7月24日、ホンダ・レーシング(HRC)は2024年のスーパーGT・GT500クラスに投入する新車両『CIVIC TYPE R-GT』のお披露目を岡山国際サーキットで実施。それに伴い、HRCの首脳陣、開発陣が取材に応えた。
長らくNSXをベース車両にしてGT500を戦ってきたホンダも、市販車のNSXの生産終了に伴い、FL5型のシビック・タイプRをベースとした車両を新たに送り込むことになった。これについてHRCの渡辺康治社長は、歴史ある「シビック」と「タイプR」をホンダのモータースポーツ活動のコアにしたいと述べた。
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「昨年、シビックは誕生50年、タイプRは30年という節目の年でした。私も入社以来モータースポーツに関わってきましたが、シビックレースやN1耐久、グループAやJTCCなど、シビックがコアとなってホンダのモータースポーツ活動がなされてきたという思いが強いです」
「モータースポーツと量産車の連動により、シビックが世界中のお客様に愛されるブランドになったと思っているので、改めてそこをしっかりやりたいと思っています」
「我々はシビックやタイプRをホンダのモータースポーツのコアにしたいと思っています。最近もシビックで様々なモータースポーツ活動をしてきましたが、“トップofトップ”のカテゴリーもシビックとすることで、その魅力を世の中に発信していきたいと思っています」
2ドアクーペのNSXから、5ドアハッチバックのシビック・タイプRにベース車両を変えるホンダだが、スーパーGTプロジェクトを率いる佐伯昌浩ラージ・プロジェクトリーダー(LPL )も、この変更は“チャレンジ”になると表現する。
「我々開発側にとって、今回のベース車両変更は非常に大きなチャレンジになると思います。事前シミュレーションでも、NSXとはキャラクターが異なるという結果が出ています」
そう語った佐伯LPL。車体開発のトップである徃西友宏氏も、同じく車両変更が“チャレンジ”であると言及した。
「現在のスーパーGTのような開発自由エリアが狭いレギュレーションにおいては、ベース車両の変更は大きな変化を生みます。シビック・タイプRはこれまで(GT500で)採用されたことがないようなボディ形状なので、我々にとって大きなチャレンジになります」
ただ徃西氏は、その“チャレンジ”という表現が決してネガティブな要素に限定されるものではないと語る。曰く、「シビックだからこそ出せる性能」があるという。
「チャレンジと言っても、それは決して”困難な状況“という意味だけではありません」
「今までやったことのない形状のGTカーをやっていて、日々新しい発見があります。NSXの時はできたけど、シビックではできないことも確かにあります。しかし、シビックだからこそ出せる性能があることも分かっているので、そこを我々がレースで活躍できるようにうまくまとめ上げることが重要になると思っています」
「シビックだからこそ出せる性能」とは何なのか……徃西氏は、CIVIC TYPE R-GTがNSX-GTと比べて前面投影面積が小さいことを認め、NSXではできなかったような形の空気抵抗低減が可能だと語った。ただ、最終的にどのような性能となっていくかは、来季の開幕を待つ必要があるという。
「今(のGT500)はスケーリング規則によって、ベース車ごとの性能差を出さないように工夫されていますが、その規則によって前面投影面積を一定の範囲内に収められるかと言われると、そうではありません。実際にNSXとシビックの前面投影面積は同じではなく、(シビックに変更されることで)小さくなる方に変化します」
「NSXはベース車両の形状の都合でドラッグ(空気抵抗)が大きいですので、新しいシビックではNSXで実現できなかったようなドラッグ低減が可能になると思っています」
「ただ最終的にどのような性能に持っていくのがベストなのかは見定めないといけません。NSXよりシビックの方が選択肢が増えていますが、どう仕上げていくかは、開幕戦のお楽しみですね」
25日、26日に行なわれるシェイクダウンテストでは、まずは目先のタイムを重視せずに、事前のシミュレーション結果との相関性を確かめていくことに集中するというHRC。今後、どのような強みを持ったマシンに仕上がっていくかに注目だ。
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