IGTCインターコンチネンタルGTチャレンジ開幕戦2019リキモリ・バサースト12時間は2月3日、オーストラリアのマウント・パノラマ・サーキットで決勝レースが行われ、EBM(アール・バンバー・モータースポーツ)のディクル・ウェルナー/デニス・オルセン/マット・キャンベル組912号車ポルシェ911 GT3 Rが総合優勝を飾った。
空は晴れ渡り気温は30度を超える、マシンにもドライバーにも過酷なコンディションのなかで行われたバサースト12時間の決勝は、スタートから6時間時点でBMWチーム・シュニッツアァーの42号車BMW M6 GT3がリード。しかしそこからわずか7分後、僅差の2番手につけていたベントレー・チームMスポーツの108号車ベントレー・コンチネンタルGT3がこれを交わしてトップに立つ。
6時間30分過ぎに今レース6回目のセーフティカー(SC)が入り約20分後にリスタートを迎えると、今度はRモータースポーツの62号車アストンマーチンV12バンテージがラップリーダーに。予選タイムの抹消処分などを受け、12番手からのスタートとなった62号車アストンマーチンはそのまま7時間目を総合首位で迎える。
ところが、予選2番手のメルセデスAMG・チーム・クラフト・バンブー・ブラックファルコンの77号車メルセデスAMG GT3と、上位につけていたアウディスポーツ・チーム・バルボリンの22号車アウディR8 LMSが相次いでストップしたことで7時間25分時点で7回目のSCが導入される。この間に62号車アストンマーチンを含む多くのチームがルーティンのピット作業を行うが、EBMの911号車、912号車ポルシェ911 GT3 Rはステイアウトを選択。これにより以後の展開はEBM勢が見た目上の首位に立つこととなった。
千代&松田組GT-Rが一時トップ走行もトラブル発生。42号車BMWが首位で折り返し/バサースト12時間 決勝6時間後
ピットタイミングごとに首位が入れ替わるなか、スタートから8時間30分を迎えるとKCMGの18号車ニッサンがトップに浮上した。ピットに入ればポルシェ勢がふたたび前に出る展開ながら、ドライブするアレキサンドレ・インペラトーリは2番手の62号車アストンマーチンに約20秒、3番手の42号車BMWには27秒のギャップを築く力走をみせる。
9時間を超えるとふたたびEBMのポルシェ勢がワン・ツー体制となるが、その一角を占める911号車ポルシェが突如ピットイン。ガレージに入れられると、そのままリタイアとなってしまった。
チェッカーまで残り1時間45分、約6秒差に迫る62号車アストンマーチン以下、6台の同一周回マシンの先頭を走る912号車ポルシェが278周目にもっとも早く最後のピット作業を完了させる。
これに42号車BMWを抜いて5番手となっていた18号車ニッサンが281周目に、翌周には3番手の999号車メルセデスが続いた。18号車ニッサンが912号車ポルシェと同様にフルサービスをしたのに対し、999号車メルセデスはタイヤ無交換で最後のスティントへ。この作業短縮策によってマルチェッロ駆る999号車はライバルの前でコースに復帰している。
しかし、そのさらに上を行ったのは暫定2番手となっていた62号車アストンマーチンだ。Rモータースポーツは284周目にジェイク・デニスをピットに呼び戻すと、999号車メルセデスの約10秒前方に復帰させることに成功。残り50分で上位陣では最後のピットに入った108号車ベントレーを先行したタイミングで実質の首位に浮上した。
■ラスト30分で入ったセーフティカーがドラマを生む
最後のピットイン後、後続に10秒のギャップを築いていた62号車アストンマーチンだったが、レース残り30分というところでコース上にストップするマシンが現れ、8回目のSCが導入されることに。これで上位陣はふたたびワンパックとなり、優勝争いは最後まで先が読めない展開となった。
残り21分でリスタートが切られると、SC出動の直前にコンロッドストレートエンドで42号車BMWを抜き去って3番手に上がっていた912号車ポルシェが999号車メルセデスを強襲。このバトルを制した912号車のマット・キャンベルは勢いをそのままに首位をいく62号車アストンマーチンの背後に迫る。
そして迎えた307周目、残り時間9分となったところで、キャンベルが18コーナーでデニス駆る62号車アストンマーチンのインを突いて逆転。912号車ポルシェはそのままリードを広げてトップチェッカーを受けた。
ラスト20分のスプリント戦を制した912号車ポルシェは最終的にトータル312周をラップ。これは2016年にテクノ・オートスポーツのマクラーレン650S GT3(アルバロ・パレンテ/シェーン・バン・ギスバーゲン/ジョナサン・ウェッブ組)が記録した297周を上回る歴代最多周回数となっている。
総合2位は最終盤のSC出動に泣いた62号車アストンマーチン。3位には同じメルセデス勢の888号車の追撃を振り切った999号車メルセデスが入った。
スプリント戦を5番手で迎えた18号車ニッサンは、リスタート直後の2コーナーで42号車BMWを捉えにかかるが、ラインを膨らませてしまいあわやウォールにヒット。これを避ける減速によって順位をふたつ落としことで最終的に総合7番手でチェッカーを受けたが、最後のリスタート時にウェービング違反を犯しながらペナルティを消化しなかったため、暫定リザルトにタイムが加算されることが予想される。
また、レース前半に一時はトップに立ちながらもマシントラブルで大きく遅れを取ることになった千代勝正、松田次生組の35号車ニッサンは、25番手となった後も粘りの走りで15位まで順位を戻し、最後は11周遅れでの完走を果たした。
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