2023年12月14日、トヨタは世界ラリー選手権(WRC)の2024年参戦体制を発表した。今シーズン、23歳で最年少連続チャンピオンを獲得したカッレ・ロバンペラは出場イベントを限定して、セバスチャン・オジェとGR ヤリスのシートをシェアすることになった。
トヨタからフルタイム参戦するのはエバンスと勝田のふたり
2018年にマニュファクチャラーズタイトルを獲得し、2019年、2020年と2年連続でドライバーズタイトルとコ・ドライバーズタイトルを獲得、2021年と2022年には2年連続3冠タイトルを独占したトヨタ(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team=TGR-WRT)は、2023年シーズンもカッレ・ロバンペラ、エルフィン・エバンス、勝田 貴元、セバスチャン・オジェの4人のドライバーと契約。各イベントにワークスとしては3台体制で参戦する。
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大きく変わるのは、昨年のドライバーチャンピオンであるロバンペラがフルタイム参戦しないこと。2024年、ロバンペラはWRCへの参戦数を限定し、ドリフトやGTカーなど異なるモータースポーツにも参加することでさらなる経験と技術の向上を目指すことになった。WRCにはオジェとGR ヤリスのシートをシェアする形でイベントを選択するという(参加イベントは未発表)。
トヨタからフルタイム参戦するのはエバンスと勝田のふたり。エバンスはここ4年間のうち3度シーズン2位を獲得しており、2024年はチャンピオン候補の筆頭となるが、このところメキメキ実力をつけている勝田にもチャンピオンを狙うチャンスはありそうだ。
■カッレ・ロバンペラのコメント
「TGR-WRTと複数年契約を結び、引き続きチームと共に活動できることを嬉しく思っています。来年は参戦するラリーの数を絞ることにしました。私はすでに15年間という長い間ラリーを続けており、2022年、2023年は私にとって特に素晴らしい年となりましたが、同時に精神的にも体力的にも非常に過酷な生活が続いていました。そこで、来年一年間は心身の充電期間とし、再びフルアタックで選手権に挑むべく戻ってきたいと思っています。私は様々なモータースポーツが好きなので、来年はラリーだけでなく、ドリフトや、また別のクールなイベントに参加することを楽しみにしています」
2024年シーズンもトヨタ優勢と予想される
2024年シーズン、トヨタは引き続き、GR ヤリス ラリー1 ハイブリッドで参戦する。今季大きなレギュレーションに変更はなく、1.6L直噴ターボエンジンに全車共通のハイブリッドユニットを組み合わせたパワーユニットを搭載する。ラリー1カテゴリーでは、全車に昨年より使用を開始した100%持続可能な非化石燃料が今年も採用される。
2024年シーズンを戦うGR ヤリス ラリー1 ハイブリッドは、2023年車をベースにしながらも、シーズン中の進化も含め、総合性能を高めるための改善が施されることになるはずだ。もちろんライバルも進化を続けており、予断は許されないが、大きなレギュレーション変更がないことから、2024年シーズンもトヨタ優勢となっていくと思われる。
■GR ヤリス ラリー1 ハイブリッド主要諸元
全長×全幅:4225×1875mm
ホイールベース:2630mm
最低重量:1260kエンジン:直列4気筒直噴ターボ+モーター
排気量:1600cc最高出力:500ps以上
最大トルク:500Nm以上
トランスミッション:機械式5速シフト
駆動方式:4WD、機械式ディファレンシャルx2
サスペンション:マクファーソン・ストラット
最高速度:201km/h(理論値)
11月の最終戦ラリー・ジャパンまで全13戦11カ月の長い戦い
WRCの2024年シーズンは開幕戦ラリー・モンテカルロから11月のラリー・ジャパンまで、全13戦でチャンピオンの座をかけた激戦が繰り広げられる。
注目は第7戦 ラリー・ポーランドの復活と、第8戦ラリー・ ラトビアの新規開催だろう。ともにグラベルラリーとしての開催で、第4戦クロアチア・ラリーから第12戦ラリー・チリまでグラベルラリーが続くことになる。ここがひとつの勝負のポイントになるだろう。
ちなみに、ポーランドと ラトビアにかわって、メキシコとエストニアがカレンダーから外れることになった。
■WRC世界ラリー選手権 2024年カレンダー
第1戦 モンテカルロ 1月25-28日
第2戦 スウェーデン 2月15-18日
第3戦 サファリ ケニア 3月28-31日
第4戦 クロアチア 4月18-21日
第5戦 ポルトガル 5月9-12日
第6戦 サルディニア イタリア 5月30-6月2日
第7戦 ポーランド 6月27-30日
第8戦 ラトビア 7月18-21日
第9戦 フィンランド8月1-4日
第10戦 アクロポリス ギリシャ 9月5-8日
第11戦 チリ - 9月26日-29日
第12戦 中央ヨーロッパ 10月31-11月3日
第13戦 日本 11月21-24日
なお2024年よりポイントシステムが変更され、土曜日終了時点までの総合順位に応じて首位から10位までに18-15-13-10-8-6-4-3-2-1点与えられ、日曜日成績上位7名に7-6-5-4-3-2-1点が与えられることになった。また、パワーステージは変更なく、上位5名のドライバーに5~1点のボーナスポイントが与えられる。
これにより土曜日までに大きな差をつけていても日曜日にペースを落とすことができなくなり、また土曜日までにトラブルなどで順位を落としても、日曜日にパワーステージのボーナスポイントを含め最大12ポイントを稼ぐことが可能となった。
フルポイントで1イベント最大30ポイントを獲得することができるのは従来と変わらない。
最後に、2023年のドライバーズランキング、マニュファクチャラーズランキングを紹介しよう。
【参考】2023年ドライバーズランキング(最終結果)
1位 K.ロバンペラ(トヨタ)250
2位 E.エバンス(トヨタ)216
3位 T.ヌーヴィル(ヒョンデ)189
4位 O.タナック(Mスポーツ フォード)174
5位 S.オジェ(トヨタ)133
6位 E.ラッピ(ヒョンデ)113
7位 勝田貴元(トヨタ)101
【参考】2023年 WRCマニュファクチャラーズランキング(最終結果)
1位 トヨタ 548
2位 ヒョンデ 432
3位 Mスポーツ フォード 287
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