日本ではトヨタカローラスポーツ、マツダ3ファストバックなどが該当する欧州Cセグメントと呼ばれるカテゴリー。国産車はいささか活気がないカテゴリーだが、輸入車では話が違う。
2021年にはこのカテゴリーのベンチマークであるVWゴルフの新型が導入され、アウディA3も世代交代。ルノーメガーヌもマイナーチェンジを行うなど活発だ。
こ…この顔のインパクトが凄い…復活したフランスの大黒柱 シトロエンC4の実力
そして、2022年1月に日本市場に復活したのがシトロエンC4だ。今回は日本市場に置いて販売される輸入車の役31%を占めるCセグメントのニューモデルであるシトロエンC4に試乗した。
文、写真/萩原文博
ガソリン、ディーゼルそしてBEVという三本の矢で勝負!
シトロエンC4の個性的なフロントマスク
2022年1月に導入された新型のシトロエンC4は、最高出力130ps、最大トルク230Nmを発生する1.2L直列3気筒ガソリンターボと最高出力130ps、最大トルク300Nmを発生する1.5L直列4気筒ディーゼルターボの2種類の内燃機関を用意。
さらにBEVのE-C4は最高出力136ps、最大トルク260Nmを発生する高効率の電動モーターと50kWの大容量リチウムイオンバッテリーを搭載し、満充電時の航続走行距離はWLTCモードで405kmを実現したパワーユニットを搭載。ガソリン、ディーゼル、BEVと異なる3種類のパワートレインを設定しているのが特徴だ。
3種類のパワートレインを搭載しているC4/E-C4だが、プラットフォームは共通で最新世代のコンパクトプラットフォーム、CMPを採用。このプラットフォームは、ボディサイズやパワーユニットに対してフレキシビリティが高く、エンジン車とEVを建立して生産することが可能となっている。
C4/E-C4の外観を見ると、ホイールアーチ部分に黒いクラッディングが施され、最低地上高も170mm確保されているが、SUVではなくあくまでも5ドアハッチバックに分類される。
ボディサイズは全長4,375mm×全幅1,800mm×全高1,530mmで、カローラスポーツの全長4,375mm×全幅1,790mm×全高1,460mmと比べると最低地上高を上げている分C4/E-C4の方が全高は高くなっているが、サイズ的にはほぼ互角。加えて都市部に多く存在する立体駐車場に対応した優れたパッケージとなっている。
外観デザインは、C4カクタス以来のデザインを踏襲し、ハイボンネット、大径ホイールそして170mmというロードクリアランスが生み出す高めのアイポイント。そして、クーペのようななだらかに傾斜するルーフラインが特徴。
インテリアは横方向に広がり感を強調する水平基調のダッシュボードを採用。センター部に10インチのタッチスクリーン・インフォテイメントシステムを搭載。
その下にダイヤルや押しボタンなどの物理的な空調コントロールを設置し、操作性をアップ。先進的なタッチパネルと物理スイッチの機能の切り分けを行うことで、ユーザーインターフェースの最適化を行っている。
メーターパネルには5.5インチデジタルインストルメントパネルとポップアップ式のカラーヘッドアップディスプレイを採用。ドライバーは運転中に必要な情報を視線をずらすことなく読み取れるような工夫が施されている。
そして、注目はセンターコンソールの中央にあるシフトセレクター。クローム仕上げのトグルスイッチを採用し、指先の軽いタッチで操作可能となっている。
シートにはC5&C3エアクロスSUVで導入されたアドバンストコンフォートシートを全グレードに採用。このシートはシート生地裏に特別なフォームを配することで体とシートの当たり感を改善。その結果比類ない柔らかさと包まれ感を実現し、疲労に繋がる車体の微振動を吸収してくれる。
さらに、ADASと呼ばれる先進の運転支援システムを充実。高速道路での追従走行が可能なアクティブクルーズコントロールをはじめ、渋滞時でも簡単な操作で速度を回復するトラフィックジャムアシストを採用。
シトロエン初となる、エアバッグやシートベルトプリテンショナーが作動するような衝突が起きた際に、自動的にブレーキを掛けて二次的な衝突リスクを軽減するポストコリジョンセーフティブレーキを採用するなど先進の運転支援システムを搭載している。
E-C4の評判も高いが、現状の売れ筋はディーゼル車のシャインブルーHDi
シトロエンC4のリアスタイル
今回試乗したのは、車両本体価格345万円の1.5L直列4気筒ディーゼルターボエンジンを搭載したC4シャインブルーHDi。この価格で、スライディングガラスサンルーフをはじめ、レザー&テップレザーシート、バックカメラなど装備が充実している。
この価格は、新世代ガソリンエンジンを搭載したマツダ3ファストバックXバーガンディセレクションとほぼ変わらない。
C4シャインブルーHDiは愛車のプジョー2008より全長が+70mm、全幅は+30mm、全高は−20mmとなるが、流麗なルーフラインのクーペスタイルを採用したこと。ワイド&ローのフォルムによって塊感を演出している。
何と言ってもC4シャインブルーHDiの素晴らしいところは、ボディサイズの掴みやすさ。ボンネット位置が高く、タイヤ位置がわかりやすいし、リアのクラッディングによってタイヤ位置がわかりやすいため、非常に車庫入れがしやすい。
実際自宅の立体駐車場に入れてみたが、リアタイヤの位置と駐車スペースのエッジの位置が見やすいため、入れるのに手間取らなかった。流麗なクーペデザインに目を奪われがちだが、細部にまで使いやすさが考えられている。
使いやすさという点では、ラゲッジスペースにも注目したい。広くて低い開口部、フロアボードによって高さを変更でき、フラットなフロアも実現可能。そして5人乗車時の容量が380L、リアシートを倒すと最大1,250Lという大容量のスペースが出現する。
搭載されている1.5L直列4気筒ディーゼルターボは排気量を感じさせないパワフルさが特徴。車両重量1,320kgのC4シャインブルーHDiを非常にシームレスに加速させる。組み合わされている8速ATと調律が取れていて、リズムよくシフトアップして加速していくのだ。そのおかげでWLTCモード22.6km/Lという優れた燃費性能を発揮する。
C4シャインブルーHDiで絶品なのが、ソフトな乗り心地だ。もちろん、微振動を吸収するアドバンストコンフォートシートの効果もあるが、何と言ってもC4シリーズ全車に搭載されているPHC(プログレッシブ・ハイドリック・クッション)は魅力だ。
PHCはシトロエン伝統のハイドロマチックなどのDNAを受け継ぐサスペンションシステム。位置依存型ダンパーと呼ばれて、サスペンションが小さく細かく動く時やサスペンションのストロークスピードが低い状況では、極めてソフトでスムースな乗り味となる。
C4シャインブルーHDiは荒れた路面を走っても、このPHCを採用したサスペンションによって、フラットな乗り味を実現。極めて緩い波形の乗り味となっており、前後左右の揺れがほとんどない。
アプローチの仕方は違うが、フラットな乗り心地と座り心地抜群のシートによって非常に疲れにくいと感じた。若い頃の自分なら何か腰のないフニャフニャな乗り心地と言ってしまうだろうが、年齢を重ねてくるとこのソフトな乗り味が非常に心地良い。
立体駐車場に対応したボディサイズとPHCによるソフトな乗り味。ディーゼルエンジンを搭載しながらも345万円というプライス設定。まさに現在の自分に最もマッチしたクルマだと同時にあと1年早く出会えていればと思った。
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