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より明確な強みが欲しい 特別な車内と快適な走りは◎ DS 3 Eテンス・オペラへ試乗

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より明確な強みが欲しい 特別な車内と快適な走りは◎ DS 3 Eテンス・オペラへ試乗

小改良で156psへ増強 航続距離は77km増し

ステランティス・グループの多くのバッテリーEVは、順調にユーザー数を増やしている。反面、DS 3 Eテンスは少々存在感が薄い様子。

【画像】特別な車内と快適な走りは◎ DS 3 Eテンス・オペラ 競合サイズのEVクロスオーバーと比較 全137枚

2022年末のフェイスリフトで駆動用バッテリーの容量が増え、駆動用モーターの出力は向上。航続距離を伸ばしたが、他のモデルも同様にアップデートを受けたためだろう。

このクラスの電動クロスオーバーは、ボルボEX30やスマート#1などライバルが多い。DSが強みとするのは、高級感のあるインテリアに、快適な乗り心地、上質なインテリアなど。果たして、現在の実力を確かめてみよう。

小改良後の3 Eテンスが搭載する駆動用モーターは、グループ内のハイブリッド同期型と呼ばれる新ユニットで、最高出力は156ps。低速域では静かに、高速域では高効率に仕事するよう、設計されている。

駆動用バッテリーは、実用量で50.8kWh。航続距離はグレードにもよるが、最長402kmがうたわれる。フェイスリフト前から容量が4kWh増え、新しいモーターの高効率と相まって、1度の充電で77kmも長く走れるようになった。

サスペンションはコイルスプリングに、フロントがマクファーソンストラット、リアがトーションビームという組み合わせ。小改良で車高は10mm落とされた。

スタイリングの印象は、見る人の好みによるものだが、新しいヘッドライトとブラック・クロームのフロントグリルを獲得し、凛々しさを増した。筆者は、もっとデザイン上の魅力や特長を得ても良いと思う。

特別な雰囲気が漂う車内 やや狭めのリアシート

優れたパッケージングの競合モデルが次々と登場するなかで、3 Eテンスの車内の評価は一長一短。フロントシート側は、僅かに高めの着座位置で、前方視界は良好。サイドシルの位置が高く、やや足を持ち上げる必要がある。

試乗車はオペラ・グレードで、独立したヘッドレストとマッサージ機能、調整可能なランバーサポートを備える、柔らかいレザーシートが据えられていた。調整域はもう少し広い方が、幅広い体型に対応できるだろう。サポート性も強めたい。

リアシート側は少々狭め。それでも、小柄な大人なら2名が問題なく過ごせる。

ダッシュボードのデザインは華やかで、工夫が凝らされている。腰より上の部分には高級感のある素材が用いられ、特別な雰囲気が漂う。だが、小物入れの内側がプラスティックのままなど、細部まで高品質というわけではない。

パワーウインドウ・スイッチなどに菱形が展開され、エアコンの送風口にも反復している。インフォテインメント用のショートカットキーは、同じく菱形のタッチセンサー。稀に反応が悪い場合があり、運転席から遠い部分は触れにくい。

タッチモニターは10.3インチ。DSアイリスと呼ばれるシステムを実装する。プジョーやシトロエンと基本的に共有するが、メニュー構造はもう少し理解しやすい方が良いだろう。無線でスマートフォンと連動でき、簡単に切り替えられる点は好ましい。

新しい機能が、チャットGPTを利用した音声認識システム。正しくない回答が返ってくることも、少なくなかったが。

市街地では充分活発 余裕が欲しい動力性能

ドライバーの正面には、小ぶりのモニター式メーターパネル。ヘッドアップ・ディスプレイも装備される。高効率なヒートポンプ式エアコンも標準だ。

試乗車は、車線維持支援や交通標識認識、衝突軽減ブレーキ、アダプティブ・クルーズコントロールなど、多彩な運転支援システムを実装していた。だが、車線維持支援は若干ふらつき気味。交通標識の読み取りは、マイル表示をkm表示と誤認しているようだった。

さて、3 Eテンスを発進させてみると、27.1kg-mの最大トルクを発揮する駆動用モーターは、市街地では充分活発。流れの速い郊外では、最高出力の156psをフルに発揮できる、スポーツ・モードを選択するのが良いだろう。

小改良で20ps向上したが、動力性能は競合の水準へ届いていない。プジョーe-2008など、ベーシック・ブランドには充分でも、プレミアム・ブランドなら余裕が欲しい。

ノーマルやエコ・モードの方が、低速域ではスムーズ。アクセルオフでの回生ブレーキを強める、Bモードもある。場面に応じて、モードを切り替えるのが良さそうだ。

回生ブレーキの効きが変わるのは、このBモードのみ。惰性走行やワンペダル・ドライブには対応していない。ブレーキペダルの感触は悪くないが、強めに踏むと回生ブレーキとの協調が遅れ、反応に僅かな変化が生まれる。

タイヤは、18インチで扁平率55のグッドイヤー。高効率でありながら、不足ないトラクションを発揮していた。

プレミアムとしてより明確な強みが欲しい

DSが強みとして掲げるのが、洗練された乗り心地と運転のしやすさ。ただし、バッテリーEVは全般的に静かで運転しやすい。ここで個性を出すことは、簡単ではない。

3 Eテンスには柔らかいスプリングが組まれ、舗装の古い一般道でサスペンションは柔軟に動く。スポーティに振られたライバルとは、一線を画す。

だが、隆起部分や舗装の剥がれた穴を通過すると、小さめの衝撃でその存在を教える。高速域では、ボディが僅かにソワソワと動く。ロードノイズも車内へ響きがち。より上質な印象を求めたいところではある。

ステアリングホイールは適度に軽く、反応は正確。良好な姿勢制御で、操縦性は褒められる。グリップ力は高めで、コーナリング中のボディロールは適度に抑えられている。確かに運転しやすい。

電費は、今回の平均で6.1km/kWh。航続距離は約320kmとなった。一般道での効率に優れ、高速道路に入らなければ370km前後は走れそうだ。

急速充電能力は、DCで最大100kW。残量10%から80%まで、最短30分で充電できる。11kWのAC充電器では、5時間半で満充電になる。

中国メーカーの欧州上陸で、電動クロスオーバーの競争は厳しさを増した。優れたブランド力を持つ、ボルボやジープなども競合モデルを提供している。3 Eテンスのような高価格帯のモデルは、難しい戦いに迫られている。

今のところ、3 Eテンスにはクラス基準を満たす特長がある。だが、動力性能と車内空間は一歩届いていない。プレミアム・モデルとして、より明確な強みが欲しいところだ。

◯:運転のしやすさ 静かで快適な走り味 悪くない現実環境での電費
△:狭めのリアシート 高速域で落ち着きに欠ける乗り心地 アップデートを望みたい車載のデジタル技術

DS 3 Eテンス・オペラ(英国仕様)のスペック

英国価格:4万2035ポンド(約782万円)
全長:4118mm
全幅:1791mm
全高:1534mm
最高速度:150km/h
0-100km/h加速:9.0秒
航続距離:396km
電費:6.8km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1550kg
パワートレイン:AC永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:50.8kWh(実容量)
急速充電能力:100kW(DC)
最高出力:156ps
最大トルク:27.1kg-m
ギアボックス:1速リダクション(後輪駆動)

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みんなのコメント

2件
  • こっしー
    >電費は、今回の平均で6.1km/kWh。航続距離は約320kmとなった。一般道での効率に優れ、高速道路に入らなければ370km前後は走れそうだ。

    無理無理。現行から優れたとはいえ、冬は55パー、夏は80パーくらいで距離見ておかないと。
    暖房使うとみるみる距離が減っていくから。
    エコモードで暖房使うと冷風しか出てこないし。使い物にならない。
  • ivq********
    LBX
    次期TOYOTAクロスシリーズ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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