インチの大型ディスプレイなど最新のデジタルデバイスを組み合わせたモダンなもの。伝統の5連メーターは、中央のタコメーターのみアナログで、周りの4つはデジタル液晶になった。試乗車にはオプションのアダプティブクルーズコントロールが備わっており、液晶メーターにそれらの情報が映し出される。911であってもこうしたADAS(先進運転支援システム)とは無縁ではいられない時代になった。
グランドツアラーとしても優秀
試乗ルートのほとんどがアウトバーンなのだが、残念ながら速度無制限区間はほとんどなかった。それでも静粛性は高く、アルミの比率を7割にまで高めたという高剛性ボディの影響もあって、120~130km/hでの巡航は鼻歌交じりの快適さ。トレッドの拡大によってスポーツカーとしての性能を高めたのはもちろん、スタビリティも大幅に向上し、グランドツアラーとしての能力にも磨きがかかっている。
アウトバーンを降りると、ドイツ郊外では一般的な制限速度100km/hのワインディングロードを走った。道幅は狭いけれども、舗装は行き届いており、適度なアンジュレーションのある楽しい道だった。そこでも足まわりがバタつくような場面はほとんどなく、タイヤが路面をピタッと捉えて離さない。
まさに洗練! エグゾーストも大人っぽい印象に
カレラには、カレラSにはオプションで用意されるリアアクスルステア(4WS)の設定はないが、ステアリングのギア比は先代比で11%高められており、ドライバーの入力に対して素直に反応する。“洗練”という言葉が頭に思い浮かんだ。GPFの影響なのかノーマルモードではエンジンは思いのほか静かだ。おそらくその点を考慮して試乗車のすべてにオプションのスポーツエグゾーストが装着されていたのだろう。従来のスポーツエグゾーストは少々演出過多だと感じていたが、992では大人っぽい印象になった。4000rpmを超えたあたりから気持ちのよいサウンドを奏でる。
992では標準になった8速PDKは、低速域からスムースに変速を行い、ノーマルモードでは効率的にリズムよくシフトアップしていく。スポーツモードではシフトスピードを高め、高回転域を維持しながら走る。先出のクリストフ氏にMTの設定はないのか尋ねると、「そう遠くないタイミングで7速MTを導入するからもう少し待ってて」と答えてくれた。MTをあえて続けるのは911としての矜持といえるかもしれない。
カレラ4と同カブリオレにも試乗!
四駆のカレラ4、そしてカレラ4 カブリオレも試した。カレラ4は、明らかにフロントの接地感が高く安定感が増す。ただ、二駆であっても992ではポルシェ・スタビリティ・マネジメントシステム(PSM)をはじめ、路面の濡れや水しぶきを感知すると、それらのシステムを協調制御するウエットモードまで用意しているだけに、不安になる場面はほとんどないし、やはり身のこなしは軽い。すっきりと切れ味のいい軽快さを求めるなら二駆を、盤石の安定性を求めるなら四駆をということになるのだろう。
一方カブリオレはといえば、一般的にはボディのねじり剛性が落ちて、ステアリングのレスポンスが鈍くなるといった話になりがちだが、少なくともワインディングを運転している分にはまったく気にならなかった。ソフトトップの骨組みはマグネシウム合金製で、閉めてしまえばまるでクーペのような静粛性の高さだ。開閉機構に新技術の油圧システムを採用したことにより、所要時間は約12秒にまで短縮されている。ちなみにクリストフ氏によると、欧米ではクーペとカブリオレの比率がほぼ50対50なのだという。日本では先述したようにクーペが85%、カブリオレの割合はわずか1割という。彼の地の人たちは目を三角にして走ることだけが911の価値ではないと知っているのだ。
エントリーレベルでも「911」を実感
日本で先に試乗したカレラSではその速さに驚き、限界領域はとんでもなく遠いところにあると感じた。大先輩の清水和夫氏をもってして「991のGT3にタメをはる」というのだから、その凄さは推して知るべしだ。もちろん、素のカレラにはそこまでの速さはない。でも1日、アウトバーンやワインディングロードを走って、ほどよいパワー感がちょうどいいと感じた。いわんや日本の道では十二分なのは間違いない。やはりエントリーレベルであっても911、あらゆる場面で万能なのだ。
日本での車両本体価格は、カレラ クーペで1359万7222円、カレラ4は未定だが、おそらくカレラ+百数十万円、そしてカレラ カブリオレは1588万8889円、ちなみにカレラSクーペが1696万8519円(消費税10%含む)。911選びはなんとも楽しく、悩ましいものだ。
REPORT/藤野太一(Taichi FUJINO)
【SPECIFICATIONS】
ポルシェ 911 カレラ
ボディサイズ:全長4519 全幅1852 全高1298mm
ホイールベース:2450mm
トレッド:前1591 後1557mm
車両重量:1505kg
エンジン:水平対向6気筒DOHCツインターボ
総排気量:2981cc
ボア×ストローク:91.0×76.4mm
圧縮比:10.2
最高出力:283kW(385ps)/6500rpm
最大トルク:450Nm/1950~5000rpm
トランスミッション:8速DCT
ステアリング:電動パワーアシスト
サスペンション:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキシステム:前後4ピストン アルミモノブロック キャリパー
ブレーキ ローター径:前330×34 後330×28mm
タイヤサイズ(リム幅):前235/40ZR19(8.5J) 後295/35ZR20(11.5J)
最高速度:293km/h
0→100km/h加速:4.0秒(スポーツ プラス モード時)
0→200km/h加速:14.2秒(スポーツ プラス モード時)
エミッション:Euro 6d
CO2排出量:206g/km
燃料消費量:9.0リットル/100km
車両本体価格:1359万7222円(消費税10%含む)
ポルシェ 911 カレラ 4
ボディサイズ:全長4519 全幅1852 全高1298mm
ホイールベース:2450mm
トレッド:前1591 後1557mm
車両重量:1555kg
エンジン:水平対向6気筒DOHCツインターボ
総排気量:2981cc
ボア×ストローク:91.0×76.4mm
圧縮比:10.2
最高出力:283kW(385ps)/6500rpm
最大トルク:450Nm/1950~5000rpm
トランスミッション:8速DCT
ステアリング:電動パワーアシスト
サスペンション:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキシステム:前後4ピストン アルミモノブロック キャリパー
ブレーキ ローター径:前330×34 後330×28mm
タイヤサイズ(リム幅):前235/40ZR19(8.5J) 後295/35ZR20(11.5J)
最高速度:291km/h
0→100km/h加速:4.0秒(スポーツ プラス モード時)
0→200km/h加速:14.6秒(スポーツ プラス モード時)
エミッション:Euro 6d
CO2排出量:210g/km
燃料消費量:9.2リットル/100km
車両本体価格:未定
ポルシェ 911 カレラ カブリオレ
ボディサイズ:全長4519 全幅1852 全高1297mm
ホイールベース:2450mm
トレッド:前1591 後1557mm
車両重量:1575kg
エンジン:水平対向6気筒DOHCツインターボ
総排気量:2981cc
ボア×ストローク:91.0×76.4mm
圧縮比:10.2
最高出力:283kW(385ps)/6500rpm
最大トルク:450Nm/1950~5000rpm
トランスミッション:8速DCT
ステアリング:電動パワーアシスト
サスペンション:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキシステム:前後4ピストン アルミモノブロック キャリパー
ブレーキ ローター径:前330×34 後330×28mm
タイヤサイズ(リム幅):前235/40ZR19(8.5J) 後295/35ZR20(11.5J)
最高速度:291km/h
0→100km/h加速:4.2秒(スポーツ プラス モード時)
0→200km/h加速:14.9秒(スポーツ プラス モード時)
エミッション:Euro 6d
CO2排出量:210g/km
燃料消費量:9.2リットル/100km
車両本体価格:1588万8889円(消費税10%含む)
ポルシェ 911 カレラ 4 カブリオレ
ボディサイズ:全長4519 全幅1852 全高1297mm
ホイールベース:2450mm
トレッド:前1591 後1557mm
車両重量:1575kg
エンジン:水平対向6気筒DOHCツインターボ
総排気量:2981cc
ボア×ストローク:91.0×76.4mm
圧縮比:10.2
最高出力:283kW(385ps)/6500rpm
最大トルク:450Nm/1950~5000rpm
トランスミッション:8速DCT
ステアリング:電動パワーアシスト
サスペンション:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキシステム:前後4ピストン アルミモノブロック キャリパー
ブレーキ ローター径:前330×34 後330×28mm
タイヤサイズ(リム幅):前235/40ZR19(8.5J) 後295/35ZR20(11.5J)
最高速度:291km/h
0→100km/h加速:4.2秒(スポーツ プラス モード時)
0→200km/h加速:15.3秒(スポーツ プラス モード時)
エミッション:Euro 6d
CO2排出量:211g/km
燃料消費量:9.2リットル/100km
車両本体価格:未定
【問い合わせ】
ポルシェ カスタマーケアセンター
TEL 0120-846-911
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