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「大型車 = 安全」はウソだった? 車重1.8トン超えはむしろ危険? 走る凶器? 死亡率7人増の現実データ、米国研究が指摘する意外なリスクとは

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「大型車 = 安全」はウソだった? 車重1.8トン超えはむしろ危険? 走る凶器? 死亡率7人増の現実データ、米国研究が指摘する意外なリスクとは

重量増加のリスクと限界

もし軽自動車とランドクルーザーが正面衝突した場合、どちらがよりダメージを受けるかは明白だ。しかし、「大きい車ほど安全」という考えには明確な限界があることが、米国道路安全保険協会(IIHS)の新たな研究で示された。

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現在、米国の民生車両の平均車重は約1814kgだ。もちろん、小型車や大型SUVなど車種によって車重には大きな差がある。

一般的に、大きくて重い車に乗っていれば比較的安全だが、その一方で車両同士の衝突事故では、相手車両へのダメージが増えることを考慮する必要がある。今回の研究によれば、車両重量が車両群の平均より軽い場合、

「車重が500ポンド(約227kg)増える」

ごとに衝突事故での死亡リスクが大幅に減少する。しかし、そのメリットはすぐに頭打ちとなる。そして、車両重量が平均より重い場合、重量増加による死亡リスクの減少はほとんど見られないという。

具体的には、平均以下の車重の車の場合、車両重量が500ポンド増えるごとに、登録車両100万台年あたりのドライバー死亡率は17人減少した。一方、衝突相手の死亡率はわずかにひとり増加したに過ぎない。

つまり、平均より軽い車両に500ポンドの重量を加えても、相手車両へのリスクは実質的に増加しない。しかし、平均より重い車両に500ポンドを追加すると、相手車両の乗員への危険性は一気に高まることになる。

大型車のリスク、衝突で顕在化

例えば、平均車重を超えるピックアップトラックの場合、車重が500ポンド増加すると同乗者の死亡率はひとり減少するに過ぎないが、衝突相手車両の死亡率は7人増加することが明らかになった。つまり、車重が約1.8t以上の車両は、たとえ人員や荷物で車重が増えても

「運転者や同乗者の安全性」

が向上するわけではない。しかし、衝突事故時には相手車両に与えるダメージが著しく増大する。これが、まさに“走る凶器”と呼ばれる所以である。

IIHSの上級統計学者で論文の主筆であるサム・モンフォート氏は次のように説明している。

「平均より重い車両は、それより軽い車両と衝突する可能性が高く、平均より軽い車両の場合はその逆になります。この分析が示しているのは、きわめて重い車両を選択しても、安全性が高まるわけではなく、むしろ他人にとっての危険性が高まるということです」

また、IIHSのデビッド・ハーキー会長は

「米国のドライバーにとって、大きい方が安全なら、より大きい方がさらに安全だというのが常識です。(しかし)今回の研究結果は、それが今日では真実ではないことを示しています。相手車両に乗っている人にとってそうではなく、そしてこれが重要なのですが、大型車の乗員自身にとってもそうではないのです」

と語っている。例えば、平均車重より重い2tの乗用車同士が衝突した場合、平均車重同士の衝突よりも、どちらの車両でも死亡率がふたり増加することがわかっている。衝突事故においては、自分の車の安全性だけでなく、

「相手車両に及ぼすダメージ」

にも十分配慮する必要がある。もし相手を死亡させてしまった場合、法律上の重大な責任を負うことになる。大型車両が“走る凶器”になり得るリスクを深く認識することが求められる。

SUV・ピックアップの安全性向上

IIHSは長年にわたり、異なる車両間の衝突時における乗員の相対的安全性を研究してきた。この研究は、車両の構造や大きさの違いが衝突時にどのような影響を与えるかを明らかにし、特に大きな車両が小さな車両の乗員に与える影響に焦点を当てている。

事故時には、同乗者の安全性の確保と同じくらい、相手車両への加害性にも配慮する必要があり、

「両立性(双方のリスクを分け合う)」

が重要であるという視点から衝突両立性の概念が生まれた。

かつて、SUVやピックアップトラックは衝撃吸収構造が不十分だったため、これらの車両が一般的な乗用車に衝突すると、ボンネットの上に乗り上げてしまう危険な事故が頻発していた。

しかし、2009年以降、IIHSが主導する自主的な取り組みの一環として、自動車メーカーはSUVやピックアップトラックのフロントエンドを他の乗用車の衝撃吸収ゾーンに一致するように改良し、衝突両立性を向上させた。また、車両の構造を強化し、T字型衝突から乗員を保護するために、すべての車両にサイドエアバッグを標準装備した。

これらの対策により、SUVとピックアップトラックは以前に比べ、他の車両に対する危険性が大幅に低下した。

今回の研究では、乗用車、SUV、ピックアップトラック間で発生した2台の車両による衝突事故を調査し、2011~2016年および2017~2022年のふたつの期間を対象に、登録車両年数100万台あたりのドライバー死亡率を計算した。その結果、全体的に車種間の衝突両立性が改善し続けていることが確認された。

進化する車両安全技術と衝突リスク

2011~2016年のサンプルに含まれるSUVやピックアップトラックの一部は、自動車メーカーがフロントエンドの構造を変更する前のもので、この期間中、重量5000ポンドを超えるSUVとの衝突事故では、衝突相手車両の乗員が死亡する確率が平均的車重の車両よりも90%高かった。

一方、2017~2022年には、大型SUVが他の自動車との衝突による死亡事故を引き起こす可能性は、平均的な車重の乗用車に比べて20%にとどまった。

ピックアップトラックの衝突両立性も向上しており、2011~2016年には死亡事故を引き起こす可能性が乗用車より2.5倍高かったが、2017~2022年には2倍弱に低下した。

もちろん、大きくて重い車両に乗ることで基本的な安全性は確保できるが、エアバッグや乗員保護技術の進歩により、大型SUVやピックアップトラックに乗ることによる相対的な安全上の利点は減少している。

この研究結果は、安全を重視して維持費の高い大型車を選ぶ理由が減少していることを示唆している。

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みんなのコメント

21件
  • dd********
    >車両重量が平均より重い場合、重量増加による死亡リスクの減少はほとんど見られないという。

    単に、「より重いほど安全」な訳では無くて、「衝突相手より重いこと」が安全であるということでしょう?
    言われなくても解ってるって。
  • トム
    重いと曲がる・止まるでは圧倒的に不利。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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