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ワイド&ローな存在感! マセラティ・キャラミ デ・トマソ・ロンシャン(2) エキゾチックさで誘惑

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ワイド&ローな存在感! マセラティ・キャラミ デ・トマソ・ロンシャン(2) エキゾチックさで誘惑

最高出力はMTで258ps、ATは284ps

マセラティ・キャラミは1983年まで製造され、ラインオフした200台の内、44台が右ハンドル車。グレートブリテン島には、30台が運ばれている。当時の価格は、約2万1000ポンドだった。

【画像】「濃厚」イタリアン マセラティ・キャラミ デ・トマソ・ロンシャン パンテーラにカムシン シャマルも 全108枚

V8エンジンの最高出力と排気量は、MTでは258psの4.2Lで、ATは284psの4.9Lと異なった。見た目上の違いは、後者に電動ファンが2基備わること程度だ。

今回ご登場願ったのは、アンディ・ヘイウッド氏が所有する、4.9LのAT車。「2005年に、友人でお客様だった人物から購入しています。通勤に乗られていて少しくたびれていたので、エンジンのオーバーホールとボディのリフレッシュをしています」

「2019年にインテリアを仕立て直しましたが、それ以前はオリジナルでした。ATはフルード漏れの心配が少ない、アルミ製サンプへ交換してあります」。スペアパーツは、部品取り車が数台あり困らないという。ボディパネルは、ほぼ存在しないようだが。

「ドアハンドルは、デ・トマソ・ロンシャンと同じです。サスペンションも。リアアクスルは、ジャガーXJ6と同じように見えるんですよ。今度、寸法を計測しようと思っています」。ヘイウッドが説明する。

存在感が半端ない2台のスタイリング

他方、ダーク・グリーンのロンシャンを所有するのは、ダグ・ブレア氏。スコットランドのオークションで落札したという。「何年も納屋に放置されていた車両で、レストアされるのを期待して出品したようです。生産末期の車両だったので、飛びつきました」

グレートブリテン島で今でもナンバーを維持しているロンシャンは、恐らく3台。これはレストアを終えたばかりで、グレードはGTS-Eらしい。

1988年から1989年に、6台か8台が生産された内の1台に当たり、フェンダーパネルだけでなく、バンパーやライト類、サイドスカートも専用品になる。相当に珍しいデ・トマソなことは、間違いない。

公道での存在感は半端ない。直線的な面構成のキャラミも、明らかにアグレッシブ。シャープなウエストラインで、プロポーションはワイド&ロー。フィアット130にも似ているだろう。

ロンシャンは、1980年式までは少し控えめな容姿だったが、このGTS-Eは負けないくらい威圧的。往年のレーシングカーばりのホイールアーチと、4本出しのテールパイプが主張しつつ、スタイリングのまとまりは良い。

自然な運転姿勢で長距離ドライブも快適

ロンシャンのインテリアは、ラグジュアリーなマセラティ・ビトゥルボにも通じる世界。オーナーのブレアは、オリジナル状態を大切に維持している。優雅な香りまで。ウッドトリムが、GTS-Eの特徴となる。

フロントシートは、キャラミより肉厚でソフト。そのぶん、リアシート側の空間は狭いが、高さ方向には余裕がある。運転姿勢は、古いイタリア車のように不自然ではない。ステアリングホイールの調整域が広く、快適に長距離ドライブできそうだ。

キャラミのインテリアは、レザー仕立てでさらにエレガント。ロッカースイッチはジャガーと似ており、メーターにはトライデント・ロゴがあしらわれる。

先に試乗させていただいたのは、ロンシャン。狭い公道でワイドさを実感しつつ、威勢の良いサウンドを放ちながら活発に先を急げる。

グレーのキャラミが積むマセラティ・ユニットの方が、回転は滑らか。サウンドの響きも、より心地良い。ロンシャンのプッシュロッド・ユニットよりアイドリング時は賑やかだが、鋭くキックダウンする3速ATとの相性にも優れる。

加速は力強く、巡航は安楽。意欲的な速度上昇も、簡単に引き出せる。30年ほど前に運転させていただいた、MTの4.2Lエンジン版より間違いなくエネルギッシュ。同時に、ロンシャンの体験へ大きな違いまではない。

独自性で惹きつけたロンシャンとキャラミ

ステアリングは、キャラミの圧勝だろう。ラック&ピニオン式のラックは、ロンシャンにはない精度があり、新世代感を滲ませる。実質的な先代に当たる、1969年のマセラティ・インディでは叶えがたい繊細さで、狙い通りのラインを描いていける。

手のひらへキックバックが伝わってくるが、旋回時の安定性は高い。小回りは利かない。着座位置は低く、細いフロントピラーが優れた前方視界を作る。ブレーキはかなり強力で、ボディロールは控えめ。実力をすぐに探れるようになる。

エンジンの軽いキャラミの方が、コーナリングは有利そうだが、ロンシャンもアンダーステアは控えめ。乾燥したアスファルトなら、グリップ力に不足もなかった。

1970年代後半に入り、大手の自動車メーカーとデ・トマソが用意できる開発予算の格差は、拡大する一方だった。キャラミでも、メルセデス・ベンツ450 SLCが有する完成度や、ポルシェ928の魅力的な走りへ届いていないことは否定できない。

しかし、ロンシャンとキャラミはイタリアン・エキゾチックとして、数100名の好奇心旺盛なドライバーを、他にはない独自性で誘惑した。フィアットの支援を受けた当時のフェラーリにも負けない、特別な情緒を今でも感じることができるように思う。

協力:マクグラス・マセラティ社

キャラミとロンシャン 2台のスペック

デ・トマソ・ロンシャン(1972~1989年/英国仕様)

英国価格:4万1000ポンド(GTS-E/新車時)/6万ポンド(約1152万円/現在)以下
生産数:409台
全長:4597mm
全幅:1948mm
全高:1290mm
最高速度:239km/h
0-97km/h加速:6.4秒
燃費:4.6km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1751kg
パワートレイン:V型8気筒5763cc 自然吸気OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:334ps/5400rpm
最大トルク:44.9kg-m/3400rpm
ギアボックス:3速オートマティック(後輪駆動)

マセラティ・キャラミ(1976~1983年/英国仕様)

英国価格:2万1189ポンド(新車時)/6万ポンド(約1152万円/現在)以下
生産数:200台
全長:4752mm
全幅:1849mm
全高:1245mm
最高速度:236km/h
0-97km/h加速:7.6秒
燃費:4.1km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1701kg
パワートレイン:V型8気筒4930cc 自然吸気DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:284ps/5600rpm
最大トルク:39.8kg-m/3000rpm
ギアボックス:3速オートマティック(後輪駆動)

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みんなのコメント

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  • pbc5g9xadd
    知らなかったこの車。ジャガーxjになりたかったのかな
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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