現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ワースト評価のクルマが生産終了に追いやられるほどの影響力! 自動車メーカーにとって恐怖の雑誌「コンシューマーリポート」って何もの?

ここから本文です

ワースト評価のクルマが生産終了に追いやられるほどの影響力! 自動車メーカーにとって恐怖の雑誌「コンシューマーリポート」って何もの?

掲載 41
ワースト評価のクルマが生産終了に追いやられるほどの影響力! 自動車メーカーにとって恐怖の雑誌「コンシューマーリポート」って何もの?

 この記事をまとめると

■雑誌「コンシューマーリポート」はアメリカで400万部を発行し、消費者に絶大な影響力を誇っている

「マツダ」が「レクサス」や「ホンダ」を押さえて全米1位の自動車ブランドに選出! 消費者の心を掴んだ理由とは?

■独自の基準で商品を評価しており、その結果によってはディスコンに追いやられるクルマもある

■過去にはワーストリストにランクインされたメーカーがテスト内容の不備を申し立てて裁判に発展したこともある

 一切の忖度をしない雑誌として有名な「コンシューマーリポート」

 アメリカでコンシューマーリポート(以下CR)という雑誌が幅を利かせているようです。雑誌ながら、企業の広告を一切掲載せず、公平な消費者目線で「優れた商品、受け入れがたい商品」などと評価を紹介しており、発行部数は400万部、ウェブの契約読者は700万人ともいわれています。

 もちろん、商品の中ではクルマも大きな柱となっており、毎年「ベスト&ワースト」を発表するほか「避けるべき中古高級SUVと、代わりになにを買うべきか」「気温がEVの航続距離に与える影響」といったテーマの記事を配信。多数の読者、消費者からの信頼を得ている模様。ちょうど、日本にも「暮らしの手帖」という古くから消費者目線で有益な情報を掲載している雑誌があるので、そのアメリカ版、自動車版と考えてもよさそうです。

 筆者もときどきCRのリストを覗くことがありますが、最近ちょっと気になることがありました。2022年と2023年のワーストリストに日本車が1台ずつランクインしているのです。これまで、CRで取り上げられる日本車はおおむね高評価であり、年度末のベストカーリストには複数台が選ばれていたのです。もちろん、両年ともベストリストに日本車がランクインしてはいるのですが、ワースト入りを見たのはここ数年で初めてかもしれません。

 ちなみに、CRの選択基準というのは一にも二にも信頼性があげられており、ここではいかに壊れないか、いかに乗員の安全を確保してくれるかといったポイントが重視されているようです。また、コンシューマー(消費者)の意見もリサーチ、反映されており、満足度やときにはリセールバリュー(下取り価格への満足度)まで選考の要素に加えられているとか。なるほど、消費者にとっては頼もしい情報源なのかもしれません。実際、1980年代あたりから影響力が増し、自動車メーカーにとっても侮りがたい存在となっているようです。

「コンシューマーリポート」のテスト結果にメーカーは恐怖する

 それゆえ、CRのワーストリストにランクインするというのは、アメリカで売れなくなることと等しいもの。現に、ランクインしたクルマがディスコン(生産中止)に追い込まれたことは一度や二度ではないのです。また、1996年にはいすゞのビッグホーン(北米ではトルーパー)がCRでのテスト走行中にスリップからロールオーバー(横転)という事故があった際、「Not Acceptable(受け入れ不可)」と結論づけられました。対して、トルーパーの命運がかかっているいすゞは、テスト内容に意義を申し立て裁判にもつれ込んだほど。メーカーにとって、CRはある種の脅威といっても差し支えないでしょう。

 そんな視点から、2022年のスバル・アセント(アメリカ向けSUV)と2023年の日産セントラがワーストリストに入ったことを眺めてみると、両車ともリコールが発生していたことがわかりました。なかでも、アセントのリコールは重大なもので、スバルの対応は「新車に交換」という大胆な措置。もっとも、リコールが指定されたのは10台に満たないもので、新車と交換されたのは9台だったとのこと。また、セントラにしても軽微な支障で、よその国でいえば「日常茶飯事」的なリコール。ですが、CRはこれを重く見たようです。ワースト入りしている他車のほとんどが似たようなリコールが報じられています。

 リコールの捉え方は各自まちまちかと思いますが、こと筆者の場合は、「じゃ、ディーラーで直してもらおう」と考え、さほど深刻には捉えません。むしろ、リコールを隠されるほうが問題なわけですからね。一方、CRは深刻に捉える派なわけで、すると400万人の定期購読者、そして700万人のウェブ読者の大半が「深刻派」と見ることができそうです。こうした「大事をとる」姿勢こそCRが支持される所以かもしれません。

 たしかにクルマは安い買い物ではないし、耐久消費財、すなわち買い替えを伴う商品ですから、信頼性や耐久性、ひいてはリセールバリューに気を配るのも当然かと。そんな消費者マインドを上手にキャッチアップしたのがCRなわけで、リコールがたったひとつでも発生したらワースト候補というのも致し方ないのかもしれません。

 情報化社会といわれて久しいものですが、CRのようなメディアのおかげでクルマを買うのにも失敗することが少なくなった気がします。一方で、昔のような「一か八か」でそのクルマに賭けるような買い物が懐かしく思えるのは決して筆者だけではないでしょう。

 もっとも、「急にブレーキ抜けちゃう恐れあり」とか「アイドリング中に火災の可能性大いにあり」なんてのはしっかりリコールで知らせてもらいたいですがね(笑)。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

奇抜過ぎる東欧諸国のクルマ 17選 「共産圏」独特の風味を持つ名車・迷車
奇抜過ぎる東欧諸国のクルマ 17選 「共産圏」独特の風味を持つ名車・迷車
AUTOCAR JAPAN
フェルスタッペン「全開で戦うのが僕たちのスタイル」ノリスと和解。友人関係の維持は可能だと語る/F1インタビュー
フェルスタッペン「全開で戦うのが僕たちのスタイル」ノリスと和解。友人関係の維持は可能だと語る/F1インタビュー
AUTOSPORT web
現役レースアンバサダーの応援が効いた!? Z世代の「ロードスターカップ」第2戦、鼻の下を伸ばしたままのスタートは上々でしたが…
現役レースアンバサダーの応援が効いた!? Z世代の「ロードスターカップ」第2戦、鼻の下を伸ばしたままのスタートは上々でしたが…
Auto Messe Web
欧製ステーションワゴンの出発点 モーリス・オックスフォード・トラベラー ボルクヴァルト・イザベラ・コンビ(1)
欧製ステーションワゴンの出発点 モーリス・オックスフォード・トラベラー ボルクヴァルト・イザベラ・コンビ(1)
AUTOCAR JAPAN
見た目を裏切らない! ボルクヴァルト・イザベラ・コンビ 雰囲気と裏腹な? モーリス・オックスフォード・トラベラー(2)
見た目を裏切らない! ボルクヴァルト・イザベラ・コンビ 雰囲気と裏腹な? モーリス・オックスフォード・トラベラー(2)
AUTOCAR JAPAN
リカルド予選15番手「理想的な戦い方ができなかった」ピットレーンのウィービングでは戒告/F1第12戦
リカルド予選15番手「理想的な戦い方ができなかった」ピットレーンのウィービングでは戒告/F1第12戦
AUTOSPORT web
新型「2ドア“クーペ”」世界初公開! V8エンジン+4WD搭載!斬新“オタマジャクシ型”ヘッドライト採用の「コンチネンタルGTS」登場
新型「2ドア“クーペ”」世界初公開! V8エンジン+4WD搭載!斬新“オタマジャクシ型”ヘッドライト採用の「コンチネンタルGTS」登場
くるまのニュース
そろそろ出るか!? スズキ「ジムニー5ドア」の魅力をおさらい! 「伝統のクロカン4WD」が広いキャビンと荷室を獲得して実力アップ
そろそろ出るか!? スズキ「ジムニー5ドア」の魅力をおさらい! 「伝統のクロカン4WD」が広いキャビンと荷室を獲得して実力アップ
VAGUE
腰痛持ちも多数いる長距離トラックドライバー! プロが実践している「悪化させない」対策方法とは?
腰痛持ちも多数いる長距離トラックドライバー! プロが実践している「悪化させない」対策方法とは?
WEB CARTOP
音楽家・反田恭平の愛しの1台
音楽家・反田恭平の愛しの1台
GQ JAPAN
最終盤に予選さながらのアタック合戦。スーパーフォーミュラ富士公式テストのセッション2も牧野任祐がトップ
最終盤に予選さながらのアタック合戦。スーパーフォーミュラ富士公式テストのセッション2も牧野任祐がトップ
AUTOSPORT web
エンバリオが「人とくるまのテクノロジー展2024 NAGOYA」に初展示へ
エンバリオが「人とくるまのテクノロジー展2024 NAGOYA」に初展示へ
レスポンス
いま乗ってるクルマを「オープンカー」に改造したい! ズバッと「屋根を切れば」完成する!? 手作り「DIYオープンカー」の問題点とは
いま乗ってるクルマを「オープンカー」に改造したい! ズバッと「屋根を切れば」完成する!? 手作り「DIYオープンカー」の問題点とは
くるまのニュース
自ら操るヨロコビ──新型GRヤリス6MT仕様試乗記
自ら操るヨロコビ──新型GRヤリス6MT仕様試乗記
GQ JAPAN
ノリスは予選3番手「最後のミスで、ポールの可能性を失った」マクラーレン/F1第12戦
ノリスは予選3番手「最後のミスで、ポールの可能性を失った」マクラーレン/F1第12戦
AUTOSPORT web
高速を走る商用車から「脚立が落下」あわや大惨事! NEXCO映像公開 想像以上に恐ろしい“落下物”
高速を走る商用車から「脚立が落下」あわや大惨事! NEXCO映像公開 想像以上に恐ろしい“落下物”
乗りものニュース
史上最強のディフェンダーは635馬力! オフロードだけじゃなくオンロードもイケる! 高性能モデル新型「ディフェンダー・オクタ」ってどんなクルマ?
史上最強のディフェンダーは635馬力! オフロードだけじゃなくオンロードもイケる! 高性能モデル新型「ディフェンダー・オクタ」ってどんなクルマ?
VAGUE
トヨタ新「コンフォート+」発表に大反響! 約700万円の斬新「サメ顔モデル」に「日本にも」と熱望の声も! 4.3m級の「コンパクトSUV」波に登場
トヨタ新「コンフォート+」発表に大反響! 約700万円の斬新「サメ顔モデル」に「日本にも」と熱望の声も! 4.3m級の「コンパクトSUV」波に登場
くるまのニュース

みんなのコメント

41件
  • 日本の車雑誌、メディアは、
    自動車メーカーの広告収入で成り立っているので、
    メーカーに忖度した記事しか書けない。
    どれだけ綺麗事を並べても
    メーカー忖度記事しか書けない日本の車媒体は
    コンシューマーレポートの足元にも及ばない。
    比較する事自体がおこがましい。
  • >ワースト評価のクルマが生産終了に追いやられるほどの影響力!

    生産終了になるようなクルマだから、正直にワースト評価をつけられてるってだけじゃないの?
    順序が逆というか。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

413.0838.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

350.0350.0万円

中古車を検索
テーマの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

413.0838.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

350.0350.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村