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タイでも競争的価格で存在感をみせるBYDのEV! 優位性を見いだせない日本メーカーの不安

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タイでも競争的価格で存在感をみせるBYDのEV! 優位性を見いだせない日本メーカーの不安

 この記事をまとめると

■中国製のEVであるBYD ATTO3が日本で正式販売を開始した

知れば知るほど驚異でしかない! 中国のEVメーカー「BYD」が日本を席巻する可能性

■東南アジア諸国では、日本製HVモデルと同価格帯で販売されている

■このままでは今後、日本製EVが海外で受け入れられない可能性も

 日本メーカーよりも販売戦略が巧みな中国勢

 中国比亜迪(BYD)汽車のクロスオーバーSUVスタイルのBEV(バッテリー電気自動車)、ATTO3(アット3)がいよいよ日本国内で正式発売となった。その車両価格は440万円(税込み)。日本ではまだまだ中国車は日本車に比べると「粗悪」とか「コピー車」という印象を持つ人も多く、そのような人から見れば「結構高いね」と思う人がいるかもしれない。ただこの440万円の捉え方によって、出遅れている日本メーカーのBEVラインアップの将来の動きを予測することもできるのである。

 タイにおけるATTO3の価格は119.9万バーツ(約468万円)となり、日本とそれほど大差はない。一方インドでは339.9万ルピー(約540万円)で日本より約100万円高く、仕向け地によってバラつきはあるが、タイでBYDのほかに展開している中国メーカーで上海汽車系MGブランドのクロスオーバーSUVタイプBEVとなるZS EVのタイ国内での価格は119万バーツ(約465万円)となり、ATTO3とほぼ同じ価格となっている。

 ATTO3やMG ZS EVとほぼ同サイズのクロスオーバーSUVとして、トヨタ・カローラクロスとホンダ・ヴェゼル(現地名HR-V)もラインアップされており、いずれもHEV(ハイブリッド車)の最上級グレードで価格を見ると、カローラクロスが120.4万バーツ(約446万円)、ヴェゼルが117.9万バーツ(約437万円)となり、ATTO3やZS EVとほぼ同価格となっている。

 インドの約540万円は別としても、ATTO3だけを見ても、日本で440万円、タイで約465万円と近い価格設定になっている。ATTO3の中国以外のアジア地域の車両価格の相場は450万円前後と見ることもできる。さらにMG ZS EVがタイ国内で約465万円と考えると、すでにタイ国内でカローラクロスサイズのクロスオーバーSUVタイプのBEVの新車価格相場は、中国メーカー主導で465万円近辺にて形成されようとしていると考えることができる。それなのに日本勢の同サイズ同カテゴリー車はHEVでほぼ同価格帯となっている。

 日本メーカーは対策を急ぐべき

 つまり、今後日系メーカーでタイにおいて同クラス同タイプのBEVを出すことがあったとして、果たしてBYDやMGと同価格帯(450万円近辺)でラインアップすることができるのかということを筆者は心配している(日本メーカーではその価格帯で出すことは難しいのではと考えている)。残念ながら、ICE(内燃エンジン)搭載車生産での歴史に関係なく、むしろBEVの開発では中国系メーカーがリードしている。そのなかで、後出しでも『日本車だから高性能で、価格は割高』というのが通用するのかというのは甚だ疑問である。BYDは電池メーカーであり、すでに日本を含め世界各国にて乗用タイプだけでなく路線バスなど多彩なBEVを販売している。中国では共同開発ということでBYDモデルベースのトヨタブランドBEVがラインアップされている。そんななか「日本のBEVは高性能だから高いのです」とアピールしても、世界の消費者からはオーバースペックとも見られるなど、なかなか説得力があるともいえないだろう。

 少なくとも価格設定で主導権を中国系メーカーに握られた時点で、すでに日系メーカーBEVはタイではかなり後出しジャンケンでも不利な状況にあると筆者は考える。いまはタイでは中国から完成車を輸入して販売しているが、今後は順次タイ国内生産モデルとなっていくので、ますます価格面では日系メーカーは追い込まれていくかもしれない。

 これと同じ考え方は日本市場でも当てはまる。すでにATTO3が440万円で発売となった。MGは今年タイ工場を稼働させるとしているので、タイからの右ハンドルモデルを日本へ向けて出荷することも可能。BYDの日本市場での販売動向次第では新たな中国系BEVの上陸があっても不思議ではないだろうし、すでにそれは折り込み済みで中国系メーカーは動いているようにも見える。

 現状で日系メーカーの後出しジャンケンは、技術力で十分カバーできると考えている人も目立つ。しかし、ここまで出遅れが目立つなかで日本メーカーだけが持つ独自技術で中国系だけでなく、欧米や韓国メーカーですでに市販されている多くのBEVをあっと言わせるものを登場させることができるのだろうか。そして、日本車はいままでも実用車として世界で愛用されている状況を維持するならば、BEVでも中国や韓国系メーカーと割安感で勝負する道を選ばざるを得ないのだが、ある意味カローラクロスサイズでは少なくともタイや日本では450万円前後でATTO3などを上まわるモデルを出さないと、なかなか販売競争に参加することもできなくなるだろう。

 欧州のようにBEVなどゼロエミッション車以外販売禁止というのは極論としても、BEVの選択肢が圧倒的に少ない日本の消費者でさえBEVに注目している。そのなかで選択肢のひとつとしても、なかなか日系メーカーのBEVを選ぶことができないのが現状。路線バスでは日系メーカーの選択肢がないなか、中国系メーカーのBEV路線バスの導入が相次いでいる。この流れが乗用車でも顕在化してしまうのだろうか。少なくとも若い世代は、日本が工業立国で世界をリードしていたというのは歴史の1ページでしか認識していないので、韓国や中国メーカーの製品でも「コスパ」が良く感性に合えば躊躇なく選ぶので、モタモタしてられないと思うし、どんどん追い込まれているのは間違いないようだ。

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  • 既得権益層、アンチの人々には脅威だと思います。が、未来を読み切った良いニュースです。
  • 祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり
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