現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 衝撃の47万円で登場した初代の志が今も息づく! 2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤーで10点を入れたクルマとその理由【渡辺陽一郎編】

ここから本文です

衝撃の47万円で登場した初代の志が今も息づく! 2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤーで10点を入れたクルマとその理由【渡辺陽一郎編】

掲載 46
衝撃の47万円で登場した初代の志が今も息づく! 2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤーで10点を入れたクルマとその理由【渡辺陽一郎編】

 この記事をまとめると

■日本カー・オブ・ザ・イヤー2022-2023の最終選考が終了

サクラとeKクロスEVは日本でいまもっとも必要な1台! 2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤーで10点を入れたクルマとその理由【青山尚暉編】

■選考委員を務めた方々に10点を入れたクルマとその理由を聞いた

■今回はスズキ・アルトを選んだ渡辺陽一郎さん

 まさに「顧客目線」なアルトに10点!

 私は第43回2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤーで、スズキ・アルトに10点を入れた。その理由は軽自動車の本質を突いた買い得な商品であるからだ。

 今は新車として売られるクルマの40%近くが軽自動車だが、価格も上昇した。軽乗用車の販売総数の内、約半数を占めるのは、全高が1700mm以上のスライドドアを備えたスーパーハイトワゴンだ。この売れ筋価格帯は155~180万円に達する。

 過去を振り返ると、2003年に発売された初代タントXは、標準ボディのXが113万円、ターボを搭載するRSでも135万円だった。従って今のタントの価格は、約20年前の1.3~1.4倍に達する。この価格上昇率は、軽自動車に限らず、ミニバンやコンパクトカーなどほかのカテゴリーにも当てはまる。

 今のクルマは軽自動車を含めて安全装備が大幅に充実したから、機能と価格のバランスでは割高になっていない。しかし価格の額面だけを見れば確実に上昇した。それなのに所得は増えていないのだ。

 その点で現行アルトの価格は、ベーシックなAが94万3800円、売れ筋のLは99万8800円(いずれもCVT)だ。両グレードとも100万円を下まわる。2004年に発売された6代目アルトの価格は、Gが84万円(3速AT)、Xは94万5000円(4速AT)だったから、現行型の価格は20年近く前の1.1倍だ。ほかの車種よりも値上げ率が小さい。

 ちなみに初代アルトは、1979年に47万円の低価格で発売されてヒットした。この価格を大卒初任給をベースにして現在の価値に置き換えると約90万円になる。つまりアルトは、初代モデルを投入して以来、いつの時代にもベーシックなグレードを「1979年の47万円」に相当する金額で設定してきた。価格の水準がブレないのだ。

 その一方で、初代と現行型では、装備内容が大幅に異なる。初代アルトは、コスト低減のために左側の鍵穴まで省いた。それがフルモデルチェンジを重ねるたびに、エアコン、AT、パワーステアリング、4輪ABS、横滑り防止装置などを標準装着していった。今のアルトには、衝突被害軽減ブレーキに加えて、小型車でもオプション設定にすることの多いサイド&カーテンエアバッグまで標準装着されている。

 またアルトは装備を充実させながら、車両重量が700kg前後と軽い。WLTCモード燃費は、マイルドハイブリッドを搭載しない100万円以下のAやLでも25.2km/Lに達する。この数値はノートXの28.4km/L、フィットe:HEVホームの29km/Lなど、コンパクトカーのフルハイブリッド車に近い。

 実用性も良好だ。天井が低く見えるアルトは、後席が狭く思えるが、実際には4名乗車を可能とする。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は、握りコブシ2つ半だ。スイフトの1つ半を上まわり、ミドルサイズSUVに近い。

 その一方で外観が水平基調だから、視界も優れ、ボンネットも見えるからボディの先端や車幅がわかりやすい。最小回転半径は4.4mで、混雑した街中や駐車場でも運転しやすい。全高は1500mm以下だから、立体駐車場の利用性も良好だ。

 所得が増えないのにクルマが値上げされる今の時代に、アルトは安全装備と実用性を充実させながら、低価格を貫いている。このクルマ作りは、まさに顧客目線で、多くのユーザーにメリットをもたらす。

 とくに公共の交通機関が未発達な地域では、年金で生活する高齢者が、古い軽自動車を使って毎日の買い物や通院をしている。新型アルトは、今後数年を経て中古車になった時、公共の交通機関が未発達な地域の安全性を高め、環境性能も向上させる役割を担う。

 アルトに限らず軽自動車にとって、新型車として販売される段階は仮の姿だ。価格の求めやすい中古車になって流通する時、本当の価値を発揮する。アルトはそこまで見据えて開発され、コロナ禍で困窮する人達の強い見方にもなり得る。13年を超えた車両の増税という、悪法と真っ向から対峙するクルマともいえるだろう。

こんな記事も読まれています

ホンダが新型「4人乗り・快適ミニバン」発売! 後席独立“キャプテンシート”採用!? 斬新フリード、264万円から
ホンダが新型「4人乗り・快適ミニバン」発売! 後席独立“キャプテンシート”採用!? 斬新フリード、264万円から
くるまのニュース
ボックスシートが使いやすい! トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
ボックスシートが使いやすい! トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
ホンダから新しい「モンキー125」が登場! 赤とグレーとメタリックシルバーの新カラーがおしゃれ!! 「充実の純正アクセサリー」にも注目です
ホンダから新しい「モンキー125」が登場! 赤とグレーとメタリックシルバーの新カラーがおしゃれ!! 「充実の純正アクセサリー」にも注目です
VAGUE
【MotoE第5戦オランダ大会】レース1は、転倒とペナルティ続出の展開に
【MotoE第5戦オランダ大会】レース1は、転倒とペナルティ続出の展開に
バイクのニュース
祝コミュニティ10周年! モト・グッツィが記念モデル『V7 STONE TEN』発売
祝コミュニティ10周年! モト・グッツィが記念モデル『V7 STONE TEN』発売
レスポンス
ポルシェもまさかの[デリカ]と一緒!? EVになった[新型マカン]けど現行のエンジン車も併売の謎
ポルシェもまさかの[デリカ]と一緒!? EVになった[新型マカン]けど現行のエンジン車も併売の謎
ベストカーWeb
ライフ買うなら必見!人気の年式やおすすめグレードまで【人気のクルマ中古購入ガイド】
ライフ買うなら必見!人気の年式やおすすめグレードまで【人気のクルマ中古購入ガイド】
グーネット
「フェラーリ・レーシング・デイズ2024」に550台以上のフェラーリが集結、鈴鹿が凄いことになった
「フェラーリ・レーシング・デイズ2024」に550台以上のフェラーリが集結、鈴鹿が凄いことになった
Webモーターマガジン
“3番目に速いクルマ”でスパ24時間優勝「アストンマーティンにとって素晴らしい成果」とソーレンセン
“3番目に速いクルマ”でスパ24時間優勝「アストンマーティンにとって素晴らしい成果」とソーレンセン
AUTOSPORT web
ホンダ:ザルコが今季3度目の入賞。マリーニも「ポイント圏内で戦える実力はあった」/第8戦オランダGP 決勝
ホンダ:ザルコが今季3度目の入賞。マリーニも「ポイント圏内で戦える実力はあった」/第8戦オランダGP 決勝
AUTOSPORT web
スズキが新型SUV『フロンクス』の情報を先行公開---日本発売へ
スズキが新型SUV『フロンクス』の情報を先行公開---日本発売へ
レスポンス
アウディがe-tron GTをマイナーチェンジ! 独自の外観を備えた3つのバリエーションを展開
アウディがe-tron GTをマイナーチェンジ! 独自の外観を備えた3つのバリエーションを展開
THE EV TIMES
【MotoGP】ホンダ、2025年のテストライダーとしてアレイシ・エスパルガロと契約。アプリリア興隆の立役者で復活なるか
【MotoGP】ホンダ、2025年のテストライダーとしてアレイシ・エスパルガロと契約。アプリリア興隆の立役者で復活なるか
motorsport.com 日本版
【フォーミュラE第13/14戦ポートランドE-Prix】アントニオ・フェリックス・ダ・コスタが連勝!タイトル争いは予想外の展開に
【フォーミュラE第13/14戦ポートランドE-Prix】アントニオ・フェリックス・ダ・コスタが連勝!タイトル争いは予想外の展開に
Webモーターマガジン
”絶望渋滞”三重県に無料の「壮大なバイパス道路」建設中!? “今年開通”の区間も! 四日市~津~松阪つなぐ”丸ごと新ルート”どこまで完成したのか
”絶望渋滞”三重県に無料の「壮大なバイパス道路」建設中!? “今年開通”の区間も! 四日市~津~松阪つなぐ”丸ごと新ルート”どこまで完成したのか
くるまのニュース
ペレス「1周目にダメージ」負いフェルスタッペンを援護できず。ピットレーン速度違反も痛手に/F1第11戦
ペレス「1周目にダメージ」負いフェルスタッペンを援護できず。ピットレーン速度違反も痛手に/F1第11戦
AUTOSPORT web
トヨタ公認『ハイエース』デザインTシャツ新発売
トヨタ公認『ハイエース』デザインTシャツ新発売
レスポンス
アウディの急速充電施設の利用者数が2か月でのべ600人超え
アウディの急速充電施設の利用者数が2か月でのべ600人超え
レスポンス

みんなのコメント

46件
  • アルトやミラこそが真のエコカーだよ、原材料も加工時のエネルギーも少ないし
    燃費もよく、営業で使っても40万キロぐらい余裕で走ってくれる
    こういう車こそ非課税にすべきだと思う
  • ある意味「最後の砦」
    踏ん張ってください。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

106.5125.1万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1.0308.0万円

中古車を検索
アルトの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

106.5125.1万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1.0308.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村